第72話 女王を占うなっつ
木の実区。ココナッツ占いの館。
占い部屋。
物静かな部屋で、ココさまは、重厚なローブをまとっていた。色は、ココナッツ色。
長い髪もココナッツ色で、神秘的。
「甘味女王アンコリンとスア丸の恋占いをするよ」
ゆっくりしゃべるココさま。その後ろでは、学生服姿のクルミちゃんが黙ってココさまを見守っていた。
アンコリンとスア丸の恋占い。結果。
相性30%未満。気分は、上々。
告白は、上手くいくが、どちらも我がままで不仲に。
突破口は、気合。何事も気合で乗り越えられる。
「何か微妙な占い結果だわ…」
「き、気合って、何ワン?」
女王とその婚約者。がっかりする。
元・ご主人さまと愛犬。特に、仲が悪いことは無い。
何故、占いって、駄目なこと言われるのだろう。
良いことだけ教えてくれれば、気分も良くなるのに。
「相性は、100%以上よね。スア丸」
「そうだワン。満点花丸だワン」
一人と一匹は、全然大丈夫。今まで通り、明るく楽しく、甘味女王として糖京都の食を守る。
そして、舞い込む女の娘の恋を応援し続ける。
第72話 女王を占うなっつ
糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。
女王の間。
糖京の甘いものの石像が並ぶ中、女王の玉座がある。
甘味精霊政治の女王への報告を行う広間。
その玉座に座った甘味女王アンコリンは、寄り添うケモミミ男の子スア丸の頭をなでてあげる。
「アンコリン。大好きワン」
「私も、スア丸のこと、だ〜い好き」
笑顔になるが、心の底で気にしている。
ココさまの占いが悪い。
相性30%だとか、ヒドい占いを受けた。
「占いの結果が悪かったのかい」
精霊代表の氷菓の精霊バーニさまが、クスリと笑う。
女王の機嫌を損ねるとは、放っておけない。
「女王アンコリン。占いは、絶対ではありませんよ」
女王のお目付け役である楓の精霊メイプルくんは、気をしっかり持つように忠告してくる。
占いは、あくまで、参考程度のものだと言う。
当たらなくて、当然。
それくらいの考えで良いのだ。
「わ、わかっているわよ」
アンコリンは、少し、傷ついただけだ。
大好きなスア丸と、相性が悪いだなんて言われたくない。
「お姫さまを傷つけたわけだ」
「苦情でも出しますか」
バーニさまとメイプルくんは、本格的に、罰則を考えはじめる。
「ちょ、ちょっと待って。せっかく、クルミちゃんと上手く行ったのに、邪魔しちゃ駄目よ」
あわてるアンコリン。
ミーハー女の娘だったクルミちゃんが、やっと両想いになって、恋人同士になったココさま。
占いは、不満があるけど、順調に進みはじめた恋を邪魔したくはない。
「占いを気にしなければ良いワン」
明るい性格のスア丸は占いの結果なんて気にしていない。
偉い。
アンコリンは、スア丸の純粋な明るさに心がほぐれる。
気にしなければ良い。
全くもって、その通りだ。
「食の報告なんだが」
話題を、女王の役目に変えるバーニさま。
「何かしら」
「タマゴが高騰しているらしい」
高騰。
物の値段が急激に上がっていること。
そもそも、最近は、どれもこれも値上げラッシュである。
タマゴ以外だって食べ物の値上げは問題だ。
「オレは、タマゴかけご飯が、好きだけどな」
「あ、ボクも好きです」
「私だって、好きよ」
「僕も、大好きだワン。タマゴ好きワン」
アンコリンたち、盛り上がる。
タマゴは、皆んな大好きだ。
「女王アンコリンとスア丸くんの明日の朝食をタマゴかけご飯にしてあげますよ」
メイプルくんが輝いて見える。
「メイプルくん。神なの…?」
「神さまだワン…」
午後のおやつの件で、鬼かと思っていたメイプルくんが、神々しいまでの存在に見えてきた。
朝食。タマゴかけご飯=幸せ。
「幸せの神…」
「メイプルくん、神ってるワン」
「価格が高騰しているので、以降は、出しづらくなりますからね」
「明日で、満点なのよ」
「満点花丸だワン」
明日、タマゴかけご飯の朝食。
これは、“希望”である。
「じゃあ、午後のおやつは、勢いでプリンが良いわ」
「プリンなら、最高ワン」
「女王アンコリン。調子に乗りすぎですよ」
メイプルくんが、プリンは、駄目だと言うのだった。
ジャパン国。糖京都。
テレビジョン雑誌で惚れた占い師に恋した女の娘。
運命の女の娘を探していた占い師。
ミーハー女の娘の恋は、波乱があったね。
でも、二人は、想い合っていた。
プリン、食べれると良いんだけどね。
キミは、孤独な女の娘と占い師を、救ったよ。




