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素人おっさん、第二の人生でサッカーライフを満喫する 作者:ハーーナ殿下@青森県弘前市
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第12話:初めての大きな大会に向けて

“全日本少年サッカー大会”

 それは小学生のU-12世代(12歳以下)のクラブチームを対象とした、大きな全国的なサッカー大会である。

 全国大会までの道は次の通りである。

①まずは地区大会を開催して、その地区の代表を選ぶ。
②各地区の代表同士が、県大会で各都道府県代表の1チームを選ぶ。
③全国47都道府県+内前年度優勝都道府県のみ2チーム=合計48チーム。これが全国大会に出場となる。

 もう少し簡単に説明すると、

・地区大会で優勝
 ↓
・県大会で優勝
 ↓
・全国大会に出場できる

 こんな感じの道筋。つまり“小学生のサッカーの甲子園大会”。
 全国に数千ある小学生サッカーチームが目指す、一番大きな大会なのだ。



「では、地区大会のレギュラーを発表する」

 9月末の地区大会2週間前。
 オレたちのチームの4年生から6年生までの、選手コースの全員が集合する。
 コーチから地区大会でのレギュラー8人と、控え数人が発表される。ちなみに小学生の大会は最近では8人制が基本だ。

 全日本少年サッカー大会は、コーチ陣も一番気合の入る大会。だからメンバーのベストメンバーでいく。

 他の多くのチームも、6年生がレギュラーの主体となる。それ以外にも、才能ある5年生が入ったりもする。

 何しろ小学生の時期の1歳の差は大きい。身長と体重はもちろん、筋肉量やテクニックで差がついてしまうのだ。

 我がチームでもコーチから、どんどんレギュラー選手の名前が発表されていく。
 選ばれた選手は、思わず声を上げて喜ぶ。一方で落選した者は、歯をくいしばり悔しがっていた。

 まさに天国と地獄の瞬間である。

「……そして最後に澤村ヒョウマと野呂コータ。この16人で地区大会に挑む。では、大会をイメージして、練習を始めるぞ!」

 最後に同席していた3年生の名前が、2人も呼ばれる。

 野呂コータ……えーと、ボクのことだ。

 他に同姓同名な先輩はいない。
 まだ3年生であるボクは、なぜかレギュラーに選ばれてしまったのだ。

 ヒョウマ君は充当な選出だが、オレは明らかにおかしい。

「あのー、コーチ。ボクはまだ3年生なんですが?」

 こっそりとコーチに尋ねてみる。
 もしかしたらオレは、マネージャー枠かもしれない。
 それで喜んでしまったら、かなり恥ずかしい。ちゃんと確認をしておかないと。

「間違いじゃないぞ。コータと澤村、お前たちはうちのチームのエースで秘密兵器だ。頼んだぞ!」

 なんか逆に頼まれてしまった。

 これは仕方がない。控え選手かもしれないので、出番はないかもしれない。
 とにかく自分のベストを出せるように頑張ろう。

「おい、野呂コータ。今度の県大会で、どっちが多く点を取るか、オレ様と勝負だぞ!」
「でも、ヒョウマ君。県大会に行くには、地区大会で優勝しないと……」

 勝負を挑んできたヒョウマ君に答える。
 オレたちのいるチームは、地区でも普通の強さである。

 昨年の6年生は地区大会で4位であった。
 つまり他の上位3チームに、リーグ戦で勝って優勝。そうしないと県大会にはいけないのだ。

「その心配は不要だ。たしかに5、6年生の連中は普通だ。だがオレ様がいたら、地区大会なんて楽勝だ」
「そうか……たしかにヒョウマ君は凄いからね」

 ヒョウマ君はまだ3年生だが、別格のストライカーだ。
 ここ数ヶ月にチームが参加した小さな大会でも、見事なハットトリックを連発していた。きっと地区大会でも活躍してくれるであろう。

「そ、それにお前もいるからな……」

 ヒョウマ君は何やら小さく呟いて、去っていった。一体なんと言ったのであろうか。

 それにしても全日本少年サッカー大会か。少し緊張してきた。

 噂ではJリーグのスカウトマンも、全国大会に視察に来ているという。
 そこで目立った有能な選手を、自分たちの中学生ジュニアユースのチームにスカウトするのだ。

 前世でも全日本少年サッカー大会で活躍して、将来的にJリーガーになった選手もいた。まさにサッカー少年たちの、夢へのエリート街道なのだ。

 よし、オレも頑張らないと!

