No.1の財布
お店のシステム(料金等)を現代風に変えました。それに伴いホストの給料面の設定も変えています。
(最低保証金)(姫神楓の給料)(掃除組卒業売り上げ)等
ひょんな事から誠の案内で格安でスーツ等を買える、所謂一般の人も相手に商売をしている本来は問屋さんで、スーツを買う予定でいたのだがCLUB EDENに所属しているNo.1ホストの姫神楓さんに偶然出会った俺と誠は、姫神さんに連れられて市内で1番大きな駅の駅ビルに入っている百貨店に来ていた。
「ここの6階にあるお店で聖。あっ聖って呼んで大丈夫だったかな?」
そう聞かれた俺は、お店ではきっと1番の新人になるであろう事から、当然先輩でもある姫神さんから呼び捨てで呼ばれる事に対して何とも思っていない事を伝えた。
「それじゃ、行こうか。」
そう言って、エレベーターに3人で乗り込むと目的のフロアの6階へと着いた。フロアに降りた俺らは、姫神さん先導の元とあるショップが入っている一画に着くと。
「ここのお店で、聖のホスト第1歩を踏み出す時に身に纏うスーツを買うからね。後は、俺がお金は出すと言う特権を使わせてもらい、スーツ一式の見繕いは俺が決めさせて貰うから。」
と言った姫神さんに、俺は先ず真っ先に姫神さんの案内で辿り着いたこの目の前のお店に非常に驚いていた。
このお店は世界的に有名な超一流のブランドのお店。名前を聞いたら誰でも知っているようなお店。
【ジョルージオアルマーヌ】のショップだったからだ。
「え?姫神さんここで俺のスーツ買ってくれるんですか?本当に?」
そう言うと姫神さんからは。
「そうだよ。うん?このブランド嫌いだった?」
と言われ、めちゃくちゃ高速で首を左右にブンブンと振り、こんな高級なお店で買って貰っても本当にいいのか?と何度も聞いた。
「おっ……おい誠……本当にいいのかな?こんな高級なお店でスーツ買って貰っても……。」
俺は、1人ひょいひょいと軽い足取りでお店の中に入っていく姫神楓さんの後ろ姿を見ながら、横に居る明日から働く事になっているお店の中で1番仲が良いと言うか俺がホストをやろうと思ったキッカケにもなった新しい友人の誠に声を掛けると。
「いっ……いいんじゃねぇかな?……だってお前……これ断れるか?ウチの店のNo.1だぞ相手は。」
そう言って2人で揃って本当にいいのかな?大丈夫か?何でだ?と頭の中に沢山の疑問符を浮かべて呆然と突っ立っていると。店の中から俺と誠の2人を呼ぶ姫神楓さんの声が聞こえてきた。
慌てて2人でお店の中に入り姫神さんの近くへと行く。周りをキョロキョロと見れば、何処もかしこも如何にも高級ブランド服と服自体が主張してくるような服に囲まれていた。
姫神さんは、1人の男性の店員さんと何やら話しており、店員さんから「姫神様」と呼ばれている事からきっと何度もこの店で服を買った事がある、お店側に名前を覚えられる程の人なんだと言う認識を持った。
「えっと聖。この店員さんに先ずは採寸をして貰ってね。あぁ身長と体重だけは教えてあげてね。」
そう言われた俺は店員さんに向け少し場の雰囲気に飲まれて緊張を隠せない少しだけ震える声で。
「身長は183cmで体重は74kgです。」
そう言うと店員さんから。
「ほぉ素晴らしいですね。身長もお高いし、体重も標準体重の範囲内でらっしゃる。では失礼してその他のサイズを測らせていただきますね。」
と言われた俺は1人、店員さんの後に続き採寸室と書かれている小部屋の中に通され、その中で肩から伸ばした指先の長さや、胸囲や首周りの太さや、あらゆるサイズを測られた。
そして採寸が終わった後にまた姫神さんと誠の元に店員さんと一緒に戻ると。姫神さんは店員さんに向けて。
「それじゃ、この臙脂色のジャケットとパンツを。聖に合うサイズの物はあるかな?」
と店員さんにハンガーに掛けられていた、少しだけ色の濃いワインレッドに近い色のスーツを差して、俺のサイズに合う物があるか?と聞いていた。
俺はその姫神さんが決めた臙脂色のスーツを見て、心の中で「ちょっと待って……あれ、派手過ぎないか?」そう思ったが買ってもらう身分で、そんな事が言えるはずも無く、またホストクラブのホストなら、あれぐらい派手でもいいのか?とも思い。なんとか納得した。
