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あんこデラックス  作者: キノぴょ
4章 〈異常なまでのオレンジ〉
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第47話 神さま、大好き

 天界。

「父神さまのように、立派な神さまになります」

 ラー神さまは、たくましい父神オシリスを誇りに思っていた。それを、支える母神イシスが好きだった。


「苦しくなった時、神もささえ合う存在が必要である」

 父神オシリスは、天界の絶対神として、君臨していた。

 ささえ合う存在が必要とは、何だろう。

 父神オシリスは、完璧で、完成されている。

 それは、母神イシスがいるから。


「出会わなくてはいけないのだ。お前も」

 出会うとは?

 天界の皆んなは、全員、大切で、かけがえのない存在。


 ささえ合う存在。それは、皆んなじゃないですか。


 皆んなが、一番大事。皆んなが、大好きになってくれる存在なのではないのですか。

 父神オシリスと母神イシスは、見守っている。


 指をさす。

 その先には、今まで誰もいなかった。

 皆んなは、その先にはいないとわかったのだ。


 その向こうには、一人の女の娘が待っている。

 ゆっくりと、手を伸ばす。



 第47話 神さま、大好き



 糖京都心。甘味宮殿。

 食卓。

 午後12時。

 昼食時間だ。甘味イケメン精霊たちが、再び、オレンジだらけの食事を取っている。

 飲み物は、全て100%オレンジジュース。

 食べ物は、オレンジ丸ごと。

 在庫にオレンジだらけなのである。賞味期限までに食べきらなくてはいけないのだ。


「アンコリンちゃん。今日こそ、言う」

 天使ユズエルは、両手に力を込める。

「もし、今度も泣かすようなヤツだったら、ずっとオレンジ禁止令を出すわ」

「オレンジを禁止にしてやるワン」

「うん。…多分、上手くいかないからそうなる。きっと」

 ユズエルは、弱気だ。

 自分に、自信が無いのだ。だって、相手は神さまだ。

 上手くいくわけなんて無い。

 性格も悪いし。取りえも無いし。

 でも、告白を絶対にしたい。

 我がままな心が、ずっと叫んでいる。

 神さまのこと、自分が一番、大好きなんだって。



「…」

 黒い長い髪のラー神さまは、思い詰めた表情でオレンジを見つめている。

 手に持って、かぶりつこうか迷っている。


「…気持ちを伝えたい」

 遠くで見つめる。天使ユズエルは、勇気をふりしぼっている真っ最中だった。

 頑張って、心の底から勇気を持ってくる。

 神さま。大好き。

 大好きな人に、言えるかな。

 行ける。

 歩み寄る。


「あの…、神さま。ごめんなさい」

 ユズエルは、ゆっくりと近づいて、頭を下げた。

「…」

 ラー神さまは一瞬、無言になった後、同じく頭を下げた。

「俺が、仕事ばかり考えていて申し訳ありませんでした」

 優しい神さまだ。

 いつもの、神さま。大好き。

 言おうかな。

 また、泣くことになるかな。


 言う。

「…大好き…」


 ひと言だけね。小さい声でね。

 期待してないの。

 どうせ無理だもん。

 だけど、神さま言うんだ。思いがけない言葉を。


「俺も、好きです」


 何で?そう思う。そんなわけ無い。

 神さまと、接点、全然無いんだ。

 その他大勢の天使の一人。

 しかも、性格、悪いんだ。

 神さまのことなんて、好きになっちゃうんだ。


「ずっと、独りでした」


 神さまは、言う。

 誰にも、好きと言われたことは無い。

 ずっと、孤独だった。

 ただ、天界の皆んなが大好きだった。

 でも、返ってくるのは、“ありがとう”だった。

 “大好き”じゃなかった。


「誰かに、大好きになって欲しいです…うう」

 神さまが、泣いた。


 神さまが泣いた。

 ありがとうは、いらないの?

 大好きが、欲しいの?


「神さま、泣かないで」

 なでなで。

 神さまの頭をなでてあげる。

 この前のお返し。

「俺を“好き”になってくれてありがとうございます…」

 泣いた後の神さまと手をつなぐ。

 男の人の手だなって、思った。


 神さまに、“ありがとう”を言うのは、皆んな。

 “好き”と言ってくれるのは、一人の女の娘だった。



 その後、客室に戻った神さまは、疲れてすぐに眠ってしまったそうだ。

 ユズエルは、その神さまの寝顔を見守った。

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