 自分の夢を叶えるためには、大会で目立つ必要がある。
 そのためには、まずは地区大会で優勝をするしかない。

 控えのオレの出番はないかもしれない。だが気合だけは入れておこう。レギュラー選手のために、応援の声を出すんだ。

 その日から選手コースは、いつも以上に気合いが入っていく。
 もちろんオレも更に努力を積み重ねていく。

 そして、いよいよ地区大会が迫ってくるのであった。



 10月上旬。数日間に渡って、激戦が繰り広げられた地区大会。
 その幕が下りようとしていた。

「今年度の地区大会の優勝はリベリーロ弘前ひろさき!」

 リベリーロ弘前……オレたちのチームが、何と地区優勝したのだ。
 事前の下馬評を覆して、圧倒的な強さで優勝したのだ。

 今は地区大会後の表彰式の最中。
 チームのキャプテンの6年生が優勝メダルを授与される。

 よっ、キャプテン! あんたが大将!
 いつもはDFとしてチームを支えるキャプテンに、オレは心の中で声援を送る。

「地区大会得点王は同チームの澤村ヒョウマ君!」

 なんとヒョウマ君は地区大会で、得点王になったのだ。
 他のチームの歳上の抑えての、3年生での初の得点王だという。ヒョウマ君にもメダルが授与される。

 それにしてもヒョウマ君の活躍は、本当に圧巻だった。
 得意のドリブルやフェイントで、敵チームをごぼう抜き。
 圧倒的な得点感覚でシュートを連発したのだ。

 やっぱりヒョウマ君は凄い。
 サッカー観戦オタクのオレは、本当に眼福な地区だった。同じチームメイトとして誇らしくある。

「続いて大会MVPは同チームの野呂コータ君!」

 野呂コータ君……はい、オレの名前です。
 何故か、どうしてオレがMVPに?

 自分は得点もヒョウマ君に、1点差で負けてしまったのに。
 一体どうしてであろうか……。

「野呂コータ君は小学3年とは思えない、視野の広さとテクニック、それに圧倒的な判断力で大活躍でした! 皆さん、もう一度、大きな拍手を!」

 オレもMVPのメダルを授与される。中盤のMFとして走り回っていたのが、評価されたらしい。

 会場中から、今まで一番大きな拍手が起こる。自分に向かってのお祝いの拍手だ。

「ちっ、野呂コータ……今回は引き分けだ。だが県大会ではオレ様は負けない! 何故ならオレ様は日々、進化しているからな!」

 隣のヒョウマ君もお祝いの言葉をくれた。
 サッカーが上手いだけではなく、本当にいい人だ。

 それにしても、次は県大会か。
 まさかチームが進出できると思ってもみなかった。

 やはりエースストライカーの、ヒョウマ君のお蔭が大きいのであろう。さすが将来はプロ選手になる凄い。

 あと5、6年の先輩たちの急成長も、かなりプラスに加わっていた。
 オレが昇格した4月の頃から比べて、先輩たちは大幅に上達していたのだ。

 テクニックもそうだが、練習での気合の入り方が半端ないのだ。
 それにしても先輩たちのアノ気合の元は、一体何なのだろうか?

「それはな、コータ。お前ら3年坊にばっかり任せておけないからな!」
「そうだな。オレたちも上級生らしく、したいからな!」

 授賞式を終えて、先輩たちと優勝を祝い合う。
 そういえば5、6年の人たちは、オレとヒョウマ君のことをライバル視していた。ヒョウマ君はともかく、オレは少し恥ずかしかった。
 でもカンフル剤になれたのなら、結果オーライである。

「よし、次は県大会の優勝を目指すぞ! そして目指せ、全国大会だ!」
「「「おー!」」」

 授賞式を終えて、キャプテンを中心に叫ぶ。チームはめちゃくちゃ気合が入っていた。
 ここまで来たので、オレも頑張りたい。

 次の県大会まで、1ヶ月ほど期間が空いている。
 これまで以上にオレは自主練習を頑張らないと。ヒョウマ君に置いていかれないように、自分も成長していかないと。



 地区大会から更に1ヶ月が経つ。

「今年度の県大会の優勝はリベリーロ弘前ひろさき!」

 ボクたちのチームはなんと、県大会でも優勝したのだ。

「県大会得点王は同チームの野呂コータ君!」

「続いて大会MVPは同チームの澤村ヒョウマ君!」

 今度は逆の表彰式となる。
 県大会中は無我夢中だった。そのお蔭でオレは奇跡的に、得点をたくさん取れたのだ。
 まさかの得点王だった。

 一方ではヒョウマ君は地区大会よりも、パスワークや判断力を向上させて大活躍。県大会のMVPに見事選ばれたのだ。

 さすがはヒョウマ君だ。
 あんなに嫌いだったパスワークや連携。それをたったの一ヶ月で、あそこまで向上させてくるなんて。凄すぎる。

 それに最近のヒョウマ君の努力が半端ない。たぶん影でたくさん、自主練をしているのであろう。

 サッカースパイクの消耗と交換が、激しかったのをオレは見逃していない。
 才能がありながらも、更に陰で努力する天才……本当にかっこいい。

「ちっ、今度は得点王を逃したか……次は全国大会で勝負だ、野呂コータ」

 舌打ちをしていたけど、ヒョウマ君はオレのことを祝ってくれる。ちょっとツンデレで可愛いとこもある。

 それにしても、次は全国大会か……県の代表として出場するのだ。
 正直なところ、まだ実感はまだない。

 全国大会まで1ヶ月ほど期間が空く。だからそれまで、沢山練習しないと。
 何故なら全国大会ともなれば、将来のJリーガー候補が各チームにいるのであろう。

 ヒョウマ君や先輩たちだけには頼っていられない。これまで以上にオレも頑張らないと。



 こうして、あっとう間に日は過ぎていく。
 チーム練習と自己練習の毎日。全国大会に向けて、周囲の期待も徐々に大きくなっていた。

 そして、いよいよ……全国大会の日がやって来たのだ。
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