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素人おっさん、第二の人生でサッカーライフを満喫する 作者:ハーーナ殿下@青森県弘前市
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第3話:幼稚園児のトレーニング

 3歳の幼稚園児に転生した二日目。
 朝に目を覚まし、八時半の幼稚園バスで登園する。

 幼稚園では歌を歌ったり、お絵かきをしたり、遊んだりだ。
 精神年齢が31才だったオレにとっては、はっきり言ってつまらない時間。
 だが転生者だと疑わないように、オレは一生懸命に遊んだ。

 むしろ段々、楽しくなってきていた。
 前世では右足を事故で失っていた。小学生の時から、かなり不自由な毎日。
 だが今度は健康的な身体が、ちゃんとある。それだけでも嬉しかった。



 午後二時になり、幼稚園バスで降園する。
 家でも子供らしく振る舞う。
 三時のオヤツを食べたり、子供番組を見たりする。

「ただいまー!」

 夕方六時になり父親が帰ってきた。
 その手には新品のサッカーボールがあった。
 昨日の約束をちゃんと守って、仕事帰りに買ってくれたのだ。

「そうら、コウタ。サッカーボールだぞ」
「うん……パパ、ありがとう!」

 オレは子供らしく、買って貰ったボールに喜ぶ。
 だが内心では興奮しすぎて、心臓がバクバクしていた。

「ニイニイだけ、ずるい! アオイもボール、欲しいよー」
あおいには、このゴムボールを買ってきたよ」
「やったー!」

 妹のあおいはオモチャのゴムボールをもらっていた。
 まだ二才なので、ゴムボールでも、すごく喜んでいた。

「パパ。ボク、お部屋でボールを空けてくるね」

 夕飯まで少し時間があった。
 オレはどうして一人になりたくで、奥の自室に行く。

 スポーツ用品店の袋を開封して、中から白黒のサッカーボールを取り出す。

「すごい……サッカーボールだ……」

 取り出したボールに思わず感動する。
 ここから自分の第二の人生が再スタートする。そうと思うと、心が震えてきた。

「よし、ドリブルしてみよう……」

 室内なので激しいことは出来ない。
 部屋の物を壊したら、ボールを親に没収されてしまう危険もある。気をつけないと。

 ボールは小学生用のボールだった。三歳のオレには少し大きめのボール。
 それを両足で蹴り、ドリブルを試みる。

「あれ? 上手くいかないな……でも、仕方がないか」

 前世のオレは、小学生の時に右足を失っていた。
 そのショックもあり、サッカーをまともにした経験は無い。

 だからドリブルもまったく出来ない。これも仕方がないであろう。

「凄い……感動だ。オレ……サッカーが出来るだ……」

 だがオレは感動していた。
 感動のあまり、涙が出そうになる。ボールを自分の右足で蹴れることに、感動したのだ。

 やはり子どもの身体は涙腺が緩いのかもしれない。気を付けないと。

「よし。今日から毎日、計画通りに練習をしていこう。絶対に上手くなるために……」

 興奮から少し冷静さを取り戻す。二度目の人生の方向性を誓う。

 今のオレは幼稚園児の三歳だ。

〝将来的サッカー選手になる” 

 そのために今日から自由に出来る時間を、全てサッカーのために費やしていく。
 他の子どもたちがゲームで遊んでいる時間。TVを見たり、勉強をしている時間。
 その全ての時間を、オレはサッカーのため過ごしていく。

 もちろん幼児期に過度なトレーニングが禁物だ。
 必ず成長に合わせたトレーニングを行っていく必要がある。

 その辺のトレーニングメニューは、頭の中ですでに計画していた。今日の幼稚園でずっと考えていたのだ。

 オレはサッカーの経験は皆無である。だが知識だけなら一人前だ。

 特に幼少期に事故にあった後悔。だからサッカーのトレーニング方法を勉強していたのだ。

 まさか転生した時に、本当に役立つとは思ってもみなかった。

「まずは毎日、ボールの感覚に慣れていこう。小学生に上がるまで、毎日、毎日だ……」

 小学生くらいの少年期のサッカー選手。そこで一番大事なのは、ボールの感覚を掴むことだと言われていた。
 だから幼稚園児の内に、それを早めにマスターしておく。

 前世では大けがをしていたから、自分のサッカーの才能は分からない。
 もしかしたら自分にはサッカーの才能は無いのかもしれない。

 だがオレには二十数年後に発展し続ける、最新的のサッカーのスポーツ理論が頭の中にある。
 適正なトレーニングで、他の子どもの何倍も努力していく。
 そうすれば、必ず何とかなるであろう。

 いや、絶対になんとかしてみせる!

