第57話 まんじゅうタイム
わたしは、考えます。
何故、この男の人に惹かれるのでしょう。
それは、友達のいない自分が求める友達になって欲しい、親友になって欲しい、人物であったからです。
相手は、甘味イケメン精霊マンジュさま。
個性的な面白い男の人です。
友達になりたい心が、恋愛感情に発展したのです。
恋人が欲しかっただけじゃないです。
面白い友達が欲しかったのです。
わたしには、友達がいませんでした。
だから、マンジュさまのような個性的で面白い人間に興味を持ち、多くの人たちと仲良くできるようになりたかったんです。
きっと。
だから、アンコリンちゃんたちとも、もっと仲良くしたいんですよね。
この機会に、大きく友達を増やすんですよ。
楽しいです。うれしいです。
友達がたくさん欲しいんです。
何でも話せる親友が欲しいです。
第57話 まんじゅうタイム
江糖区。マンジュまんじゅう屋。
「オレンジまんじゅう博覧会ですか?」
万田さんは、聞き慣れないイベントに驚いた。
以前、ソーラーオレンジという、ポカポカ太陽の光りで大豊作となった果物があった。
それは、食の畑の頂点。
太陽のラー神さまが、大好物としているものだ。
以前から、この太陽神に信仰心が熱い、江糖区長が開く大会がある。
それが、オレンジまんじゅう博覧会だ。
衛藤穂恵朗。
江糖区の区長。太陽のラー神さまのことが大好き。
異常なまでのオレンジは、皆んなが美味しく召し上がらなくてはいけない。
オレンジまんじゅうは、ムース野本店が有名だが、太陽神がイケメンのため、皆んなでソーラーオレンジからオレンジまんじゅうを開発、販売している。
その努力を見せ合う大会が、近々、最大の江の森公園で開かれる予定なのだ。
「野外なのね」
「大自然を感じるワン」
アンコリンとスア丸は、広大な公園と、オレンジまんじゅうを食べまくりたい想像をした。
「これに、太陽神が招待されているのであ~る」
「ラー神さまが?ユズエルも一緒かしら」
ラー神さまと天使ユズエルは、恋人同士。
きっと、いつも一緒にいることだろう。
「ぼくも、まんじゅうの精霊として、招待されたのである」
マンジュさまは、万田さんと手をつなぐ。
一緒に行って欲しいのだ。
「わたしも行きます」
「うれしいのであ~る」
見つめ合う。
万田さんとマンジュさまだって、もう恋人同士だ。
万田さんたち恋人同士は見つめ合うだけで時間を過ごす。
アンコリンたちは、代わりに店番をしてあげることにした。
「ホーホケキョ」
訳・いらっしゃいませ。
「色んなまんじゅうが、ありますだ」
大臣二人が、接客だ。
「あの。メイプルくん」
「はい。どうしました?女王アンコリン」
「私の昨日の午後のおやつ、雑すぎない?」
「小さなチョコレートを1個ずつとか、ヒドいワン」
掃き掃除係のアンコリンとスア丸は、メイプルくんの袖をつかむ。
「ああ、それですか。マンジュさんと万田さんが上手く行くまで質素にしておこうと思ってたんですよ」
メイプルくん、考えている。
人生最大の恋をした二人。上手く行くまで、甘味女王アンコリンの1日1個のおやつを雑にしていた。
コンビニで買ったチョコレートを、ひと欠片ずつにした。
「私は、万田さんとマンジュさまが上手く行って良かったから、メイプルくんを許すわ」
「お前、なかなかの人格者ワン」
「いえいえ。お二人が、上手く行ったようなので、今日の午後のおやつは、オレンジまんじゅうにしましょうか」
「良いわね」
「食べたいワン」
饅頭邸。食卓。
午後3時。
「仕入れたばかりの、オレンジまんじゅうだそうですよ」
箱を持ってきたメイプルくんは、1個ずつ、アンコリンとスア丸の前にオレンジまんじゅうを置く。
「オレンジみたいな雰囲気のまんじゅうね。スア丸」
「丁寧に作り込まれているワン。アンコリン」
二人は、じっくりと見た目を楽しむ。
そして、ひと口。
パク。
「あ、ま〜~い」
「甘〜いワン」
幸せな瞬間。
オレンジまんじゅうでも、“あんこ”は、最高だ。




