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悪姫恋聖  作者: ねじるとやみ
第3部 未知の大地
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9.聖女の想い

清潔感溢れる白を基調とした部屋に6人の白衣の女性が集まっていた。

調度品は無いが、中央のテーブルは大理石を削ったもので、

全員が腰かけている椅子も立派なものだ。

ここは聖教団の一室だが、一般の信者や聖騎士団の者は入れない、

限られた者のみが会議などで使う特別な部屋だった。


「我々が集められたという事は、リンリの件ですね」


白髪の女性が話を切り出す。

年齢的には老人と呼ばれる年齢なのだろうが、

態度や声の張りは老いを感じさせない。

他の5人のうち4人は同じような老齢の女性だが、

テーブルの中央に座する女性だけは若く、

20代半ばぐらいに見える。


「はい、リンリの件です。

彼女は大断層を超え、東側に到達しました。

また、不死鎧に乗り、それを自在に操りました」


若い女性が答える。


「それは本当ですか?

まさか、こんな短時間で」


「そうですね、予想よりずっと早いです。

ただ、これは計画通り事が進んでるという事です」


「しかし、邪教団の手の者がリンリを襲ったとも聞いている。

我々は本当に手を出さなくていいのかね?」


今まで黙っていた女性の一人が少し不満げに発言する。

場は若い女性が仕切り、受け答えをする事で進んでいく。


「全てはリンリの思うままに行わせるべきです。

我々の手が加わればどこかに歪みが生じます」


「聖女様の言う事は分かります。

しかし、東の国と接触する事で、彼女が死んだり、

下手をすると東の国に与する可能性があるのでは?

我々がリンリを育てるのにどれだけの費用を使ったかご存知でしょう?」


不満を語った女性とは別の女性も意見する。


「計画が無駄になる可能性が無いとは言いません。

しかし、リンリ自身が生きる希望を捨てない限り、

彼女が命を落とす事は無いでしょう。

そしてそれはあの子と行動を共にする事になり、

より強固なものになったと思っています」


悪姫あっきですか」


「そうです。

まさかここに来てフィニアの縁が繋がるなんて。

私達は彼女への感謝を忘れてはなりません」


聖女と呼ばれた若い女性は過去を思い出しているようだった。

老女の中には渋い顔をしている者もいた。

悪姫の過去の行いを思えばしょうがないだろう。


「リンリの方は彼女自身に任せましょう。

我々は我々に出来る事を進めましょう」


「はい、聖女様の御心のままに」


聖女の言葉で会議は終了となった。


(アミア。

どうか、リンリを導いてあげて)


聖女は心の中で祈るのだった。

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