第26話 水着!屋内プール!
甘港区。女王別荘。
海をながめる高台の住居。
思ったよりは、海から離れている。
開放的な屋内は、避暑地としては、最高である。
ここも、先代シュガーリーの頃からある場所。
女王別荘というだけあって、リッチ感は、かなり高い。
「私、こんなに広いところで休んでいいの?」
「女王住居も広いワン。別荘も広いワン」
ワンピースのアンコリン。Tシャツのスア丸。
「シュガーリーの趣向だからなあ」
「本当に、広いですよね」
アロハシャツのバーニさま。メイプルくん。
他の大臣二人や、甘味イケメン精霊も、交代で休むようにするという。
こんな暑い夏。皆んな休んでも良いと思うが、社会をまわす大人は、全員一緒に休むわけにはいかない。
それぞれ、手荷物をそれぞれの部屋の中に置く。
アンコリンは、水着をちゃんと用意してきた。
外は暑いので、屋内プールランドに、行く!
第26話 水着!屋内プール!
屋内プールランド。
甘港区にある、一大アミューズメントパーク。
「ワ、ワン」
「おお」
「可愛いです」
一匹と二人の男性陣が、多様なリアクションを取る。
キラキラ〜ン。
「似合ってるかしら」
サングラス。ビキニ。パレオ。
キュートな水着姿のアンコリンである。
男性陣は、全員、パーカーと海パン。
屋内プールランドは、満員御礼。
家族連れやカップル。友達同士などが行き交っている。
皆んなでプールに入る。
「私、言いたいことがあるの」
「どうした。アンコリン」
「バーニさま。私、泳げないから」
と、言って、すぐにバーニさまに捕まってしまう。
「アンコリン!僕に捕まって欲しいワン」
ケモミミのスア丸が、引き寄せてくる。
「きゃああ…」
ジャボン…。ブクブク。
アンコリンは、バランスを崩して潜水してしまったが、バーニさまに助けられる。
「泳げない人魚姫だな」
「う、うはー」
アンコリンは、水を思いっきり吐き出す。
スア丸が、謝りながら、頭をなでる。
「ごめんワン。アンコリン」
「だ、大丈夫じゃない…」
プールの浅い方へ移動したアンコリンとスア丸。
子供だらけだ。
その中で、水中メガネをした、芋色の髪をしたきれいなお姉さんがいた。
「あなた方も、泳げない方ですか?わたしもなんです」
話しかけられた。
女性は、佐糖イモ代。26歳。
眼鏡女子。宝石店の従業員。泳げない。
お野菜学園の卒業生だと言う。
お野菜学園。
甘獄。お野菜以外食べてはいけない校則のあった学園。
現在は、甘味女王アンコリンたちの活躍で、解放された。
「お野菜学園のジャガイモ会に参加したんですけど、フライドポテトが、とても美味しかったです」
佐糖さんは、微笑む。
あのジャガイモ会には、卒業生も参加していたのか。
レタス2枚から比べたら、感無量だったろう。
「わたし、ちょうどレタス食がはじまった10年前の生徒だったから、レタス2枚になった時は、驚きました」
佐糖さんの首元で、真珠のネックレスが光沢を放つ。
「真珠のネックレス。綺麗ね」
アンコリンは、瞳を輝かせる。女王だが、宝石類は、身につけたことが無い。
「これ、砂糖で出来てるんですよ」
佐糖さんは、思いがけないことを言った。
「え」
「この甘港区には、伝説があって、人魚の涙が砂糖になると言われているんですよ」
人魚。
上半身が人間。下半身が魚の伝説上の生き物。
その人魚が、流した涙は、砂糖になると言う。
「じゃあ、“海は、砂糖で出来ている”の?」
「人魚の流した涙の成分が入っていることは、間違いないですね」
佐糖さん、うなづく。
「“海は、砂糖がふくまれている”のね」
アンコリン、納得。
人魚の流した涙が砂糖で、その成分が、海に混ざっていると言うことなのだ。
「へえ。そうなのか」
「ボクの言ったことは事実ですよ」
パーカーと水着のバーニさまとメイプルくん。
「人魚の流した涙が、この涙真珠なんです」
佐糖さんと知り合ったアンコリンたち。
この後の昼食タイム。佐糖さん行きつけの海上レストランに同行することにする。




