第68話 親衛隊の暴走
糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。
大臣室。
右大臣と左大臣が、糖京の食の現状を書類でチェックする仕事場。アンコリンより仕事量は、多い。
「ホーホケキョ」
訳・また、恋の応援?
ウグイスの被りものをしている女の娘、ウグイスまめ子。
「クルミちゃんという娘、だべか」
きな粉色のショートカットで、田舎弁の黄土きな子。
大臣二人の、まめ子ときな子に相談した。
「相手のココさまは、優柔不断な人なのよ」
「ゆっくりした男の人だったワン」
アンコリンとスア丸は、ザックリと、お相手のココさまの説明をした。
「わたし、ココさまに告白したいんです」
クルミちゃんの意志は強い。
大好きなココさまを、誰にも渡したくはない。
両想いになりたい。
しかし、その決断は遅かった。
「…大変ですよ。女王アンコリン!」
あわてて、メイプルくんが大臣室に入ってきた。
「ホーホケキョ」
訳・どうしたの?
「何だべ。メイプルくん」
「ココさんが、何者かにさらわれました!」
第68話 親衛隊の暴走
ココさま親衛隊。
雑誌や、テレビジョンで取り上げられた、占い師ココさまを大好きな女の娘たちが作った、ファンたちの総称。
テレビ通信部屋。
重要な情報交換をテレビ会話する部屋。
緊急な情報が警察などから、連絡が来ることもある。
「ココさまが、さらわれたの?」
「大変ワン」
アンコリンとスア丸は、バーニさまに聞いた。
「本当みたいだ。警察に誘拐現場を見た一般都民の情報が何件か入ったらしい」
「犯行を起こしたグループは、よく館内カフェに入る女学生と思われるそうですよ」
正装のバーニさまとメイプルくんは、警察と通信を一旦切った状態らしい。
ココさま親衛隊は、何故、突然に誘拐行動などを起こしたのか。
もちろん、黒。真っ黒だったからだ。
ココさまを、警察が守りきれなかったようだ。
無事解決をしなければいけない。
「ココさまを、さらう理由なんてわからないです」
クルミちゃんは、親衛隊の一人。
だから、気持ちがわかるはずと言うのだ。
皆んな、一番になりたい。
誰だって嫌われたくなくて、連れ去ったりなんてしないだろうと思った。
「どこかに、犯罪の理由はあるはずよ」
「アンコリン。考えなくて良いワン」
スア丸は、アンコリンの頭の中で、犯罪なんて言葉を消してあげたい。
甘味イケメン精霊たちが、正装で集まってくる。
「コッペパンの精霊コッペですパン」
一人が、前に出た。
甘味コッペパン専門店のオーナーのコッペさまだ。
コッペパン色の髪。
切れ長の目のイケメン精霊。
落花生の提供を受けて、相談をしていたところ、誘拐事件を聞きつけて来た。
「悪い木の実女学生たちをサンドさせるのは、ワタクシしかいないですパン」
その瞳は、燃える闘魂。焼きたてパン。
性根がくさった木の実女学生たちを、止めるつもりなのだと言う。
「女王は、ここで待っていてくださいパン」
「でも…行くわ」
「わたし、親衛隊の皆んなを説得します」
クルミちゃんは、親衛隊の木の実女学生仲間を止めたい。
ココさまを助けたい。
警察とのテレビ通信に戻った、バーニさまとメイプルくんは、誘拐グループが、木の実区の木の実女子高校体育館に立てこもっていることがわかった。
すでに、警察が向かっているが、人質がいる。
“魔力保持者”の救援を求めているとのことだった。
「行きますパン」
コッペさまは、やる気だ。
強力な“魔力保持者”だからだ。
木の実区。木の実女子高校。
体育館。
甘味イケメン精霊の専用ワゴンが、真っ先に到着した。
女王専用車は、遅れての到着となる。
「状況は、いかがですパン?」
正装のコッペさまは、説得を続ける警察と教師たちに質問した。全員、緊張した面持ちでいる。
警察は、誘拐グループを刺激しないように遠くにいた。
女子高校内の体育館に、ココさまを人質にした木の実女学生たちが、立てこもっている。
情報によると、ガムテープでココさまを捕まえている。
近づくと、金属バッドで、ココさまを傷つけるつもりだと騒いでいる。
「何という悪だくみですパン」
両手を広げるコッペさま。
「ここは、何とかしますパン」
警察の突入のチャンスをつくること。一択だ。
「ココさま…」
不安で押しつぶれそうなクルミちゃん。
「きっと、サンドしてくれるはずだ」
「バーニさま。サンドって、何なの?」
アンコリンは、コッペさまの実力を知らない。




