第70話 好きなの?どっちなの?
わたしは、浮ついた女の娘。
雑誌で惚れた男の人に会いに行った。
そして、ココさま親衛隊に入った。
好きな男の人は、ヤシの精霊ココさま。
周りには、良い娘がいなかった。
ココさま親衛隊の正体。
木の実女子高校の不良生徒たちだとわかった。
わたしは、木の実女子高校に通ってる。
だけど知らなかった。全然、気づかなかった。
不良生徒たちと、ずっと一緒だったなんて。
ココさまは、警察に相談するほど警戒していたらしい。
何で、今まで気づかなかったんだろう。
規則とか、ルールとか、リーダーとかにうるさい女学生たちを疑わなかった。
ココさまを好きな“仲間”だと思っていた。
友達のいない、わたしは、テレビジョン雑誌ばかり見て、一人で学生生活を送っていた。
テレビジョン雑誌で、惚れたココさまは、近所に占いの館を持っていたから、会いに行けた。
わたしは、本当は、小心者で、弱い。
ココさまに告白する勇気を…。
第70話 好きなの?どっちなの?
糖京都心。甘チョコ区。女王住居。
食卓。朝食時間。
甘味女王アンコリンとその婚約者スア丸が住む大豪邸には、交代制で料理人がいる。
料理のニワトリ精霊とさ吉さまや、料理の鉄人精霊クックさまたちだ。
メイプルくんの食管理を受けながら、ヘルシー食を中心に提供している。
薄味。減塩。糖質制限のメニューが中心。
「本日は、レタスコッペパンをどうぞですパン」
今日の朝食は、コッペさまが用意してくれた。
コッペパンの精霊コッペさまが、木のお皿を運ぶ。
レタスコッペパン。
新鮮なレタスのコッペパン。フレッシュ。
シャキッ。
「し、んせ〜~ん」
「新鮮ワン」
アンコリンとスア丸は、新鮮なレタスに感動する。
出来立てのコッペパンも美味しい。
「女王アンコリン。ワタシも朝食をご一緒していいのでしょうか」
女王専用車の専属運転手シボルさまが、問う。
「いつも、シボルさまには、お世話になってるから、良いわよ。一緒にレタスコッペパンを食べましょ」
「食べるが良いワン」
「はい。感謝いたします」
シボルさまは、レタスコッペパンにかぶりつく。
「うん。美味しいです」
何度もうなづく。
食後。
「ピーナさんは、悪い女性では、無かったの?」
「ココさんも認める、少しの優等生だったらしいですよ」
メイプルくんが、木の皿を回収して行く。
女王お目付け役のメイプルくんは、朝からの朝食作りや、お片付けのお手伝いに来る。
不良生徒たちだった親衛隊。そのリーダーのピーナさんは、比較的に良い人だったらしい。
「木の実女子高校の優等生で、不良生徒たちと知りながら、親衛隊をまとめていたそうです」
「そうなの…」
しかし、犯罪に加わっていたのは確か。
ピーナは、逮捕されたままだ。
比較的な良い人でも、取り返しがつかない。
糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。
男性客室。
そのトビラの前で、クルミちゃんは、勇気をふりしぼっていた。
告白だ。
昨日、後ろから抱きしめてくれたのは、何故?
親衛隊の中の未来の恋人は、誰?
「あれ?クルミちゃんどうしたの?」
男性客室に入った。
すぐに、テレビの置かれた居間がある。
ココさまは、愛用のココナッツ型の水晶を拭いていた。
持ち歩いているのだ。
「ココさま。聞いてください」
クルミちゃんは、一人、覚悟を決めた。
この男の人に、告白する。
自分の気持ちを伝える。
弱気なんて、やめる。
「あの…言いたいことがあるんです」
「何だい?」
水晶を拭く手を止めて、立ち上がるココさま。
クルミちゃんは、一番大好きな人の顔を見上げる。
「好き…です」
選んで欲しい。
「うん。ワタシも好きだよ」
笑顔の返事が返って来た。
憧れの人。この男の人は、笑顔で応えた。
「やっと、気づいてくれたんだね」
「え」
「ワタシは、はじめからキミが好きだったよ」
「…」
一筋、涙が流れた。
「うれしいです…うう…」
うれしかった。好きになってもらった。
「泣かないでおくれよ」
今度は、真正面から抱きしめてもらった。
男の人の香水の香りがする。
泣けてきた。
「あのさ…。好き同士だったんだから泣くところじゃないと思うよ」
ココさまは、クルミちゃんの頭をなでながら、ため息をついている。
女王専用車で到着したアンコリンは、二人のやり取りを、安心した思いで見守っていた。
スア丸、メイプルくんも一緒だ。
「上手く行ったのね」
「良かったワン」
「いつもの大成功ですよね」
クルミちゃん、良かった。おめでとう、だね。




