第43話 ユズエルの恋心
糖京都心。甘味宮殿。
大広間。
「ただいま。皆んな」
女王アンコリンたちが、帰ってきた。
「ホーホケキョ」
訳・大丈夫?
「犯人が、見つかっただか」
大臣の、まめ子ときな子と手を取り合う。
天界から、ポカポカの魔導書を盗んだ犯人がいた。
柑橘天使デコポルだ。
大好きなペットのオレンジスライムのために、ソーラーオレンジを大量に実らせた。
黒影オレンジ農園と、グルだった。
本来は、黒影オレンジ農園だけに実らせるつもりが、魔導書の扱いに慣れていなかったために、糖京全体を大豊作としてしまったらしい。
天界の魔導書のセキュリティは、無い。
簡単に持ち出せたようだ。
「神さまは、わたしたち、柑橘天使のことを信じてるの。悪い天使がいるなんて思われたくない」
ユズエルは、悲しくなった。
天界は、神さまがいるのに、悪い天使もいる。
第43話 ユズエルの恋心
女王の食卓。
午後3時。
「今日のおやつも、ソーラーオレンジですよ」
メイプルくんが、お皿を二つ持ってきた。
その後ろからは、バーニさまも一つお皿を持ってくる。
アンコリンとスア丸。そして、ユズエルの分だ。
「またオレンジだけ?」
「他も食べたいワン」
「今回は、ゼリーを持ってきました」
ソーラーオレンジ1個と、小さなひと口オレンジゼリーだ。
オレンジ系、二つか。
文句の言いたいアンコリンだったが、向かい合わせで落ち込んでいるユズエルを見て、口をふさぐ。
「オレンジなら、神さまに食べさせたい」
大好きな神さま。
今、どうしているだろう。
「ソーラーオレンジの大豊作の件が解決したので、太陽のラー神さまに、再び来てもらう予定です」
オレンジシャツのメイプルくんは、微笑む。
「神さま。来るの?」
ときめく天使ユズエル。
神さまに会いたい。
女王応接間。
午後のおやつを終えたアンコリンは、本格的に、ユズエルに協力してあげようと思う。
大臣のまめ子ときな子も一緒にいる。
「わたし、あなたたちと仲良くないけど」
天使ユズエルは、不機嫌な顔をする。
確かに、ソーラーオレンジの件で騒がしくて、友情は深く無い気がする。
アンコリンは、気にしないが、ユズエルが気にする。
好きな人の話をしよう。
両想いになるため頑張ろう。
「つまりは、告白大作戦よ。ね?」
アンコリンは、ウインクする。
「告白…」
それは、天使ユズエルが、心の奥底で望んでいること。
「神さまと両想い…」
それは、現実にしたいこと。
「好きな方の話…」
神さまの話がしたい。
「アンコリンちゃんって、呼んでいいの?」
女の娘同士で盛り上がってみたい。
好きな方のこと。
「アンコリンちゃん。わたし、神さまが好きなの」
心を開いた純真な天使ユズエルは、顔が熱くなる。
好きって、ひと言。
それだけで、ドキドキする。
好きな理由は、カッコいいのと、皆んなに頼りにされてるの見てすごいのと、やっぱり神さまだから。
とにかく、カッコいいの。
神さまなんだもん。
カッコよすぎる。礼儀正しい。真面目。
異常なオレンジ好きだけど。
そこが、面白い方。
オレンジのことばっか考えてる。
わたしのこととか考えてくれないかな。
「…で、神さまってね。オレンジの香りの洗剤でお洋服を洗っているの。面白い方なの」
天使ユズエル。しゃべるのが止まらない。
大好きな方のこと。
ずっと、遠くで見てきたこと。
ウワサで聞いたこと。
たくさん言いたいの。もっと聞いて。
わたしの想いを言わせて。
「うん。うん」
「ホーホケキョ」
訳・そうなんだね。わかるよ。
「どんどん、言うだよ」
アンコリンたち、女の娘は、恋の話が大好き。
「うん。ありがとう。聞いてくれて」
天使ユズエル。笑顔だ。
言うと、楽になる。
誰かに聞いてもらうって、楽しいな。
「ホーホケキョ」
「想いの全てを力にするだよ」
「告白あるのみよ」
「告白…したい」
女の娘は、勇気が出てきた。
相手は、神さま。でも、大好きな気持ちを伝えたい。




