第33話 サハギンさまとお寿司
甘港区。女王別荘。
ゴロゴロ…ゴロゴロ…。
ザーーーーーっ。
外は、曇天。突然の大雨。
ウオ市場の視察を終えて、帰った頃に降りはじめた。
「わ、わたしの彼氏のサハギンさまです」
「よろしくお願いする」
別荘の室内では、くもり眼鏡の佐糖さんが、彼氏となったサハギンさまのご紹介をしていた。
お互いに気になっていた二人。
しょっぱいより、甘い。
それを目指してようやく二人の心が通じ合った。
「オリヒメ代表は、男と見れば、すぐ飛びつくだけの女の娘なのだ。すまなかったな」
サハギンさまは、頭を下げた。
「いえいえ。好き同士なことがうれしいから。反対に申し訳ないくらいですよ」
「確かに、オリヒメ代表には、後で、正式に謝罪しなければいけないな」
目が合う二人。微笑み合える。
甘い恋が続いていくことだろう。
アンコリンたち、見守る方もうれしくなる。
「俺は、佐糖さんのことが好きだ」
「わたしは、サハギンさまのことが大好きです」
両想いだった。
甘〜い、砂糖の海の力は、すごいのだ。
第33話 サハギンさまとお寿司
お寿司。
魚とシャリのコンビネーション。最高の食の一つ。
「お土産でもらったお寿司を食べましょ」
「お寿司大好きワン」
大皿でもらったお寿司を、皆んなで分ける。
ここで、人の好みというのが、よくわかる。
アンコリン。甘えび派。
甘えび軍艦多めとマグロ寿司を一つ。
スア丸。雑食派。
全種類食べるつもりでいる。
佐糖さん。サーモン派。
全部サーモン寿司。サーモン三昧。
ここで、お寿司を分けていたサハギンさま。
佐糖さんが、サーモン派と知る。
自分もサーモン寿司にする。
「佐糖さんは、サーモン派なのか」
「そうなんですよ。昔は、えび好きだったんですけど。最近は、サーモンにハマっちゃって」
「そうか。俺も、同じものを食べよう」
「え。良いんですか?」
「同じものが良い」
早速の仲良しぶりである。
「オレは、マグロ派かな」
「ボクも」
アロハシャツのバーニさまとメイプルくん、マグロ派。
「ホーホケキョ」
訳・えび一択。
「あだすも、えび大好きだべ」
まめ子ときな子、えび派。
結局、好みは別れたが、種類豊富にいただいたため、皆んなで色んなお寿司を楽しんだ。
「サハギンさま。本当は、どのお寿司が好きなんですか?」
佐糖さんは、自分がサーモン派だったために、合わせてくれたサハギンさまの趣向が気になった。
「俺は、マグロ派だ。サーモンは、2位だな」
サハギンさまには、ウオ市場という働き場所がある。
色んな魚介類を見て、さわって、口にするが、結局は、マグロ派に落ち着くらしい。
絶対王者、マグロである。
「新鮮なうちに、刺身も良いぞ」
やはり、ウオ市場の新鮮な魚たち。
刺身で食べてほしいと思っているらしい。
「うふふふ」
笑みがこぼれる佐糖さん。
大好きだった。
大好きになったサハギンさまのお仕事の話が、本人から聞ける。うれしい。うれしい。
海は、砂糖で出来ていた。
これは、確実。
目の前で、サハギンさまが照れながら、こっちを見ている。見てくれている。うれしい。うれしい。
こんな甘い恋が出来るのは、涙真珠のネックレスが、恋のお守りだったからだろうか。
自分の実力で、恋を実らせたとは思えない。
「佐糖さんは、とても心優しい女性だと思う」
「そ、そうですか?」
サハギンさまは、佐糖さんのことを、“心から優しい”と思っていてくれたらしい。
心優しいだなんて、照れますよ。
お寿司を思う存分、食べきった。
後は、本日のメインイベントの話になる。
納涼花火大会だ。お祭りだ。
海の近くの公園広場に、出店が立ち並び、夜空に打ち上げ花火が次々と放たれる。
夏の風物詩だ。
雷と大雨は、一時的だった。
最悪、花火は中止になるかもしれないが、出店で食べたり遊んだりは、出来るはず。
皆んなで、浴衣に着替えて、お祭りへ行こう。




