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あんこデラックス  作者: キノぴょ
5章 〈ドラまんじゅう〉
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第50話 ドラマがはじまる

 江糖区。マンジュまんじゅう屋。

 バーニさまの親友、まんじゅうの精霊マンジュさまの経営するまんじゅう屋。

 ありとあらゆるまんじゅうを置くお店。

 お取り寄せも受け付けている。

 しかし、お客さんがいない。

 店内は、ガランとしている。

「マンジュ。いるか…?」

 声をかける。

 店内の奥に気配がある。


「…恋がしたいのであ~る!」


 大きな声がした。

 ちょっと変わったしゃべり方の男の人の声だ。

「おいおい。マンジュか。どうした」

「…バーニ!」

 店内の奥から出てきたのは、ボサボサ髪の青年。

 瞳は綺麗で、イケメン精霊。

「恋愛小説を書きたいのであ~る」

「は?」

「他の小説では、意味が無いのであ〜る」

「お前は、簡単な絵本を考えるのが趣味だっただけだろう」

「恋愛小説を作るのであ~る。シュガーリーを喜ばせたいのであ~る」

「…シュガーリー?」

 甘味イケメン精霊のマンジュさまは、引退したシュガーリーと連絡を取り合っている。

 その際、恋愛小説を読みたいと言われたらしい。

「シュガーリーの望みを叶えたいのであ~る」



 第50話 ドラマがはじまる



 先代シュガーリー。

 10年前。糖京の食を守る女王制度により、甘味女王となった砂糖の女性精霊。現在は、引退して、幼なじみの塩の精霊ソルトと暮らしている。


「バーニ。お前も、シュガーリーのことを好きだったはずであ~る。協力するであ~る」

「何でだ。恋愛小説なんて書けるのか?」

「未知の領域であ~る。挑戦あるのみであ~る」

 バーニさまとマンジュさまは、言い合っている。

 遠くで見ていたら、お客さんが入ってきた。

 女性だ。


「好きであ~る。お付き合いして欲しいのであ~る」

「え」


「ぼくは、マンジュという甘味精霊であ~る」

「わ、わたしは、万田葉子です…」

 自己紹介をし合う。

 万田まんだ葉子ようこ。26歳。

 金髪のボブカットの女性だ。

 普段着で立ち寄った、近所の住民のようである。


「オレンジまんじゅうを買いに来ただけなんですが」

「恋愛小説を書きたいから、お付き合いをして欲しいのであ~る」


 まんじゅうの精霊マンジュさまは、恋愛小説を書きたいがために、初対面の女性にお付き合いをお願いしていた。

 巻き込まれた女性の万田さんは、戸惑っている。


「おいおい。マンジュ。正気か」

「おお。台詞が降ってくるようである」

 マンジュさまは、ポケットから、スマートフォンを取り出し、メモ入力をはじめる。


「わたし、男の人に、お付き合いを申し込まれたのはじめてです…」

 万田さんは、顔を熱くしている。

 ときめいているのだ。


「こんな恋のはじまりって、あるのね」

 感心するアンコリン。

「ホーホケキョ」

 訳・何か、ドラマみたい。

「続きが気になるだな」

 女の娘組は、突然の告白を見て、ワクワクしている。


「責任取れよ。マンジュ」

「恋愛小説は、はじまったばかりであ~る」

 メモを終えて、スマートフォンをしまう。

 マンジュさまは、万田さんの両肩に手を置く。

「足湯デートをするであ~る」

「は、はい」

 万田さんは、緊張して、声が裏返る。

 そのまま、手をつないで、出かけてしまう。

「店番を頼むである」

 マンジュさまと万田さんの後ろ姿を見送る。



「…駄目だ。アイツ」

 頭をかかえるバーニさま。

「アンコリン。アイツは、シュガーリーが好きなんだ。あの女性のことを好きと思っていない」

「そんなのヒドいわ」

「遊びワン?」

「ホーホケキョ」

 訳・女の娘を傷つけるの良くない。

「どうするだ」

「話し合いで解決しましょう」

 メイプルくんは、一人、冷静に判断する。


 シュガーリーを想う甘味イケメン精霊は、無数にいる。

 バーニさまも、その一人だ。

 心の底で、シュガーリーを想っている。

 マンジュさまも、同様。

 シュガーリーを好きなのに、他の女性と付き合って、上手く行くはずも無い。

嘘恋うそこいは、良くないわね。止めるわよ」

 アンコリンたちは、マンジュさまを止めに行く。

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