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『元転生勇者だけど魔王討伐に惨敗して無職になったので、魔物専門の精肉店を始めたら美味くて滋養があると大繁盛!〜なお、一番美味い食材は魔王の模様〜』  作者: 藤台団二
第二章:エンシェントドラゴン仕入れ討伐??

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第十五話:神話の頂点と、一万年の身代わり

『カイト・ミート』へようこそ。


若返ったものの食べられたくないじいさんドラゴンが、生き残るために今度は「一万年生きているドラゴンの神」を最高の熟成肉として身代わりに勧めてくるお話です。

「食べられたくないのじゃぁぁぁ! 数千年の呪いから解放されて、ワシの第二の人生(竜生)は今始まったばかりなのじゃぁぁぁ!」


白銀の竜の巣に響き渡る、若返ったじいさんドラゴンの必死の大号泣。


目の前には五百年、千年、数千年のドラゴンの三世代が、頭にタンコブを作ったり涙を流したりしながら、大真面目に全員で平伏しているという地獄のような擦り付け合いの光景が完成した。


「うーん……。おじいさんの肉、せっかく最高品質に若返ったのになぁ。そんなに泣かれると、流石に包丁を入れづらいよ」


カイトが困ったように肉切り包丁(聖剣)を傾けると、三世代のドラゴンたちは一斉に顔を見合わせ、まるで事前に打ち合わせでもしていたかのように同時にガタッと上体を起こした。


「ならば、究極の代替案があるのじゃ!!」


「そうじゃ! 我が一族の命を救うと思って、あの御方の元へ行くが良い!」


じいさんドラゴンが翼を広げて霊峰のさらに上空、天をも貫く最頂部の雲海を指差した。


「あの雲の向こうには、我ら竜族の始祖であり、ドラゴンの神と称えられ一万年以上の歳月を生き続けている絶対存在――『エンシェントドラゴンゴッド』様が鎮座しておられるのじゃ!」


「……ドラゴン、ゴッド?」


カイトがまたしても聞いたことのない、ぶっ飛んだ名詞にパチクリと目を丸くする。


「そうなのじゃ!

一万年じゃぞ!?

数千年をはるかに超え、世界の創世から歴史を見守ってきた生ける神!

その肉体は神の魔力そのもので構成されており熟成度合いで言えば間違いなく全宇宙の頂点!

ガストロ公爵とやらも一万年熟成のゴッド肉を出されれば、美味すぎて腰を抜かすどころか天国へ昇天するに違いないわ!」


「一万年の熟成肉……」


その言葉の響きに、カイトのお肉屋さんの二代目としての職人魂が本日最大級のボリュームでドクドクと脈打ち始めた。


千年の熟成肉ですら神話級なのに一万年。


それはもはやお肉の概念を超え、神の領域に達した至高の霜降りに違いない。


お肉屋さんとして、一生に一度お目にかかれるかどうかの国宝級食材だ。


「よし分かった。

そこまで言うならそのドラゴンの神様のところへ仕入れに行ってみるよ。

みんな教えてくれてありがとうな」


「「「うむ! 気をつけて行ってくるのじゃぞー!」」」


カイトが包丁を収めて歩き出した瞬間三世代のドラゴンたちは大真面目にホッとした表情を浮かべ、笑顔で手を振りながら自分たちの神を食材として見送った。


生き残るためなら神すらも生贄に捧げる、あまりにも割り切りすぎた竜の縦社会である。


カイトは霊峰の垂直に近い崖を、レベル999の脚力で重力を無視するように垂直に駆け上がっていった。


上へ進むほどに大気は薄くなり、周囲の世界は完全に白銀の雲海へと包まれていく。


世界の頂点とも言える天空の玉座のような場所にたどり着いたその時。


目の前にもはや生物としてのサイズを完全に逸脱した、

星の輝きを放つ超巨大な黄金の竜が、静かにとぐろを巻いて横たわっていた。


彼こそが、一万年を生きる竜の神、エンシェントドラゴンゴッド。


その神話の頂点たる存在からは、戦う意志や神としての威厳よりも先に、何とも言えない「どんよりとした空気」が漂っていた。


(第十六話へ続く)

第十五話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


自分の命のためについに一族の神すらも生贄として斡旋し始めるドラゴンたちの、大真面目にズレた身代わりコメディ回でした。


毎回、皆様からのブックマークや評価が、執筆の最高のエネルギーになります。


もし「ドラゴンの身代わり作戦が神の領域に達した!」「カイトの一万年熟成への食いつきが酷い!」と思ってくださった方は、

ぜひページ下部にある【ブックマークに追加】や、評価の【⭐︎⭐︎⭐︎︎︎︎︎︎︎︎⭐︎⭐︎】(星5つ!)をポチッと押して応援していただけると幸いです!


次回、一万年生きすぎてすべてがどうでもよくなっている「ひきこもりゴッドドラゴン」との、驚きの交渉が始まります。どうぞお楽しみに!

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