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『元転生勇者だけど魔王討伐に惨敗して無職になったので、魔物専門の精肉店を始めたら美味くて滋養があると大繁盛!〜なお、一番美味い食材は魔王の模様〜』  作者: 藤台団二
【第1章】勇者廃業、そして実家の精肉店へ

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第八話:SSSランクの予約注文と、千年の熟成

『カイト・ミート』へようこそ。


さて、今回は、

第七話で国家御用達となったお店に、今度は世界中の美味を喰らい尽くしたという美食家貴族ガストロ公爵が来店。

カイトに「エンシェントドラゴンの尾肉」という無理難題な予約を突きつけるお話です。

国王陛下から「最高特級国家御用達」の指定をいただき、エレノアとの復縁も公式に認められた我が『カイト・ミート』の勢いは、もはや誰にも止められなくなっていた。


国のお墨付きを得たことで、怪しげな呪肉屋という偏見は完全に消滅し、

今や世界唯一の「合法的な聖バフグルメショップ」として、

連日商店街がひっくり返るほどの黒山の人だかりができていた。


そんなある日の午後、

お店の前に黄金の装飾が施された、これまた大袈裟な馬車が停まった。


現れたのは、王都の商業ギルドを裏で牛耳る最高権力者であり、世界中の美味を喰らい尽くしたと言われる希代の美食家貴族、ガストロ公爵だった。


王国内では最大の領地を有し、かつては同等の格を持つ隣国だった経緯がある。


かつて、何代か王家との婚姻を重ねて王家動詞には交流があった。

ある時家督問題で内乱がひどく国力が落ち混乱していたところで両家の話し合いの元、併合されて一貴族に遇されているが、いまでも最大貴族である。


それまでの経緯から王家には何かと対立まではいかないが、張り合う傾向にある最大貴族の実力者である。


「ふむ……

ここが噂の元勇者の店か。


バルガスを自首させ、国王陛下をも骨抜きにしたという料理、この私の舌で確かめさせてもらおうと思ったが……」


ガストロ公爵は店内に一歩足を踏み入れると、カウンターの奥にいる俺を傲慢な目で見下ろし、ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべた。


「せっかく国家御用達になったのだ。

並のハンバーグや豚肉では私の舌は満足せん。

そこでカイト殿、特別な『予約注文(オーダー)』をしたい。

……伝説の竜、それも千年以上の時を生きた『エンシェントドラゴン』の尾肉を、最高に美味な状態で十キロほど仕込んでもらおうか」


ガストロ公爵が大真面目な顔でのたまうと、店内にいた他の冒険者たちが一斉に息を呑んだ。


エンシェントドラゴン。


それは、

先日のレッドドラゴンなど児戯に等しい、文字通り世界を数回滅ぼせるレベルの生ける神話。


千年以上生きることでその鱗はダイヤモンドをも凌駕する硬度となり、放たれる瘴気は一国の大地を永久に腐らせるという、SSSランクの絶対天災だ。


「おいおい、公爵様、無茶を言うな……」


「いくら国家御用達でも、生ける神話を仕入れるなんて不可能だ。断れば、せっかくの御用達の看板に傷がつくぞ……!」


周囲がざわつき、エレノアが公爵のあまりの無理難題にピキリと美しい眉をひそめたその時だった。


「エンシェントドラゴン、ですか。


千年以上生きた個体となると……なるほど。


それは素晴らしい『千年熟成肉』が期待できますね」


カイトは怒るどころか、職人としての純粋な知的好奇心に瞳を輝かせて呟いた。


「は……? せん、ねん……じゅくせい?」


ガストロ公爵が、思わぬカイトの反応に大真面目な顔のまま呆気にとられる。


「はい。

エンシェントドラゴンは千年以上もの間、大気中の濃密な魔力と強大な生命力をその身に蓄え続けているはずです。


つまり、

生きたまま極限の環境で『千年間熟成』された、究極の霜降り肉ということになります。


お肉屋さんとしては、これ以上ないほど血が騒ぐ最高の食材ですよ。


喜んで予約をお受けします」


「き、貴様、正気か!?

神話の竜を『歩く熟成肉』扱いするとは……!

よ、良いだろう!

もし三日以内に仕入れられなければ、この店をペテン師として告発し、御用達の看板を剥奪してやるからな!」


ガストロ公爵はカイトのズレすぎた大真面目な態度に恐れをなし、捨て台詞を残して大慌てで馬車へと逃げ帰っていった。


「カイト様……

いくらなんでも、生ける神話のエンシェントドラゴンを仕入れるなど、危険すぎますわ!

国を動かして騎士団を――」


エレノアが本気で心配して俺の服の袖を引く。


しかし、レベル999の俺にとっては、千年の熟成竜も「よく肥えた最高級の地鶏」と大差なかった。


「大丈夫だよ、エレノア。

ちょっと裏山のさらに奥、世界の果てにある竜の谷まで仕入れに行ってくる。店番、頼めるか?」


「カイト様がそこまで仰るなら……。


分かりましたわ。


最高の付け合わせを用意して、お帰りを待っております!」


元王女の健気な声に見送られながら、俺は店を出た。


目指すは世界の果て、千年の神話が眠る場所。お肉屋さんの二代目として、至高の千年熟成肉を包丁一本で捌きに行くための、ちょっとしたお買い物の始まりだった。


(第九話へ続く)

第八話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


世界を滅ぼす神話の竜を、大真面目に「最高の千年熟成肉」と呼んで快諾してしまう、カイトの職人としての異常性が際立つ回でした。

毎回、皆様からのブックマークや評価が、執筆の最高のエネルギーになります。

もし「千年の熟成肉はパワーワードすぎる!」「カイトの仕入れの旅が楽しみ!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部にある【ブックマークに追加】や、評価の【⭐︎⭐︎⭐︎︎︎︎︎︎︎︎⭐︎⭐︎】(星5つ!)をポチッと押して応援していただけると幸いです!

次回、いよいよ世界の果てでの「異次元の千年熟成肉仕入れ(解体無双)パート」です。どうぞお楽しみに!

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