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あんこデラックス  作者: キノぴょ
3章 〈海は、砂糖で出来ている〉
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第30話 佐糖さんの真珠

 甘港区。女王別荘。

「あれ?」

 佐糖さんは、首元に違和感を感じて、あわてはじめる。

 いつも、身につけている涙真珠のネックレスが無い。

 どこかに落とした?

 置き忘れた?

 全然、思いつかない。

「どうしたら…」


「人魚の涙のネックレスが無いんです…」

 泣いてしまう。

 わたしは、恋に憧れてきた。恋に落ちる日を待っていた。

 はじめて、現実の人を好きになったのは、最近。

 理想が高すぎる中で、出会った。

 イケメン精霊サハギンさま。

 この人と、つながりを持てる自信をくれたのは、子供の頃に、おばあちゃんからもらった真珠のネックレス。

 人魚の涙で出来ていて、人魚の涙は砂糖で出来ていて、とても甘い恋をできるお守り。

 しょっぱい海に、甘い砂糖を混ぜた涙真珠。

 これを身に着けていると、サハギンさまに近づける気がしていた。

 好きになってもらえる気がした。

 両想いになれる気がした。

 無くなったら、振り向いてもらえなくなる気がした。



 第30話 佐糖さんの真珠



 涙真珠のネックレス。

 海が砂糖で出来ていると言うウワサを作った、人魚の涙で出来ている真珠の首飾り。

 甘い成分で出来ているらしい。

 人魚の涙は、悲しみのしょっぱさじゃない。

 人魚は、喜びの甘い涙を流すのだと言われている。

 恋のお守りとして、持ち歩くと良いとされる。


「えええ。真珠のネックレスを失くしてしまったの?」

 寝起きのアンコリンは、驚く。

 ひとまず、荷物の中を探して、無い。


 海上レストランに入るところまでは、持っていた。

 これは、アンコリンがおぼえている。

「海上レストランに問い合わせてみましょう」

 アロハシャツのメイプルくんが、海上レストランに電話する。落とし物に真珠のネックレスがあると言う。


「よ、良かったです。取りに行きます」

「女王専用車で行きましょう」

「い、いいえ。そこまで、ご迷惑はかけられません。外は、暑いですし、わたし一人で取りに行きます」

 佐糖さんは、一人で、海上レストランに向かった。

 この後、佐糖さんは戻ってこなかった。



「遅いわ。何かあったのかしら」

「ホーホケキョ」

 訳・心配になってきた。

「この暑さで倒れてしまってないべか」

 アンコリン、まめ子ときな子。

 佐糖さんが、熱中症で倒れる姿を想像してしまう。


「オイラが、何とかするぞ」

 アロハシャツのかき氷の精霊ブリザードくん。

 まめ子、きな子たちと来ていたようだ。

「ブリザードなら、氷撃で熱中症のリスクを下げられるから、役立つだろう」

 アロハシャツのバーニさまは、クーラーボックスに、熱中症対策ドリンクや、氷まくらなどを詰め込む。

 テキパキと準備をしてくれる氷菓の精霊。

「オレも、氷菓の精霊だ。氷撃が使えるから、役に立つつもりだよ」

「夏の心強い味方ね」


 アンコリンたちは、佐糖さんを探しに行く。

 道のりをたどる係が、まめ子ときな子とブリザードくん。

 海上レストランへ行く係が、アンコリンとスア丸、バーニさま、メイプルくんだ。



 夕方過ぎ。

 甘港区。海上レストラン。

「美味しいペン」

「素晴らしい料理ペン」

 レストランの中はペンギンのお客さまで満員だった。

 ペンギンは、海兵のセーラーに身をまとった学生たちで、どれもこれも強気な態度で、スタッフに文句を言っている者もいる。

 海兵ペンギン軍事学校の生徒たちだ。

「胡麻ドレッシングにしろペン」

「苦いペン。甘いものを無料にしろペン」

 騒がしいペンギンたち。


「たくさん、ペンギンがいるわね。スア丸」

「アンコリン。僕のアニマル仲間ワン」

 見渡す限り、ペンギンが食事をしながら、おしゃべりをしている。

「海兵ペンギンだな。海を警備する候補生たちだ」

 バーニさまは、にぎやかすぎるなと思う。

「男子校だから、女の娘好きとして有名ですよね。ボクが、女王アンコリンのことは守りますよ」

 メイプルくんの言う前から、ペンギンたちは、アンコリンに注目しはじめている。

 佐糖さんは、どこだろう。

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