第4話 バーニさまルート
小学生時代。
アンコリンは、甘いものの食べ過ぎで太っていた。
糖京では、甘いものが好きでも、細身な人が多い。
アンコリンは、小太り。
いや。中太り。
子供心だからこそ、体重計に乗るのが嫌だった。
「デブ」
「ブス」
そんな言葉を聞くたびに、アンコリンは、言う人間をひっぱたく。
ビシ。バシ。
「太ってたって何も困らないわ!」
強気だった。強気すぎて、怒られた。
先生も、友達も、大嫌いだった。
親友は愛犬のスア丸だけ。
以降、健康的になるため、体重を落として可愛らしさを手に入れたアンコリン。
トラウマで、過去の人々は、好きになれない。
「他人は嫌い。スア丸が好き」
スア丸の背中をなでてあげると心が楽になった。
第4話 バーニさまルート
氷菓の精霊バーニさま。
バニラを司る、イケメン精霊。
ロマンチストで、数多くの女の娘とお付き合い経験が豊富にあると言われているプレイボーイ。
それでも、本命は、甘味女王シュガーリーだと言う。
糖京都心。氷菓邸。
氷菓の精霊バーニさまの豪邸。
「アズから頼まれたよ。言い寄られたから、代われって」
バーニさまは、バラをいじっている。
「何よ。ヒドいわ」
「ヒドいワン」
アンコリンと愛犬スア丸。
「でも、お屋敷お隣り同士なのね」
徒歩1分だ。
この周辺は女王に仕える甘味精霊の豪邸だらけのようだ。
お金持ちで、仲間同士で、豪邸を連ねているなんて、なんて贅沢なのだろうか。
ちょっと、ムカつく。
そのお金を甘いものを食べるために使わせて欲しい。
「じゃあ、オレのところでの試練を説明しようか」
「あ、はい」
「バニラビーンズと砂糖を混ぜる魔法をおぼえてもらうよ。出来そうかい?」
バニラアイスを作るのだろうか。
アンコリンは、持参している砂糖を、デスクの上に置く。
今度は、試練に集中しようと思う。
少女マンガみたいに上手くいくことも、無い。
しかし、バーニさまも、カッコいい。
美しい立ち居振る舞い。香水の香り。
ちょっと、心が動く。
そんな中。
ジッと。見つめられていることに気付く。
バーニさまが、熱い眼差しで、アンコリンを見ている。
大きく、手を広げている。
抱きとめる準備もOKってことではないか。
「アンコリンちゃん…」
「バーニさま…」
飛びついちゃおうかな。
見つめ合う。ウインクされる。
これは、確実に両想いビッグチャンス!
飛び込むしか無い。
行け。私。
「バーニさま〜…」
だきっ。
強く抱きしめ合った。ドキドキしてる。
ワクワクしている。ときめいている。
二人だけの時間。
「ふざけるなワン!」
ドンっ。
怒りマークの愛犬スア丸が、バーニさまとアンコリンを引き離した。
「ふざけるなワン!ふざけるなワン!」
「お、落ち着いて。スア丸。これは、野望の一手なのよ」
次期女王候補として、イケメン精霊をGETしていくつもりなのだ。
「アンコリンも、大嫌いワン!」
「え」
アンコリンは、頭が、固まった。
愛犬のスア丸が、自分を嫌うはずが無い。
「大嫌いワン!」
スア丸は、泣き出してしまった。




