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素人おっさん、第二の人生でサッカーライフを満喫する 作者:ハーーナ殿下@青森県弘前市
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第20話:順調なチームの仕上がり

 小学生4年生の夏休みが、あっとう間に終わる。
 オレの夏休みは相変わらず、サッカー漬けの毎日であった。

 早朝の朝練に始まり、午前中はチームでの練習。
 昼に食事に家に戻り、軽く仮眠をする。適切な食事と睡眠は、少年期の身体を大きく強くしてくれる。

 午後はまたチームの練習。午後は他のチームとの練習試合が多い。
 オレたちは全国大会ベスト8という好成績。そのお蔭で隣県チームからも、試合の申し込みが増えていた。

 強いチームとの練習試合は、オレたちも得るモノが多い。
 今もちょうど、練習試合が終わったところだ。

「お兄ちゃん、今の葵のシュートを見てくれた? 葵、ハットトリックだよ!」
「ああ。ちゃんと見てたよ。さすが葵だな」
「えへへ……これもお兄ちゃんの凄いパスのお蔭だよ!」

 そんな中で急成長をしていたのは、妹の葵である。
 3年生でありながら、チームの攻撃の柱として活躍していた。

「おい、野呂コータ。最近、オレ様へのラストパスが、急に減っていないか?」
「えっ、そんなことないよ……と思うよ、ヒョウマ君」

 チームのもう一人のエースである、ヒョウマ君も相変わらず大活躍していた。
 葵と攻撃のツートップとして、練習試合で得点を量産している。

 葵は鋭い嗅覚きゅうかくで、死角から飛び込んでゴール決めるタイプのFW。
 ヒョウマ君は圧倒的なドリブルで突破して、強烈なシュート決めるタイプのFW。

 二人とも違うタイプの選手のために、パスを出すオレは状況に合わせていた。
 決して妹に贔屓ひいきはしていないはずだ。

「先輩たち、今日の守備はよかった。だが、連携はもっとこうした方がいい」
「そうか、なるほど。さすが澤村だな」

 そういえば最近のヒョウマ君は、別な方面でも成長していた。
 チームのために色々と、アドバイスをしてくれるようになったのだ。
 サッカーの知識が深い、ヒョウマ君のアドバイスは的確。このお蔭でチームの総合力は、格段に成長していく。

 以前は“孤高の天才肌”だったヒョウマ君。
 前回の全国大会の敗戦から、彼も大きく変わろうとしていたのだ。

「ところで、野呂コータ。お前、夏休みの間に何かあったか?」
「えっ、ヒョウマ君? 別に何もないけど? ヒョウマ君たちと練習三昧だったけど」
「そうか。だが、それにしては今までと別人のように、プレイに鋭敏さが……いや、オレ様の気のせいかもしれん」

 ヒョウマ君が不思議なことを聞いてきた。
 オレのプレイに、大きな変化があったというのだ。

 でもオレは特別な自主練をした記憶はない。
 いつも通りに自主練して、いつも通りにチームとの練習をしていた。

 あっ、でも……。
 そういえば、夏休みの初日に交通事故のフラグを回避した。その翌日から身体が軽くなったような気がする。
 右足の感覚が前よりも、軽くなったような気がするのだ。

