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あんこデラックス  作者: キノぴょ
4章 〈異常なまでのオレンジ〉
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第39話 主食にオレンジを

 糖京都心。甘味宮殿。

 応接間。

「神さま。帰っちゃった。わたしも帰ろうかな」

 わたしは、ひねくれた天使ユズエル。


「わたし、大好きな神さまの前でしか良い子じゃないから」


 だいそれたことばかり考える天使。

 神さまの前でしか、良い子は演じない。

「人間さん。今から、全力でポカポカの魔導書を探してちょうだいね。待ってるから」

 自分で、動くつもりなんて無い。

 この人間たちが、働けばいい。人間なんて、働くのが楽しい生き物たちなのだから。


「甘味女王とか言ってるけど、…フツウすぎ」

 アンコリンをにらむ。

 驚いた顔してる。人間のくせに女王とか言うから。

「女王の婚約者とか言って、…ただの犬じゃん」

 スア丸をにらむ。

 きょとんとしている。バカな犬なんだろう。

「イケメン精霊代表って、…カッコ悪いんだけど」

 バーニさまをにらむ。

 表情が変わらない。耳がおかしいのだろう。

「お目付け役って、…おチビちゃんじゃない」

 メイプルくんをにらむ。

 笑っている。自虐的なのだろうか。


 その後、アンコリンたちは、気づいた。

 “この娘。神さまのこと好きなんだ”。

 “すごい片想いをしている”。


 助けてあげたい。その一択だけが思い浮かんだ。



 第39話 主食にオレンジを



「…怒らないの?地上界の人間たち」

「怒ったりしないさ。ラー神さまの食事は、心配だろう。わかるよ」

 天使ユズエルの前の男の人、バーニさまは、神さまの心配をしてくれた。

「私も、怒らないわ。あなた、神さまのことが好きなのね」

「え」

 甘味女王アンコリンは、女の娘の“好き”に、興味津々だ。

 シュガーリー。カブアン。佐糖さん。

 たくさんの恋を見守った。そして、手伝った。

 今度は、天使ユズエルの番なんじゃないのかな。

 神さまと恋しちゃうなんて、すごい恋だ。

 見逃せない。

「わたしは、ポカポカの魔導書を探してって…」

 天使ユズエルは、調子が狂ってしまう。

「その前に食事を改革するべきだ」

「神さまが、糖ニョウ病で無いのなら、主食をオレンジにしてみるのはどうでしょう」

 バーニさまとメイプルくんは顔を見合わせて考える。

 医師では無い。神さまのこともわからない。

 しかし、食事だ。

 このストレスをかかえては、身体に悪い。

 人間だろうと、神さまであろうと、だ。

「神さまに主治医がいるのなら、それと相談して、主食にオレンジを組み込む食事を検討してもらおう」

「そうですね。天界に意見書を送りましょう」


 ノートパソコンに向かったメイプルくんは、手早くメールを送信する。

 返信は、すぐ返っては来ない。

 やはり、天界は、ラー神さまの食事に疑問を持っていないのだ。ブラックだ。


「すぐ返信が来ないということは、人員すら置いていないということでしょうか」

「黒いな」

 二人の甘味精霊は、次の手を考える。


「ユズエル。私とお友達になりましょ」

「え。えーと…」

 アンコリンに手を差し伸べられて、心が揺れる。

 人間なんかに、友達なんてなられても困る。


「私、恋って大好き。元気になれるもの」

 心の中に、スア丸がいる。隣りにも、スア丸がいる。

 幼い頃から一緒の愛犬。

 大好きなケモミミ男の子。

 今なんて、婚約者になっちゃった。


「…」

 この女の娘。すごく楽しそう。

 恋が、大好きになれるんだ。良いな。それ。

 楽しくなれるのかな。

 こんな感じの女の娘みたいに、楽しく恋を考えられるようになりたいよ。

「わたしの好きなのは神さまだもん。叶うわけないよ」

 うつむく。恋なんて、つまらないじゃん。


「とにかく、天界にあるソーラーオレンジを豊作にして、食事を改善するのが得策だろう。メイプル」

「そうですね。バーニさん」

 ソーラーオレンジのことがわかる書物が、最大図書館にあることを思いつく。

「神さまの食事を良くしてあげるのね」

「図書館、苦手ワン」

 アンコリンとスア丸、ユズエル、バーニさまとメイプルくんで、甘チョコ区の最大図書館に向かうことにする。

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