第53話 浪漫する
わたしは恋愛が苦手です。
と言うか、恋愛したことがありません。
恋愛とは何でしょうか。
少女マンガで見た情報では、両想いになります。
失恋もします。
わたしは、両想いが良くて、失恋が嫌です。
わたしは無表情、無関心すぎて、ロボットと悪口を言われたことがあります。
たくさん、笑われました。
だって。誰のことも“好き”と思えなかったんです。
無個性の周りの方が、ロボットですよ。
個性的な人に会いたかったんです。
今、目の前にいる男の人は、個性的です。
口ぐせがあって、面白い方だなと思います。
こういう人、好きです。
面白い人、好きです。
心が動きはじめました。
これが、恋愛だとしたら、うれしいです。
第53話 浪漫する
まんじゅうの精霊マンジュさま。
元甘味女王シュガーリーに仕えていた甘味イケメン精霊。
語尾が「である」。マンジュまんじゅう屋の主人。
趣味は、絵本を書くこと。
江糖区。マンジュまんじゅう屋。
「アンコリンちゃん。恋愛って、何をどうすればいいんですか?」
「ぼくにも、教えて欲しいのあ~る」
「え」
アンコリンは、明らかに自分より大人の二人に、“恋愛”についての質問攻めにあっていた。
まず、何をするかとか。
「手をつなげ」
何をすればいいかとか。
「見つめろ」
何がいいのか。
「抱きしめろ」
未成年のアンコリンに代わり、バーニさまが答えた。
「なるほどであるな。バーニ」
「なるほど。そうなんですね。バーニさん」
マンジュさまと万田さんは、納得する。
「まず、手をつなぐであ~る」
「は、はい」
ぎゅ。
手をつなぎ合う。
「次に、見つめるのであ~る」
「はい」
ジッと。
見つめ合う。
「そして、抱きしめるのであ~る」
「はい…!」
だきっ。
抱きしめ合う。
ロマンスの連続に、万田さん、顔が熱くなってしまった。
見れば、マンジュさまも、照れている。
「大胆すぎましたね…」
「刺激が強いのであ~る…」
二人して、目線を合わせるのが恥ずかしくなる。
手は、つないだままだ。
その後、広い豪邸持ちだったマンジュさまの客室に、アンコリンたちと万田さんが泊めてもらうことになる。
甘味イケメン精霊は、それぞれ、自宅に豪邸を持っているのであった。アンコリンが、甘味女王候補だった頃にバーニさまやメイプルくんたちが、都心に豪邸を持っていた。
シュガーリーが、甘味イケメン精霊全員に一つずつ豪邸を持たせたらしい。
贅沢なことである。
アンコリンも女王住居と呼ばれる家で、豪邸暮らしをしている。スア丸と同居中だ。
大臣まめ子ときな子も、甘味大臣邸に二人で住んでいる。
豪邸だらけだ。
饅頭邸。客室。女の娘部屋。
「アンコリンちゃん。両想いって、どうしたらなれますか?失恋したく無いんです」
万田さんは、大真面目に聞いてきた。
両想いになりたい。
失恋したく無い。
すなわち、マンジュさまのことを好きってこと。
それは、アンコリンもよくわかった。
「首根っこをつかむことかしらね」
「ホーホケキョ」
訳・大胆さも必要だね。
「恋のライバルは、シュガーリーだべさ」
「やっぱり、わたしなんかより、シュガーリーさんのことの方が大事なんですよね」
明らかに落ち込む万田さん。
そんなことは、無い。
「マンジュさまは、片想いよ」
シュガーリーには、幼なじみのソルトという恋人がいる。
マンジュさまは、一方的な片想いだ。
「マンジュさま、片想いなんですか。可哀想です」
再び落ち込む万田さん。
心から、マンジュさまを心配している。
あんな面白くて、素敵な男の人、はじめて出会った。
ロボットなんて言われて、落ち込んでいた学生時代。
無表情、無関心で、恋なんてしなかった。
無かった。
でも、今、好きな人が出来た。
「マンジュさまのこと…」
好き。
とても好き。カッコいい。
「頑張って。万田さん」
「はい」
このはじめての恋は、上手く行って欲しい。