 うーん。でも、たった一日で人間の身体が、そんなに変化するはずはない。
 きっとオレやヒョウマ君の気のせいであろう。

 あまり気にしないでおこう。調子がいいのは、良いことだ。

「よし! もうすぐ、10月の全国大会の地区予選。12月の全国大会に向けて、みんなで一緒に頑張っていこう!」

 オレは思わず、一人で気合の声を出す。
 調子がいいので、思わず気合が声に出てしまった。自分で一人ぼっち絶叫してから、思わず恥ずかしくなる。

「おっ、コータの奴、気合い入っているな? よし、みんな円陣、組もう! 集合だ!」

 オレに触発されて、6年生のキャプテンが指示をだす。
 選手コースの全員を集めて、練習場の中央にみんなで円陣を組む。

「さっき、コータも言っていたが、もうすぐ地区大会だ。全部勝ち抜くぞ! 目指せ、全国大会!」
「「「ファイト、オー!!」」」

 キャプテンに続き、チームメイトみんなで気合の声を上げる。
 オレと葵はもちろん、あのクールなヒョウマ君も叫んでいた。

「おっ、澤村も珍しく気合い満点だな?」
「ふん。キャプテン、オレ様に気合など不要だ」

「はっはっは……澤村は相変わらず、可愛げのない後輩だな」
「そうだな、澤村とコータに、もう少し可愛げがあれば、いい後輩なんだけど」
「だな! はっはっは……」

 キャプテンと先輩たちは、ヒョウマ君をからかって談笑していた。
 ヒョウマ君はそれに相手しながら、苦笑していた。でも、少しだけ嬉しそうである。

 あっ。
 こういうのは何かいいな。
 オレはチームメイトの光景に思わず感慨にふける。

「このチームは……いいな」

 オレはつぶやく。
 このチームは強くなった。
 全国のJジュニアチームとは違い、決してエリートコースではない街チーム。

 だがチームの団結力だけなら、絶対にどこにも負けない自信があった。

 チームの団結力。
 毎朝の6時に全員で自主練。各学校で話すのはサッカーの話題ばかり。
 宿題や勉強を互いに教え合いながら、練習の時間をより多くとる。

 夕方のチーム練習の前に、やはり全員で自主練。チームが終わった後も自主練。 

 土日と祝祭日、夏休みなんかは一日中である。グラウンドに集まり練習して、ミニゲームをしていた。

 月に何回かは、大きなTVのあるヒョウマ君の家に集る。そこでチームメイト皆でサッカーの動画を見て、戦術の勉強もした。 

 これは全てチームメイトが、自主的に行っていたこと。親やコーチに命令された訳ではない。

 何故ならこのチームの皆は、サッカーを大好きなのだ。
 もっと上達したくて、試合で勝ちたくてウズウズしていたのだ。

 そして何よりサッカーが面白くて、仕方がない雰囲気。
 そんなチームだからこそ、オレは自信をもって言える。

「ボクたちは……このチームは強い」

 そんな頼もしい仲間たちを見ながら、ボクは小さくつぶやく。

 こうして全国大会へ向けての戦いが、いよいよ始まろうとしていた。



 月日が経ち10月になる。

「今年度も地区大会の優勝はリベリーロ弘前!」

 ボクたちのチームは地区優勝した。
 昨年に続いて、圧倒的な強さで連続優勝である。

 地区大会後の表彰式。チームのキャプテンの6年生が、今年も優勝メダルを授与される。

 2年連続の地区制覇。キャプテンには地区の王者としての、風格すら出ていた。
 本当に頼もしいチームの精神の柱である。

「地区大会得点王は同チームの野呂アオイさん そして澤村ヒョウマ君の2名です!」

 なんと妹の葵とヒョウマ君が同点で、地区大会で得点王になったのだ。
 葵は他のチームの歳上の抑えての、3年生での得点王。ヒョウマ君は2年連続の地区の得点王だ。

 やっぱりヒョウマ君は凄い。
 そして葵も凄い。まさか妹がここまで才能があるとは、想像もしていなかった。

「続いて大会MVPは同チームの野呂コータ君!」

 ボクも昨年に続いて地区のMVPに選ばれた。パスや守備を、精いっぱい頑張ったかいがあった。

 でも正直なところ、チームが勝てたことが一番うれしい。
 最近は自分の活躍よりも、チームの勝利が何よりもご褒美。オレは影ながら縁の下として、チームに貢献していきたい。

「おい、野呂コータ。やっぱり、前とプレイの雰囲気が違うな?」
「それはヒョウマ君も同じだよ? 前と違って、守備も助けてくれたし」
「ちっ……仕方がなくだ」

 表彰式の隣で、ヒョウマ君がお祝いの言葉をくれた。
 去年とは違い彼もチームのために動いていた。そのお陰もあり、チームの総合力は圧倒的に上がっていたのだ。

 よし、チームの成長はいい感じだ。
 このまま来月の県大会も進んでいきたい。



 月日が経ち11月になる。

「今年度も県大会の優勝はリベリーロ弘前!」

 ボクたちのチームは県大会でも優勝できた。昨年に続き2年連続の優勝である。

「県大会得点王は同チームの野呂アオイさん!」

「続いて大会MVPは同チームの、澤村ヒョウマ君と野呂コウタ君! 県大会初のダブル受賞です!」

 今度は逆の形の表彰式となる。
 葵が一人で得点王。ヒョウマ君とオレがMVPに選ばれたのだ。

 これには理由がある。
 県大会でオレたちは、新しい布陣に挑戦していた。

 それは葵を攻撃の1トップ。ヒョウマ君とオレの二人で、中盤を支配する布陣。
 これは全国大会での強敵対策の、練習も兼ねていた。
 その影響でオレたち二人が、同時にMVPに選ばれたのであろう。

「いよいよ、次は全国大会だな」
「そうだね、ヒョウマ君……リベンジだね」

 昨年は初出場で全国ベスト8。
 コーチや親たちは褒めてくれたが、オレたちは納得がいってなかった。

 目指す場所は昨年と同じで、ただ一つ。

「絶対に、このチームで全国優勝を……」

 オレは目指すべき場所をつぶやくのであった。



 こうしてあっとう間に日にちは過ぎていく。

 そして全国大会の12月下旬がやってきたのである。
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