そして、俺の身長や採寸したサイズを元に俺に合うサイズの物が姫神さんの手元へと店員さんの手を介して運ばれてきた。
「中に着るワイシャツは、そうだね……スーツがこの色なら、薄いピンクなんてどうだろうか?」
と姫神さんは、俺達では無く横に付き添う様に立つ店員さんに向けて話し掛けた。
「はい、非常に合うかと思われます。定番ですと白、またはサックスブルー等もありますが、薄いピンクですと、上品な組み合わせとなり身長も高い、こちらのお客様に非常にマッチしていると思います。」
そう答えていた。それは、商品を買ってもらう為の上辺のおべんちゃらや営業トーク等では無く、本当に似合う組み合わせである事を店員さんも言っているのが分かった。
「後は……ネクタイに靴とベルトだね。そうだね、ネクタイは明るめのネイビーのネクタイを見せて貰おうかな。」
そう姫神さんが店員さんに伝えると、店員さんは了承の返事の後で、その場を離れ数分の後に腕に掛けるようにして、数本のネクタイを持って帰ってきた。
その店員さんの腕に掛けられているネクタイを1本1本、手に取り、眺めていた姫神さんは格子柄の特に鮮やかな色合いをしているネイビーのネクタイを店員さんの腕から抜き取ると、ハンガーに掛かって置いてある、俺が明日着る事になる臙脂色のスーツに合わせて、何度か頷いた後に、その明るいネイビーのネクタイに決まった。
そして最後に、黒色のスタイリッシュな4段の靴紐を通す靴と靴と同じ色のベルトを選んで、俺の着るスーツ一式が決まった。
そして、それを俺と一緒に見ていた誠に対して、姫神さんから。
「誠にもまぁスーツと言う訳にはいなかいが、ワイシャツの1枚ぐらいは買ってあげるね。誠はいつも黒のスーツを着ているから定番になっちゃうが白のワイシャツを買ってあげるからね。」
と、付いてきただけの誠にもちゃんと何かしら買ってあげると言う器量の良さを見せた。
誠も自分にも買ってくれる事に非常に喜び、俺と2人して何度も姫神さんに頭を下げお礼を言った。
そして、俺のスーツ一式をレジカウンターへと運んだ店員さんは、姫神さんからタグの類は全て外してくれる様に頼み、店員さんはハサミ等を使いタグを切り離すと畳んで袋に入れる物は袋に。箱に収める物は箱に。ハンガーに掛けて上からカバーをする物にはカバーを。そうして、全ての商品をお客様に引き渡す準備を終えると。レジカウンターの横に置いてあるキャッシャーにタグに付いてあるバーコードを読み取らせて行き。
「お会計は、こちらになります。」
と店員さんは姫神さんだけに総計が書かれている伝票のような物を見せると、姫神さんは頷いた後で手に提げていたこちらも超有名な高級ブランドの【ヘルメース】のトートバッグの中から同じブランドの財布を取り出すと、1枚の白銀色に輝くカードを店員さんに渡すと一言。
「じゃ、いつもの様にコレで。」
とだけ言って、店員さんはカードを受け取るとキャッシャーに内蔵されている読み取り器にカードを差して、カード決済を済ませるとカードを姫神さんに返して。全ての商品を入れた大きな袋2つとカバーが掛けられているスーツ1着を、俺に差し出して。
「気を付けてお持ち下さい。」
と一言添えて渡された。俺は両手に荷物を持ち、改めて姫神さんに深く頭を下げてお礼を言った。姫神さんは特に変わった表情は見せずに笑顔で。「これから頑張れよ。」とだけ言って励ましてくれた。
その後は、3人で駅ビルの地下にある、地元で有名な味噌カツのお店に行き、お昼に味噌カツを食べて、色んな話を姫神さんと誠から聞き。そして、姫神さんはこの後に、お客さんと同伴の待ち合わせの支度があるからと。1人また駅前からタクシーに乗って別れた。
「おい!聖!お前なんか知らんがすげーな!ラッキー過ぎるだろ!それ総額多分だけど50は越えてるぞ!」
その誠の言葉に俺は。仰天して。
「えぇ〜マ……マジかよ?いっ……いいのかな?本当に後で何かあったりしないかな?」
と、誠に問い掛け。
「だ……大丈夫だ。姫神さんそう言う事する人じゃないから……本当にただの気紛れか、聖の事を気に入ったかだよ。」
そう言われて。俺はその言葉を信じ、同時に心の中に大きな「何故?」を抱えたまま、両手一杯の荷物に目を向けた。
明日19時予約投稿済。
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