第16話 解放のはじまり
小学生の頃。
「カブアン。モンブラン食べましょうよ」
眼鏡で、果物精霊のクリッツくん。
「あーとーでー」
頭が悪くて、勉強ばかりしていたカブアン。
管理栄養士になるため、猛勉強ばかり。
「休んで良いですよ」
「良くないもん」
カブアンのお勉強ドリルの上にモンブランが置かれる。
美味しそう。甘い栗の香り。食べたい。
「食べましょう」
「う、うん」
我慢できなくなったカブアンは、ペンからフォークに持ち替える。
あむっ。
甘い。栗、最高!
「美味しい。ありがとう。クリッツくん」
「良かったです。ぼくも美味しいです」
二人で、モンブラン。
楽しい。うれしい。モンブラン。
「ずっと一緒に、食べたい」
「ぼくも、ずっと一緒に食べたいです」
笑顔。
これだけで、幸せだった。
第16話 解放のはじまり
管理栄養士。
お野菜精霊に、必須の資格。スキル。
糖京都心。私立お野菜学園。
女性寮。
転入生のアンコリンは、カブアンのルームメイトとなった。愛犬スア丸は、男子寮のバーニさまと相部屋だ。
「果物精霊のクリッツくんって、幼なじみ?」
アンコリンの質問に、カブアンがうなづく。
顔が熱そうだ。
きっと、恋してる相手なんだろう。
クリッツくんは、隣りのクラスのY組で、このお野菜学園に通っているらしい。
「管理栄養士の資格が欲しいんだって言ってる」
本当は、幼なじみ同士。同じ学園に通いたかったのなら良いのにな。
でも、規則の厳しいお野菜学園。
素直に喜べないことばかり。
「この食堂がヒドいのよね」
「…言えない」
「言わせないのね。ますます、ヒドいわ」
昼食は、レタス2枚。
レタス2枚のサラダは、完全セルフで、自分で作る。
この、サラダ食堂の仕様は、誰が決めたのか
「お野菜学園会長レタさまが決めたの」
このお野菜学園では、お野菜精霊のレタさまと言う人物が会長を務めているらしい。
レタさま。
レタス色の髪のイケメンお野菜精霊。
レタス大農園をいくつも持っていて、そのレタスを食堂の食事としている。
「夕ご飯も、レタスなの?」
「レタスだよ」
「う、うう」
悲しい。アンコリンだった。
カブアンが、可哀想だ。
食堂。
夕ご飯を食べに来ると、まめ子ときな子がいた。
「ホーホケキョ」
訳・ずいぶん変わった昼食だった。
でも、夕ご飯は、甘味にしよう。
「甘味精霊たちに頼んで、ずんだモチのおはぎを頼んだだよ。美味しいだぞ」
きな子は、ずんだは枝豆。
お野菜の一環だから、大目に見て、OKだと言う。
「ずんだモチですよ」
楓の精霊メイプルくんが、エプロンをつけて現われた。
大きな木の皿には、ずんだモチがたくさんある。
抹茶の精霊マチャさま。さつま芋の精霊サツマさまも運んでくる。サツマさまは、元々は、お野菜精霊でもある。
「ずんだモチ…」
カブアンが、感動している。
座った席の目の前に、ずんだモチの木の皿が置かれる。
「カブアン」
眼鏡の男子生徒が現われた。
果物精霊のクリッツくんである。
「クリッツくん。どうしたの」
「カブアン。ずんだモチを甘味精霊たちが作って来てくれましたね。一緒に食べましょう」
「うん」
幼なじみのカブアンとクリッツくん。
二人仲良く、お隣りに座って、ずんだモチを食べる。
「甘い。甘いよ。クリッツくん」
「甘くて美味しいですね。カブアン」
二人は、笑顔で見つめ合う。
恥ずかしくなったカブアンは、顔をそらしてしまうが、それを、クリッツくんは、優しく見守っている。
今も、仲良し。
いつ以来の甘味だろう。
甘獄。
お野菜学園に入学してからだ。
「さすがよ。まめ子、きな子」
「ホーホケキョ」
「当然だべ」
三人は、うなづく。
転入生アンコリンは、思った。
この学園をおかしくしているのは、食事情。
それを、裏で、操っているのは、カブアンに聞いた。
お野菜学園会長レタさま。
この人物を止めれば、このお野菜学園を解放できる。




