第11話 首謀者ルート
糖京都心。女王住居。玄関。
「わたくしが女王秘書のトーフです」
出迎えたのは、モノクルを光らせた美人秘書だった。
小豆の精霊アズさまとカカオの精霊チョトさまのせいで、両想いだった女王シュガーリーとソルトが引き離された。
それが、10年も続いた。
「そうですか。なるほど…」
「女王シュガーリーは、何処にいるの?」
「女王様は、現在、寝室でお休み中です」
「…シュガーリー」
ソルトは、ゆっくりと玄関の奥を見渡す。
「待て」
声がする方を見る。チョトさまとアズさまがいた。
小豆の精霊アズさまは、怒っていた。
「トーフ。シュガーリーとソルトを会わせない約束のはずだ」
「…」
女王秘書のトーフが黙り込む。
「トーフ。そもそも、キミがたてた作戦じゃないのかい」
チョトさまは、おびえている。
第11話 首謀者ルート
10年前。
「貴方たちには、良いアイデアをあげます」
驚くほど化粧をした美女が言った。
アズさまとチョトさまは、耳を貸していた。
「この糖京に、甘味女王を作るのです」
甘味女王。
甘いものが大好きな都民の住む糖京。
その甘いものの安定供給を理由に、お金を集め、シュガーリーに、甘味精霊たちに良い暮らしをさせる。
そういう作戦だ。
「わたくしは、甘味精霊を全部食べちゃいたいくらい大好きなのですよ」
化粧の濃い美女は、口紅をさらに上塗りする。
もはや、ピエロだ。
次々と愛する男を入れ替え、シュガーリーと遊ぶ。
イケメンそろいの甘味精霊たち。
遊ぶ相手に、相応しい男たちである。
甘いものも楽しめる。
「甘味女王を作るレシピは…」
現在。
「トーフ。お前が、シュガーリーとソルトを引き離す提案をしたのではないのか」
小豆の精霊アズさまは、トーフを指差す。
「さあ。何のことでしょう」
「トーフ。お前が」
「お前が、10年もだますような男だからだー!」
ドンっ。
氷菓の精霊バーニさまが、アズさまを突き飛ばした。
「女の娘の責任にしてる場合じゃないだろう」
アズさまは、ソルトをだました。
チョトさまは、シュガーリーをだました。
両想いだった微妙な関係。
それを、10年間も引き裂いた。
その罪は、重い。
バーニさまだって、シュガーリーが好きだった。
選んでもらえたと浮かれていた。それが悔しいのだ。
甘味精霊全員が、浮かれていたのだ。
同罪だ。
「オレたち全員、罪人だ」
「ワタシは、ただシュガーリーのことを」
「利用したかったのよね。バーニさまは悪く無いわ。罪を認めたから」
「悪く無いワン」
「悪いことしだら、素直に謝るべさ」
「ホーホケキョ」
訳・女の娘は、幸せになる権利がある。
三人の次期女王候補。こんな女の娘をだますような精霊に、選ばれたなんて嫌になる。
「ワタシは、悪いことをしたのか?」
壁まで突き飛ばされたアズさまは、呆然としている。
シュガーリーのためだった。
モテる、あの娘を自由に恋愛させるためだった。
「自由じゃないわよ!好きな人と一緒にいられないなんて、全然、自由じゃない!」
「アンコリン。落ち着くワン」
「私、スア丸いないなんて、嫌だもん」
自分のことのように考えていた。
とにかく、女王とソルトを会わせてあげよう。




