第65話 落花生大量プレゼント事件
木の実区。ココナッツ占いの館。
館内カフェ。
カフェスペースを狭くしている荷物がある。
「これが、送られてきた落花生入りのダンボールの一部なわけだ」
カフェの一角に、未開封のダンボールが山積みになって置いてある。
全て、同じ落花生マークのダンボールだ。
同じメーカーのものということだ。
「宛て先は、ヤシの精霊ココさんになっていますね」
バーニさまとメイプルくんが、ココさま宛てに送られてきた。今までのダンボールを確認する。
「落花生大量プレゼント事件より、クルミちゃんの恋の応援をしたいんだけど」
「すでに、恋の応援は、アンコリンの趣味だワン」
「そうなのよ。スア丸〜。気になってしまうのよ」
「キミは、素敵ワン」
「え。うれしい。スア丸、ありがとう」
元気をくれるケモミミ男の子。スア丸の言葉に感激するアンコリンである。
「クルミちゃんの応援するわ。バーニさま。メイプルくん」
瞳を輝かせて、やる気を見せる。
しかし、バーニさまもメイプルくんもクールだ。
「アンコリン。恋は、応援しなくて良い」
「もう、大丈夫ですよ。食の事件解決に方向転換します」
「え。何でよ。事件と一緒に、クルミちゃんの恋も応援よ」
アンコリンの言葉より、事件を優先する二人の甘味精霊。
糖京都の食事件を捜査・解決するのが、甘味イケメン精霊の本来の役目なのだ。
納得出来ない、甘味女王アンコリンだった。
第65話 落花生大量プレゼント事件
「何よ。あなたたちって、自分勝手すぎるわ」
「落ち着け。アンコリン」
「あくまで、目的は、落花生大量プレゼント事件の、捜査と解決ですよ」
バーニさまとメイプルくんは、冷静だ。
「…」
その様子を、一人の親衛隊が見つめていた。
ニヤリと笑っている。
「…」
この視線を、バーニさまは、背中で感じ取る。
その時。都合良くドアベルが鳴る。
親衛隊の木の実女学生が、館の外に置き配を見つける。
中身は、大量の落花生だった。
「これか」
「置き配なんですね」
バーニさまは、箱を観察する。
メイプルくんは、置いていった人物を見渡して探す。
近くの駐車場に、配達のものと見られるトラックがある。
あれは、落花生専門の宅配業者のトラックだ。
館内のダンボールと落花生マークが同じ。
バーニさまは、親衛隊の中に感じた視線の人物を探す。
親衛隊は、ヤシの精霊ココさまという、のんびりしたイケメン精霊を取りかこんでいる。
どれも、制服を着た木の実女子高校の女学生である。
その中で、魔導書を持った女学生がいる。
これには、バーニさまが気づいた。
「魔導書の無断所持は、違反だよ。女の娘」
女学生から、魔導書を取り上げる。
魔導書は、強制力の高い、魔法が使える書物だ。
絶対服従の魔導書や、文章命令の魔導書など、悪用されかねない書物が多い。
「宅配命令の魔導書ですよ」
メイプルくんは、魔導書の内容を読み解く。
「落花生プレゼントか」
そう言っていると、落花生専門の宅配トラックから、宅配業者が、ダンボールの箱を届けに来た。
「業者さん。平気ですか?」
「操られているのか?」
「…おれは…」
宅配業者の男の人は、固まって動かない。
意思のない人形のようだ。
操られている。
「メイプル。魔導書を解く方法は?」
「本の焼却か。ページを破ることです」
「じゃあ、ページを破ろう」
決断力のあるバーニさまは、直ぐ様、ページを破る。
「…う、…は!」
一瞬、電流が走ったかのように、身をくねらせた後、宅配業者は意識を取り戻した。
かなりの負担があったのか。肩で息をしている。
しかし、お荷物だけは、けして、手放さなかった。
落花生専門の宅配業者は、宅配命令の魔導書の影響で自分で落花生を発注して持ってきてしまったらしい。
「支払いは、おれが…」
「いや、この木の実女学生が支払う」
「何だい。アタシに支払えっていうのかい」
女学生は、明らかに、態度を変えた。
「落花生プレゼントをたくさんして、威張り散らすピーナのバカオンナを蹴落としてやろうと思っていたんだけどね」
肩で嘲笑う。
落花生プレゼント事件を起こした犯人のようだった。
ココさまを好きで、ピーナを憎んでいる。
「ココさま…」
ピーナは、ココさまの腕にしがみつく。
「あ…」
クルミちゃんは、ショックを受ける。
ココさまにしがみつくことが出来るピーナ。
うらやましい。悲しい。苦しい。




