第75話 年下の男の子
おねえさんは、恋をしたぞ。
そこの、キミ、キミ。キミのことだよ。
おねえさんも、少女マンガを読むんだ。
ロマンチックな展開とかに、夢を見ているぞ。
「はじめまして。ニワトリの精霊キミトです」
なかなか、カッコよかったな。キミは。
おねえさんは、ひと目で気に入ったぞ。良い感じだ。
内気な男の子っていうか、繊細だな。
大雑把な、おねえさんには無い、要素だな。
恋と呼んでいいか、迷ってるぞ。
どうしようか。歴戦のおねえさんを気取っているが、男の人との恋愛経験が無い。
キミで、初恋だ。
驚くだろう。
おねえさんには、下に姉妹がたくさんいる。
それで、おねえさんキャラが定着した。
一番好きとか、言われる瞬間。夢見てるぞ。
こんなおねえさんを、好きになるか?
キミは、年下の男の子だ。
第75話 年下の男の子
糖京都心。甘チョコ区。女王住居。
女王の食卓。
午後12時。昼食時間。
お野菜カレーライスとレタスサラダ。
いつも美味しい。お気に入りの定番メニュー。
お野菜学園の解放の件以降、会長レタさまから、安くて新鮮なレタスが届いたりしている。
「今日は、皆んなで、カレーライスを食べましょ」
「美味しいから、食べるワン」
アンコリンとスア丸が、席につく。
食卓には、他に、メイプルくん、バーニさま、女王専用車の運転手シボルさまがいる。
「専属メイドの皆んなも、一緒に食べましょ」
「チュンチュチュン」
訳・お気遣いありがとうございます。
「わたしたちは、後で、いただくから、先にどうぞ」
専属メイドのちゅちゅんと玉緒さんは、立ったまま昼食を見守るようだ。
「いただきます」
運転手シボルさまは、カレーライスを楽しむ。
「専属メイドは、いかがですか?」
「気に入ってくれたかい。お姫さま」
メイプルくんとバーニさまが、お野菜カレーライスを前にして、聞いてくる。
「何か、友達が増えた感じよ。ヒヨコたちも可愛い」
そう言う、女王アンコリンの食卓の隣りの食卓で、ヒヨコメイドたちが、お野菜カレーライスとレタスサラダを食べている。
「美味しいピヨピヨ」
「うまうまピーヨ」
ヒヨコメイドたちは、優先的に食事をとるようだ。
先代シュガーリーが、ヒヨコメイドを気に入っていて、自分と一緒に食事が食べられるように、隣りの食卓を用意させたらしい。
「女王アンコリンちゃんは、ヒヨコたちの食卓、そのままでもいいよね」
玉緒さんが聞いてくる。
「もちろん、OKよ」
アンコリンは、専属メイドたちとも、全員で食卓を共にしたいと言う。
「ところで、年下の男の子は、どうしてるの?」
「あの子は、台所でお手伝い中だよ。交代制料理人のとさ吉さまの息子だからね」
「そうなのね」
年下の男の子。
女王住居の専属メイド。玉緒さんの好きな人のこと。
料理のニワトリ精霊とさ吉さまの息子。
ニワトリ精霊キミトくん。18歳。
「…」
バーニさま、ジッと見つめてくる。
メイプルくん、あきれている。
「また、恋の応援か」
「恋って、そんなに叶うものでは無いですよ」
「女の娘には、運命の人が、絶対いるのよ」
「運命の人が、年下の男の子ならいいんだけどね」
「玉緒さん。絶対、叶うわよ。私、信じてる」
「女王アンコリンちゃん、ありがとう。頑張るよ」
アンコリンと玉緒さん、うなづき合う。
食後。
女王の居間。
ソファで向かい合うアンコリンと玉緒さん。
「告白しか無いと思うのよ」
「ほう。告白か」
玉緒さん、はじめて聞いた言葉かのように応える。
アンコリンが、年下の男の子を呼ぶ。
そして、玉緒さんが勇気を出して、言う。
「勇気を出せばいいのか」
「相手が、どう思っているかわからないけど、玉緒さんがとても良い人だから、上手く行くと思うのよ」
「そうか。そうか。なるほど」
「いつも、内気で、恋愛経験の無い人の応援ばかりしてきたのよ。玉緒さんは?」
「恋愛経験は、無いかな」
悩むんでしまう、玉緒さん。
しかし、この玉緒さんは、すごかった。




