第8話 救済ルート
10年前。
上位甘味精霊シュガーリーは、唯一の女性甘味精霊。
「わたくしを、甘味女王に?」
「甘味精霊をまとめられるのは、シュガーリーしかいないのだ」
小豆の精霊アズさまは、進言する。
「だから、塩味精霊ソルトのことは、忘れて欲しい」
カカオの精霊チョトさまが、頭を下げる。
他の甘味精霊バーニさまたちは、離れて見ている。
「糖京に、女王は、必要なのですか」
シュガーリーは、不安げだ。
一人の精霊として、ただ、糖京の甘味を見守ってきただけの自分に、何故、女王がつとまるのだろう。
ソルト。
上位塩味精霊の幼なじみと離れろというのか。
「愛しているよ。シュガーリー」
チョトさまは、告白した。
「ワタシもだ」
「オレも」
甘味精霊たちは、全員、シュガーリーを愛している。
「…み、皆んな」
心強い言葉に、シュガーリーはうなづいた。
「わたくしは、何故、逆ハーレムに浮気してしまったのでしょう」
病床のシュガーリーは女王住居の寝室で横になっていた。
一人の幼なじみが、好きだった。
どうしたら、時を戻して、やり直せるだろう。
第8話 救済ルート
甘味女王。
糖京の甘味精霊をまとめる最高位の女性のこと。
10年前に就任した、上位甘味精霊シュガーリーが初代。
甘味の安定供給に、尽力する。
全ての甘いものを食べたことがあると言われている。
糖京都心。カカオカフェ。
「提案なんだけど。甘味女王はシュガーリーが続けて、キミたち三人はソルトのお嫁さん候補になればいいと思うな」
カカオの精霊チョトさまは、ココアを飲む。
「ホーホケキョ?」
「チョト。待ってくださいねえ。ソルトは、シュガーリーの幼なじみですよねえ」
ウグイスまめ子と、抹茶の精霊マチャさま。
「女王になりたいんだべ」
「チョト。ヒドいぜ」
黄土きな子と、さつま芋の精霊サツマさま。
「私は、お嫁さん候補なんて目指してないわ。ずっと、スア丸のご主人様よ」
「そうだワン」
「チョト。勝手すぎるぞ」
「チョトさん。考え直してください」
アンコリンとスア丸、氷菓の精霊バーニさま。
ついでに、楓の精霊メイプルくん。
「ふざけてるのは、キミたちだよ。シュガーリーは、治る。だから、次期女王候補なんていらないよ」
チョトさまは、新しくココアを持ってくるため、席を外そうとする。
「女王候補じゃなくて、お嫁さん候補にしろって何よ」
「どういうことだべさ」
「ホーホケキョ」
女王候補三人に、チョトさまが教える。
上位塩味精霊ソルト。
塩色の髪の肌白イケメン。
甘味女王シュガーリーの幼なじみで、両想いだった。
無口で、自分の意見を通すのが苦手なタイプ。
甘味女王決定の10年前。
ソルトが、別れを切り出した。
シュガーリーは、理由を求めた。
理由は、チョトさまが、言った。
「浮気するシュガーリーを嫌になったらしいよ」
シュガーリーは、確かに浮気心があった。
結果、破局となった。
「ホーホケキョ!」
「何で破局するんだべ!」
「浮気させるイケメン精霊が悪いわ!」
三人の女王候補は、怒った。
「やっぱり…、シュガーリーはソルトが好きだったのかな」
チョトさまは、ココアを置く。
「当たり前よ!両想いの二人を邪魔するなんて最低よ!」
「最低ワン!」
「そうだよね。わかってたんだ…。ははは」
チョトさまは、力無く笑う。




