第29話 両想いになりたい
甘港区。海上レストラン。
「これから、食後のデザートを食べてね」
「選んでワン」
甘味女王アンコリンの言葉で、甘いものタイムへと進む。
アンコリンは、午後3時のおやつしか許されていないが、佐糖さんとサハギンさまは食べられる。
「佐糖さんは、どんな甘いものが好きなの?」
アンコリンは、自分の甘いものは我慢して佐糖さんに質問する。
「わたしは、サツマイモスイーツが好きです」
デザートメニューから、サツマイモプリンを選ぶ。
サハギンさまは、大好物は無く、甘いもの全般が好きだと言うので、同じサツマイモプリンにする。
かくして、佐糖さんとサハギンさま。並んで同じスイーツを召し上がることになった。一皿に、デコレーションのクリームがたっぷり乗っかったサツマイモプリンだ。
美味しそうなやつである。
二人、カウンター席にお隣り同士。
甘いものを、一緒に、ひと口。
「甘いです」
「甘いな」
人魚の夢が叶った。
好きな人と甘い時間を過ごしている。
後は、両想いになるだけ。夢は広がる。
第29話 両想いになりたい
サツマイモプリン。
コンビニでも買える、サツマイモスイーツ。
甘港区。女王別荘。
午後3時。
「何で、私のおやつは、コンビニのやつなのよ」
「アンコリン。コンビニのでも美味しいワン」
帰路の途中、寄ったコンビニで、サツマイモプリンがあったので買ってきた。
だって、食べてるの見て、美味しそうだったから。
佐糖さんが、美味しそうに食べていたから。
アンコリンとスア丸。
そろって、3時のおやつの時間だ。
「1日1個だけですよ。女王アンコリン」
アロハシャツのメイプルくんは、厳しい。
「甘味女王って、糖質制限しているんですね」
佐糖さんだ。
手には、荷物を持っている。
女王専用車で、寄り道して、佐糖さんのマンションから、宿泊用荷物を持ってきていた。
佐糖さん。
海鮮精霊サハギンさまと両想いになりたい。
その願いを手伝うため、女王アンコリンは、協力する約束をしたのだ。
「アンコリンちゃんの別荘って、広いですね」
「女王だからな」
佐糖さんの感想に、アロハシャツのバーニさまが答える。
サツマイモプリンをひと口。
「あ、ま〜〜い」
「甘〜いワン」
プリンのなめらかさは、最高である。
コンビニで、幸せは、買える。
おやつ。食後。
甘い思いを共にした、アンコリンとスア丸は、手をつないでソファで、甘い余韻にひたる。
「甘かったわ」
「最高ワン」
くもり眼鏡の佐糖さん。
半袖の新品シャツとズボンに着替える。心機一転だ。
「サハギンさま…」
頭の中は、サツマイモプリンを一緒に食べた、憧れの人のことでいっぱいだ。
冷房の効いた別荘で、アンコリンも佐糖さんも、甘いことを考えている。
この余裕を生み出すのは、社会で働く人々のおかげだ。
「そろそろ、女の娘の増える頃かな」
ドアベルが聞こえて、バーニさまは、玄関に迎えに行く。
「ホーホケキョ」
訳・外、暑い。
「車の冷房は、ありがたいだよ」
二人の甘味大臣。まめ子ときな子だ。
抹茶の精霊でアロハシャツのマチャさまと、さつま芋の精霊でアロハシャツのサツマさまが、荷物をかかえている。
「ぐう」
「眠っちゃってるワン」
甘い夢の中のアンコリンの頭をなでてあげるスア丸。
「ホーホケキョ」
「おやつの時間だっただか」
右大臣まめ子と左大臣きな子。共に、海色のワンピースを着ている。
「佐糖さん。恋してるだか」
「ホーホケキョ」
訳・両想いになれれば素敵。
「そうなんですよ。両想いになりたいんですよ」
佐糖さん。どんどん我がままになっていく自分を感じる。
「ホーホケキョ」
「恋は、我がままなもんだべ」
「どうすれば、両想いになれますか?」
「ホーホケキョ」
訳・告白でしょう。
「告白して、首根っこつかむだ」
「え、えええ」
佐糖さん。困るけれど。心の気持ちは、同意している。
だって、甘いはず。しょっぱいのは、違う。
両想いになりたい。




