第49話 温泉より、まんじゅうだ
ジャパン国。糖京都。
都民の食を守る甘味女王アンコリン・オール。
その婚約者スア丸。
右大臣と左大臣。甘味イケメン精霊たちがいる。
糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。
「オレンジまんじゅう。結構、美味しいべ」
左大臣の黄土きな子は、箱入りのオレンジまんじゅうを食べている。
「ホーホケキョ」
訳・そうだね。クセがあるけど、美味しいよ。
右大臣のウグイスまめ子も、食べている。
「良いわね~。私も食べた〜い」
「食べた〜いワン」
女王とその婚約者は、糖ニョウ病予備軍のため、糖質制限をしている。
「先ほど、1日1個を食べたじゃないですか」
楓の精霊メイプルくんは、背は低いが、大きく腕組みをする。目付きは、真面目だ。
「オレも、糖質制限をしている。一緒に頑張ろう」
氷菓の精霊バーニさまは、旅行ガイドブックを見ている。
「あら。バーニさまは、糖質制限する必要無いんじゃないかしら」
「糖ニョウ病予備軍じゃ無いワン」
「オレは、スマートな体型維持のために、頭と健康を損なわない糖質制限をしている」
バーニさまは、ガイドブックを閉じる。
第49話 温泉より、まんじゅうだ
「江糖区のまんじゅう屋に行こう」
「まんじゅう屋?」
「江糖区って、どこワン?」
「アンコリン。親友がオレンジまんじゅうを、売ってるまんじゅう屋があるんだ」
江糖区のまんじゅう屋。
オレンジまんじゅうを売り出したお店の一つ。
まんじゅうの精霊マンジュさまの経営するおまんじゅう屋さんである。
マンジュさまは、甘味イケメン精霊の一人で、地域に根付いたお仕事をしている。
バーニさまの親友でもあるらしい。
「最近、連絡が途絶え気味だから、様子を見に行きたい」
「バーニさまの用事なわけね」
「そうだ。マンジュの店が、一番オレンジまんじゅうが売れないようなんだ」
「心配なわけね」
「その通り」
親友のマンジュさま。
下手な経営をするタイプでも無い。真面目な甘味精霊。
電話に出なかったり、メールのやり取りが来なかったり、様子がおかしいのだそうだ。
江糖区は、温泉もある。
「ちなみに、温泉の目的は無いぞ。メインは、まんじゅう屋だ」
「温泉の目的は無いの?まんじゅう屋って、私、楽しめないんだけど」
「甘いものを楽しみたいワン」
「スア丸。甘いものは無理よ。温泉は、楽しめないの?」
「まんじゅう屋だけに用事があるから、他は、な。時間があれば、足湯くらいかな」
何事も無ければ、すぐ帰ることになる。
「足湯で十分よ。いいじゃない」
アンコリンは、足湯でウサを晴らすつもりだ。
甘いものは、制限されているが、足湯制限は無い。
「ホーホケキョ」
訳・足湯行きたい。
「あだすたちも行くだよ」
大臣二人も乗り気だ。
「温泉まんじゅう目的で行ってはいけませんよ。女王アンコリンは、糖質制限中です」
メイプルくんは、厳しい。
「い、1日1個は食べれるわよね」
「1日1個まで、ですよ」
メイプルくんは、頑固である。
女王アンコリンの身を第一に考えているのだから、しょうがない。
先代甘味女王シュガーリーは、糖ニョウ病になって倒れて、交代することとなった。バーニさまたちは、先代シュガーリーを敬愛する者として、糖質制限をさせていなかったのだ。
シュガーリー自身が、砂糖の精霊。
糖ニョウ病にならないなどと、油断していたのだ。
メイプルくんは、比較的若い甘味精霊であり、シュガーリーの健康管理をまかされていなかった。女王アンコリンの健康管理を志願しているのは、他の甘味精霊の糖ニョウ病への警戒心の薄さからだ。
メイプルくんは、女王アンコリンを守ってあげたい。
「じゃあ、江糖区に行くのは、決定だな」
バーニさまは、スマートフォンで親友のマンジュさまに電話をかける。
出ない。
本当に、この調子だ。
メールだけ送ることにする。
「恋したい…とか、言ってたんだよな」
突然、思い出すバーニさま。
「恋ですって?」
瞳が輝くアンコリン。
甘いものと同じくらい、気になるワードだ。
まんじゅうの精霊マンジュさまは、恋がしたいらしい。
それは、一人のお姉さんを巻き込むことになるのだが…。
温泉のある、江糖区のまんじゅう屋に行くことが決まったアンコリンたち。
これから、はじまる“ドラマ”を、まだ、知らない。