「よし、毎日、頑張ろう! それにしてもドリブルは難しいな……でも、本当に楽しい!」



 その後、時間を忘れるくらいに、ボールの感覚の練習をしていく。
 夕ご飯を食べて風呂に入った後も、ひたすら部屋で練習をする。

「おっと、夜の八時半か? そろそろ寝ないと」

 スポーツ選手にとって睡眠は大事。

【サッカー選手になるための計画その1:睡眠は毎日しっかりとる】

 スポーツ選手で一番大事なのは身体である。そのためには食事と睡眠は特に大事だ。
 睡眠時にしか出ない脳内の成長ホルモンもある、と言われていた。

 特に幼稚園児の今は、大人よりも長く寝る必要がある。
 毎日9時前には絶対に寝る計画だ。

「疲れた1日だったな……でも、充実した一日だったな……」

 柔軟ストレッチをした後にベッドに入る。
 まだ3歳なので両親と同じ大きなベッドである。
 父母と2歳の妹のあおいと4人で、川の字になって就寝する。

 精神年齢が三十一才のオレは、少し恥ずかしい気がする。
 だが前世では味わえなかった家族の温もり。何とも言えない幸福感に包まれる。

 そのまま睡魔に襲われて、泥のように眠りに落ちるのであった。



「よし。いよいよ今日から本格スタートだ」

 次の朝6時なり目を覚ます。
 一人でトイレにいって、奥にある自室に行く。まだ早朝なので家族は起こさないようにしないと。

 まず入念に柔軟とストレッチをしてから、早朝のトレーニングを開始する。

 朝8時半の幼稚園児バスが来るまで、十分に時間がある。
 7時の朝ごはんと、登園の準備以外の時間は、早朝のトレーニングに費やすことができる。

「じゃあ、コウタ。パパ、仕事に行ってくるぞー。おお? コータ、サッカーしているのか? そんなに楽しいのか?」
「うん! 楽しいよ、パパ! サッカーボール、ありがとう。お仕事いってらっしゃい、パパ!」

 仕事に出かける前に父親に、子どもらしく挨拶をする。

 本心でもサッカーの練習が楽しくて、仕方がなかった。
 オレは明らかに昨日よりも、ボールタッチが上手くなっていたのだ。

 子どものころは、身体も脳も物覚えのいいのであろう。反復練習をしたことを、ドンドンと身体が吸収していた。

 もちろん、いきなり高難易度のテクニックを使える訳ではない。
 だが脳内の記憶にある世界プレイヤーの動きを、オレはイメージして練習していた。

 だてに前世ではサッカーオタクをしていた訳ではない。
 古今東西の過去から現代までの、往年のプレイヤーたちの動きの脳内動画。それを師匠として自主練習していく。

「コータ、幼稚園児バスが来たわよ」
「うん、ママ。今行く!」

 朝8時半になり幼稚園児バスが来てしまう。
 ここから降園の午後2時までは、サッカーボールとはお別れだ。

 本当は一日中でも練習していたいが、成長期の無理は禁物だ。 
 3歳らしく幼稚園を楽しもうじゃないか。



 幼稚園に登園する。
 幼稚園を純粋に楽しむ計画は中断だ。

 いや、正確には幼稚園は楽しむが、ここでもサッカーのトレーニングをする。
 トレーニングと言っても、ボールを使った練習ではない。

【サッカー選手になるための計画その2:スポーツビジョンと判断力を鍛える】

 これをオレは幼稚園でトレーニングしていくのだ。

 スポーツビジョンとは、スポーツを行う上で重要となる眼の能力だ。
 よく聞く「動体視力」もスポーツビジョンの1つ。他に「 眼球運動」や「周辺視」など様々な項目がある。

 子どものうちからスポーツビジョン能力を向上させることが、競技力の向上に繋がると言われていた。

 これは昔は無かったスポーツ理論。
 だが前世の時代では当たり前のように、一流選手は実戦していた。
 ランダム配置の番号を1~30まで順番に、素早く押していく。あのゲームみたいな練習だ。

『幼稚園児は動きや言動がランダムで、なおかつ激しい。だからスポーツビジョンと判断力のトレーニングに向いている』

 そう思ったオレは、さっそく実戦する。
 皆で絵を書く時、大ホールで鬼ごっこで遊ぶ時。園庭で学年が混じって遊ぶ時。
 そんな時にオレは自主トレをするだの。

 なるべく大人数で遊びつつ、オレがリーダーとなり遊び方を誘導する。
 その時に随時に友だちの名前を呼びつつ、眼球移動をしていく。当時に遊びの指示を出して、どんどん盛り上げていく。

 もちろん相手は幼稚園児なので、動きや反応はかなり不規則である。そんな時は的確に判断をして返事をして、また指示を出していく。

 イメージとしては“幼稚園のクラスのガキ大将+総司令官”
 そんな感じだ。

「ううう……これは思ったよりも脳に負荷かかかるな……」

 この幼稚園でのトレーニングは思ったよりも大変だった。
 だが同時に鍛え得られている感が半端ない!

 これを毎日続けていけば、スポーツビジョンと判断力を鍛えていくことが出来るであろう。
 幼稚園にいる3年間は毎日、続けていくことにしよう。

「午後に2時過ぎになったら家に帰る」

 その後はサッカーボールで自主練だ。
 こうして寝ている時と、食事の時のそれ以外の時間。

 全ての時間をサッカーのトレーニングに費やす、計画が着々と進んでいくのであった。
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