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あんこデラックス  作者: キノぴょ
4章 〈異常なまでのオレンジ〉
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第38話 太陽神をおもてなし

 糖京都心。甘味宮殿。

 女王応接間。

 最上級のお客さまを迎える。

「はじめまして。女王アンコリンよ!」

「女王の婚約者スア丸だワン!」

 元気いっぱいにあいさつした。

 待っていたのは、年頃の女の娘が一人。

 真っ白な服は、神話の登場人物のようだ。

 女の娘は、翼を、出したり、消したり出来る様子。

「天界の天使さまだ」

 オレンジ色の礼装のバーニさまが教えてくれる。

 天界。天使。

 ファンタジックな響きだ。

「遅れて、太陽神も来る予定だ」

 太陽神の到着は、まだらしい。


「わたしは、天界の天使ユズエル」

 自己紹介をされた。

 天使ユズエル。年齢不詳。

 ゆず色の髪の女の娘。

 神話のような白い衣服を着ている。

 女の娘一人だけで、話に来たのだろうか。

 でも、同世代っぽくて話が合いそうだ。


 地上でのソーラーオレンジの大豊作。

 それは、太陽神の望むところでは、無いと言う。

 本来、天界で豊作をもたらすのが、ソーラーオレンジなのだと言う。

 太陽神の大好物だ。

 それが、地上で大豊作となり、天界で不作となった。



 第38話 太陽神をおもてなし



 天界。

 神さまと天使が住む天上界のこと。

 アンコリンたちが住むのは、地上界と呼ぶ。


「ポカポカの魔導書が無くなってしまったの」

 天使ユズエルは、深く目を閉じる。

 ポカポカの魔導書とは、太陽神の愛用する、晴天を操る魔法の書物。

 その力は、今まで、天界のソーラーオレンジの楽園を照らすために使われてきた。太陽神の大好物のオレンジを大豊作にさせるためだ。


 それが、突如として、無くなってしまった。


 あわてて探したが、手がかりは無い。

 手がかりは、地上界でのソーラーオレンジの大豊作。

 ポカポカの魔導書が使われた可能性がある。

 それを調べるのが、天使ユズエルの来た目的だ。


「わざわざ、調べに来なくても、私たちで探すわよ」

 友好的なことをアピールするアンコリン。


「…せっかく、神さまに会えるのに、頑張ってもらったら、困るんだけど」


 女の娘の、天使ユズエルがつぶやく。

 アンコリンのことをにらんでいる。

 どうやら、神さまに会いたいらしい。

 会いたい人って、ことかな。



 間もなく、太陽神が馬車で到着した。

「俺、太陽のラー神といいます。よろしくお願いします」

 礼儀正しい人物である。

 太陽のラー神さま。年齢不詳。神さま。

 黒くて長い髪を、後ろで結っている。

 オレンジカラーの道士のような服を着ている。

 オレンジ色の服ばかり持っていて、その中でも、お気に入りの一着であると言う。


 ラー神さまは、食卓に直行した。

「早速ですが、ソーラーオレンジを食べさせていただけますでしょうか」

 大のオレンジ好きの太陽のラー神さまは、地上界で大豊作となっているソーラーオレンジを食べたがる。他のオレンジばかりを、食べていて、欲求がたまっているらしい。

 楓の精霊メイプルくんが大きなお皿に乗せて持ってくる。

 5、6個だろうか。


「うおー…です!」

 食卓のイスに座る、太陽のラー神さまは、オレンジを見て目が炎のように燃え上がる。

 テーブルに乗った瞬間に、皮ごと丸かじりした。

 皮は苦そうなのだが、ラー神さまにとっては、これが普段からの食べ方。

 ガブガブとオレンジを食べつくしていく。


「神さま。食べすぎ…」

 天使ユズエルは、離れて見守る。


 オレンジは、おかわりが何度か持ち運ばれ、総数は数十個ほど食べきってしまった。


「最高のおもてなしに、感謝いたします」

 太陽のラー神さまは、起立をして、礼をした。

 礼儀正しく、真面目である。

 しかし、その後、いそがしい神さまは、すぐに天界へ帰ってしまった。



 女王応接間。

 天使ユズエルだけが残った。

「神さまは、とてもいそがしい方なの」

「大変だな。天界のペース配分を疑うな」

 氷菓の精霊バーニさまは、腕を組んで厳しく思う。

 食事は、人にとって、神にとっても必要なはず。

 重要な課題とするべきだ。

「アンコリン。太陽神は、仕事場に恵まれていないようだ」

「あれだけ、オレンジ好きなのに、可哀想だわ」

 アンコリンも、いそがしい神さまに疑問を持った。

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