第17話 おかしい食事情
1年前。
私立お野菜学園。入学式の頃。
「同じ学園に入れましたね」
「うん」
クリッツくんとカブアン。
二人共に、お野菜学園の学生服。
「クリッツくんは果物精霊なのに、お野菜学園で良いの?」
「カブアンと一緒に、管理栄養士の資格が欲しいんですよ」
眼鏡のクリッツくん。
クリッツくんは、栗の精霊。栗は、果物部類に入る。
栗は、甘いものとしても有名。
この糖京にいる甘味イケメン精霊にもなれるのに。
お野菜学園でいいのかな。
「ぼくは、管理栄養士になって、糖京の人たちの健康を守っていきたいと思っています」
大きな夢を持っている。
「わたしは、カブのお野菜精霊だから、管理栄養士の資格を取らなくちゃいけないだけ」
うつむく。
「将来とか、考えてないの」
大きくうつむく。
「カブアンは、ぼくに大きな目標をくれましたよ」
「え」
「しっかり者になろうって、思わせてくれました」
「しっかり者…?」
「そうです。お野菜学園でもよろしく」
「うん。よろしくね」
仲良く握手するカブアンとクリッツくん。
この後、レタス地獄がはじまった。
第17話 おかしい食事情
お野菜学園の食事情。
主食が、レタスだったこと。
レタスに、生野菜をはさんで食べるだけの食事を提供し続けていたこと。
全ては、お野菜学園会長レタさまの方針らしい。
現在。
私立お野菜学園。
朝食は、きな粉モチ。皆んな。甘い朝を迎えた。
甘味精霊キッチンカー。
きな粉モチを運んできた、甘味イケメン精霊たちの車。
甘味イケメン精霊が片膝をついて待っている。
アンコリン、スア丸、カブアンとクリッツくんが来た。
「アンコリンちゃん。新しい甘味女王っていうのは、本当なの?女王は、シュガーリーだったよね」
「カブアン。私、交代したばかりの新米女王なの」
王政に疲れて、倒れた女王シュガーリー。
色々あって、アンコリンが、新米女王なのだ。
婚約者は、愛犬のスア丸。
「そうなんだ…」
「今まで通り、仲良くしたいわ。カブアン」
両手を差し伸べる。
「うん。アンコリンちゃん」
カブアンと手をつなぐ
出来たばかりの女の娘同士の友情だ。
「女王ってことは、ずんだモチときな粉モチを提供してくれたのも、あなたなのですか?」
クリッツくんが、首をかしげる。
ずんだモチときな粉モチを用意することを発案したのは、大臣のまめ子ときな子だ。
「私、甘味女王の、初の大仕事として、お野菜学園の改革を目指しているのよ。ね。スア丸」
「頑張るワン。アンコリン」
「この学園を、おかしくしている原因が、食事情なのは、わかった」
氷菓の精霊バーニさまは、レタス主食を学生全員の食事としているのは、異常だと思っている。
学生の主食は、自由で良い。
だからと言って、甘味ばかり食べるのも良くは無い。
バランスが、大切なのだ。
「おかしくした犯人は、レタさまという方よ」
アンコリンは、レタス大農園を持つ、お野菜学園会長を犯人であると考える。
「え…。アンコリンちゃん。ちょっと待って」
情報を教えてくれたカブアンがあわてている。
説明不足な点があったと言う。
「会長レタは、現在行方不明なのです」
お野菜学園長ハピーマン・ウーマンだ。
「甘味女王アンコリン。聞いてください。レタは、悪いことをするような方ではありません」
学園長が、悲しげな顔をしている。
お野菜学園会長レタさまは、現在、行方不明中らしい。
信じて欲しいと願っている。
レタさまの不在の中、大農園から、毎日新鮮なレタスが送られてくるのだそうだ。
もちろん、レタさまの命令ということにはなっている。
しかし、レタさまは、そんな人では無い。
学園長ハピーマンの大事な親友だ。
同じ緑黄色野菜精霊として、彼を信じたい。
「レタスを提供し続けているのは、何故?」
「会長レタの命令の魔導書があるからです」
命令の魔導書。文章を実行させる命令の書である。
これは、一度サインされると、本人以外取り消すことが出来ない。
行方不明になった、レタさまが悪いのだろうか。
魔導書を作った人物は、確実にいる。




