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あんこデラックス  作者: キノぴょ
5章 〈ドラまんじゅう〉
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53/84

第53話 浪漫する

 わたしは恋愛が苦手です。

 と言うか、恋愛したことがありません。

 恋愛とは何でしょうか。


 少女マンガで見た情報では、両想いになります。

 失恋もします。

 わたしは、両想いが良くて、失恋が嫌です。


 わたしは無表情、無関心すぎて、ロボットと悪口を言われたことがあります。

 たくさん、笑われました。


 だって。誰のことも“好き”と思えなかったんです。

 無個性の周りの方が、ロボットですよ。

 個性的な人に会いたかったんです。


 今、目の前にいる男の人は、個性的です。

 口ぐせがあって、面白い方だなと思います。

 こういう人、好きです。

 面白い人、好きです。


 心が動きはじめました。

 これが、恋愛だとしたら、うれしいです。



 第53話 浪漫する



 まんじゅうの精霊マンジュさま。

 元甘味女王シュガーリーに仕えていた甘味イケメン精霊。

 語尾が「である」。マンジュまんじゅう屋の主人。

 趣味は、絵本を書くこと。


 江糖区。マンジュまんじゅう屋。

「アンコリンちゃん。恋愛って、何をどうすればいいんですか?」

「ぼくにも、教えて欲しいのあ~る」

「え」

 アンコリンは、明らかに自分より大人の二人に、“恋愛”についての質問攻めにあっていた。


 まず、何をするかとか。

「手をつなげ」

 何をすればいいかとか。

「見つめろ」

 何がいいのか。

「抱きしめろ」

 未成年のアンコリンに代わり、バーニさまが答えた。


「なるほどであるな。バーニ」

「なるほど。そうなんですね。バーニさん」


 マンジュさまと万田さんは、納得する。


「まず、手をつなぐであ~る」

「は、はい」

 ぎゅ。

 手をつなぎ合う。


「次に、見つめるのであ~る」

「はい」

 ジッと。

 見つめ合う。


「そして、抱きしめるのであ~る」

「はい…!」

 だきっ。

 抱きしめ合う。


 ロマンスの連続に、万田さん、顔が熱くなってしまった。

 見れば、マンジュさまも、照れている。

「大胆すぎましたね…」

「刺激が強いのであ~る…」

 二人して、目線を合わせるのが恥ずかしくなる。

 手は、つないだままだ。



 その後、広い豪邸持ちだったマンジュさまの客室に、アンコリンたちと万田さんが泊めてもらうことになる。

 甘味イケメン精霊は、それぞれ、自宅に豪邸を持っているのであった。アンコリンが、甘味女王候補だった頃にバーニさまやメイプルくんたちが、都心に豪邸を持っていた。

 シュガーリーが、甘味イケメン精霊全員に一つずつ豪邸を持たせたらしい。

 贅沢なことである。

 アンコリンも女王住居と呼ばれる家で、豪邸暮らしをしている。スア丸と同居中だ。

 大臣まめ子ときな子も、甘味大臣邸に二人で住んでいる。

 豪邸だらけだ。


 饅頭まんじゅう邸。客室。女の娘部屋。

「アンコリンちゃん。両想いって、どうしたらなれますか?失恋したく無いんです」

 万田さんは、大真面目に聞いてきた。

 両想いになりたい。

 失恋したく無い。

 すなわち、マンジュさまのことを好きってこと。

 それは、アンコリンもよくわかった。

「首根っこをつかむことかしらね」

「ホーホケキョ」

 訳・大胆さも必要だね。

「恋のライバルは、シュガーリーだべさ」

「やっぱり、わたしなんかより、シュガーリーさんのことの方が大事なんですよね」

 明らかに落ち込む万田さん。

 そんなことは、無い。

「マンジュさまは、片想いよ」

 シュガーリーには、幼なじみのソルトという恋人がいる。

 マンジュさまは、一方的な片想いだ。

「マンジュさま、片想いなんですか。可哀想です」

 再び落ち込む万田さん。

 心から、マンジュさまを心配している。

 あんな面白くて、素敵な男の人、はじめて出会った。

 ロボットなんて言われて、落ち込んでいた学生時代。

 無表情、無関心で、恋なんてしなかった。

 無かった。

 でも、今、好きな人が出来た。

「マンジュさまのこと…」

 好き。

 とても好き。カッコいい。

「頑張って。万田さん」

「はい」

 このはじめての恋は、上手く行って欲しい。

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