第12話 女王エンディング
糖京都心。女王住居。寝室。
「ソルト…」
甘味女王シュガーリーが、寝床から起き上がって、立ち上がる。
「シュガーリー…」
ソルトが、ゆっくりと歩み寄る。
目線を合わせる。微笑み合う。心の中で、謝る。
お互いに、心の声が聞こえたかのように許し合う。
「ごめんなさい…」
「俺こそ…、ごめん…」
やがて、二人は、抱き合った。
アンコリンたちは、遠くで見守った後、移動した。
大好きな幼なじみ同士、話したいことがたくさんあるだろう。お邪魔するのも良くない。
その後、回復した甘味女王シュガーリーは、女王の座を退陣することを発表した。
この後は、幼なじみで両想いのソルトの塩アパートで、一緒に暮らしていくという。
次期女王には、アンコリン・オールが選ばれた。
残り二人は、右大臣・ウグイスまめ子。
左大臣・黄土きな子に決まった。
甘味精霊代表は、氷菓の精霊バーニさまになった。
シュガーリーを好きだった甘味精霊たちの多くは、罪人とはならなかった。
一方、10年間も幼なじみを引き裂いた首謀者たち。
アズ、チョト、トーフの三名は、嘘つきの罪で、刑務所に入れられた。
糖京。新時代がはじまる。
第12話 女王エンディング
「今日の甘いものは、ミセスドーナツのドーナツ1個だけですよ」
楓の精霊メイプルくんが、お皿を運んでくる。
「糖分制限なんて必要ないわよ」
豪華なドレスに身をまとったアンコリンは、ナイフとフォークで、ドーナツを食べる。
「駄目です。糖ニョウ病のリスクがあるんですよ。甘いものは、制限します」
メイプルくんは、なかなか厳しい。
「…もう、しょうがないわね。スア丸。1個ずつ食べましょう」
「食べるワン」
ケモミミ、シッポで豪華なタキシードを着込むスア丸。
将来は、アンコリンと結婚する予定だ。
礼儀作法を習っている途中である。
「私、スア丸が大好き」
「僕も、アンコリンが大好きだワン」
見つめ合う。
今までは、ご主人様と愛犬。
今は、女王と婚約者だ。
「美しい女王アンコリン。ご機嫌は、いかがかな」
精霊代表バーニさまが、礼装で訪ねてくる。
「ご機嫌は、バッチリよ」
「上機嫌だワン」
「そうか。そうか」
女王就任にあたり、掲げた政治的目標について。
アンコリンは、甘いものの消費税の減額をかかげようとしたが、それでは、糖ニョウ病患者が増えてしまう。
ここで、アンコリンは考えた。
“身体に良い野菜などの食料品の消費税減額化”だ。
甘味女王としては、大胆な試みである。
甘いものは、適度に楽しみ。
身体を思いやり。
お野菜をいっぱい食べるのだ。
これで、皆んなが、ハッピーになれば良いな。
「じゃあ、野菜精霊と仲良くしなくちゃいけないな」
バーニさまは、笑う。
「お野菜精霊がいるの?」
「いるワン?」
「いるぞ。た〜くさんいる」
この糖京には、お野菜精霊もいるらしい。
ソイツらも、問題を抱えているのだろうか。
お野菜のお菓子もあるくらいなんだから。
先代シュガーリーの恋人は、塩味精霊ソルトなのだから。
無関係では無いだろう。
今度は、女王として、お野菜精霊の試練に立ち向かってもいいかもしれない。
「えーと」
そんなアンコリン。一つだけ心残りがある。
今、無性に、“あんこ”が食べたいのだ。
「今日の甘いものは、もう駄目ですよ」
厳しいメイプルくん。
「あ、ま〜い。“あんこ”が食べた〜い」
「食べた〜いワン」
ジャパン国。糖京都。
甘いものが大好きな人々が住んでいる都市。
甘味女王のもと、甘味イケメン精霊たちがいる。
甘いものばかりだと、糖ニョウ病になっちゃうぞ。
でも、キミの喜ぶ。甘いものは最高だ。




