第10話 ソルトルート
糖京都心。塩アパート前。
カカオカフェから、徒歩5分。近い。
精霊は、近間に住むものなのだ。
思ったより高級なアパート。エレベーターが付いている。
しかし、上位塩味精霊ソルトの部屋は、1階にある。
オートロックの玄関。
ちょうど、コンビニ袋を持って帰宅してきた青年が、ソルトだった。
「甘味精霊たち…。久しぶりだな…10年振りか」
「ソルト」
氷菓の精霊バーニさまが、駆け寄る。
元気か。こんなに近くにいたのかと声をかける。
「ソルトさんだべか」
黄土きな子が、前に出る。
女王シュガーリーに会って欲しいと伝える。
女王は、休養中だ。
お見舞いに来て欲しいと伝える。
「ソルト。頼むぜ」
さつま芋の精霊サツマさまが、肩をつかむ。
しかし、ソルトは、乗り気では無い。
「俺は…、シュガーリーに、嫌われている…」
つぶやく。
第10話 ソルトルート
10年前。
「…シュガーリーに、…会えない…のか?」
ソルト。上位塩味精霊。
塩色の髪の、寡黙な青年である。
「そうだ」
小豆の精霊アズさまが、見下す。
「お前のような、しょっぱい精霊とは、もう会いたくないと言っていた」
「そう…か」
寡黙である。黙り込む。
幼なじみの上位甘味精霊シュガーリー。
彼女の機嫌を悪くしてしまったのか。
無口が、嫌になったのか。
無口は、性分だ。そう簡単には変えられない。
何故か。
自分と両想いだと思ったのは、間違いだったのか。
彼女は、自分がいなくてもいいのか。
泣けてきた。
好きになってもらっていたと思ったのに。
「何故、お前が泣く」
アズさまは、ソルトを見下し続ける。
「お前が嫌だったと、泣いたのは彼女だ」
ズンっ…。
重いものがあった。
そこまで、嫌われていたのか。
ならば、もう会わない方が良いだろう。
さようなら。初恋のキミ。
シュガーリー。
塩アパート。ソルトの部屋。
「それは、本当なの?」
「本当ワン?」
女王シュガーリーとソルトの仲を引き裂いたのは、チョトさまだけでは無く、アズさまもだったのだ。
主犯が、二人いる。
アンコリンは、アズさまに言い寄ろうとしたのが嫌になってきた。
最低な男の人だったのだ。
スア丸と顔を見合わせてしまう。
スア丸は、両手をつないでくれる。
「大丈夫ワン。アンコリンには、スア丸がいるワン」
元気づけてくれる。
「うん。ありがとう。スア丸」
アンコリンも笑顔になれる。
さて、と。
ソルトの話だ。
「…お嬢ちゃんは、…愛犬とずっと一緒なんだな」
無口なソルトが、アンコリンに笑いかける。
「俺も…。一緒にいたかった女の娘がいたんだ…」
暗い。もう、完全にあきらめている。
駄目だ。希望を持たなくては。
愛に、希望を。
「女王シュガーリーに会いに行った方が良いわ」
「そうワン」
「ソルト。お前は、アズにだまされている。シュガーリーが、お前を傷つけるような女の娘だと思うのか」
アンコリンにスア丸、バーニさま。
「ソルトさん。女王は、優しい方です」
メイプルくん。
「そうだよな…」
ソルトは、女王シュガーリーに会いに行く決意をする。
これで、女王さまも、きっと喜ぶはずだ。




