第13話 甘獄への招待状
ジャパン国。糖京都。
甘いものが大好きな国民性の都市。
小豆、バニラ、メイプル。
チョコレート、抹茶、さつま芋。
甘味が、たくさんある。
ここには、10年前から、甘味女王シュガーリーがいた。
病気で倒れたため、次期女王候補が、三人集められて、試練が行われた。
シュガーリーの幼なじみソルトとの再会への協力。
10年間も、二人を引き離した首謀者三名は、刑務所送りとなった。
見事、甘味女王となったのは、アンコリン・オール。
あんこ色のふわふわ髪をしている、元気いっぱいの可愛い女の娘だ。
その婚約者は、愛犬スア丸。
すあま色の髪のケモミミ男の子。アンコリンと甘いものが大好き。
残りの女王候補。
右大臣に、ウグイスまめ子。ウグイスの被りものをしている真面目でお茶目な女の娘。
左大臣に、黄土きな子。きな粉色のショートカットの田舎弁が目立つ眼鏡っ娘。
甘味精霊代表は、氷菓の精霊バーニさまとなった。
バーニさまは、バニラ色の短髪のイケメンだ。
と、ここまでは、前回までのお話。
今回は、アンコリンの女王としての政治的目標が実行されたことが、引き起こした物語。
“お野菜の消費税減額”が、起因となった出来事である。
第13話 甘獄への招待状
糖京都心。甘チョコ区。甘味宮殿。
甘味女王の政治的活動の本拠地である。
「まだ、働かせるの?甘いもの、食べたいわ」
「食べたいワン」
ピンク色のドレスを着たアンコリンがつぶやく。
スーツ姿のケモミミのスア丸もうなづく。
「駄目です。おやつの時間まで仕事をしてください」
楓の精霊メイプルくんは、書類を整理する。
メイプルくんは、メイプルシロップ色の髪の美少年だ。
絶対服従の魔導書の呪縛を解いて、厳しいお目付け役となった。志願理由は、女王アンコリンが、若くて可愛かったかららしい。
先代シュガーリー派では無いのだ。
甘味女王の主なお仕事は、書類へのサインである。
簡単にできる分、書類の量が尋常では無い。
他にも、もちろん女王としてのお仕事はあるが、新米女王のアンコリンには、荷が重い。
お付きの甘味イケメン精霊たちに、代わりにやってもらっている。
「今日のおやつは、“あんこ”が良いわ」
「“あんこ”が良いワン」
「21アイスクリームじゃなくて良いんですか?」
「ア、アイスクリーム…」
アンコリンの心が揺らいだ。
午後3時。おやつの時間。
結局、21アイスクリームを食べているアンコリン。
そして、スア丸。
スプーンですくう。お口に運ぶ。
「あ、ま〜〜い」
「甘〜いワン」
甘味を楽しむ。
「女王になっても、同じものが食べれて、幸せワン」
「スア丸。当たり前じゃない」
アンコリンとスア丸は、見つめ合う。
ご主人様と愛犬のままだと思っていたのに、今は、女王と婚約者になった。
すごい変化だ。
甘いもの好きは、変わらない。
糖質制限で、3時のおやつだけになったけど、毎日、二人は、一緒に同じ甘いものを食べている。
それは、幸せなハッピータイムである。
これから、ずっと同じ甘いものを食べたい。
昔は、スアマが一番大好きだった。
今はもう目移りするほど、大好きな甘いものがある。
特に、伝統の和菓子“あんこ”は、格別だ。
「アイスクリーム美味し〜い」
「アイス美味しいワン」
今は、二人して、アイスクリームに夢中。
「…アンコリンは、いるか」
アイスクリームを楽しんでいると、氷菓の精霊バーニさまが、あわただしくやって来た。
「いるわよ。アイスクリームを食べてるわ」
「緑黄色区のお野菜学園から、招待状が届いてるんだ」
「…お野菜学園?」
甘味だらけの糖京に、お野菜学園。
そんなところがあるのか。
[甘味女王殿。お野菜学園会議に招待します]
甘味女王アンコリンへの招待状だった。
お野菜学園は、甘味スイーツを一切食べてはいけない。お野菜だけを食べなくてはいけない校則がある。
甘味好きの都民の“牢獄”と名高い学園。
ここへ行ったきり、出られない甘党がたくさんいるとか。いないとか。
「新しい甘味女王として、このお野菜学園を改革して欲しいと言う声が多いんだ」
バーニさまは、甘味女王になって初の大仕事として、このお野菜学園会議への参加を提案する。
「わかったわ。お野菜学園会議に参加して、甘味を食べれるようにすればいいのね」
アンコリンは、乗り気だ。
「その通りだ。オレも行くよ」
「僕も、ずっと一緒だワン」
バーニさま、スア丸もついて行く。
「では、行ってらっしゃいませ。女王アンコリン」
メイプルくんに見送られて、女王専用車に乗り込む。
さあ、お野菜学園に向けて出発だ。




