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Counter Request

 初めてのヘルプとしてじゃなく1人のプレイヤーと言う名のホストとして、姫の接客を無事に終えた俺は、カウンターの待機席に戻るや否や、緊張が最大になり喉の渇きをめっちゃ覚えて思わず、手に持って帰ってきた、まだ中身のかなりの量が入っている、白いサワー味を飲み干そうとしていた時に、待機席の横にある受け付けから。


 「こら!聖。待機席で酒なんか飲むな!冷蔵庫からジュースでも出して飲んでろ!」


 とマネージャーの若林さんに怒られ自分が持っている物が、アルコール度数がかなり低いとは言え立派なお酒である事を思い出し、若林さんに向けて頭を下げた後に、カウンターの中に入りカウンターの裏に設置された流しに缶の中身を捨て、空き缶入れのゴミ箱に缶を捨てた後、冷蔵庫の炭酸飲料をグラスに注ぎ一気に飲み干した。


 その様子を見ていたマネージャーの若林さんに手招きで近くに来るように呼ばれ、カウンターの表に出てから、受け付け前に行くと若林さんから。


 「どうだった?初めては。ちゃんと加藤に教えて貰った通りに出来たか?」


 そう言われて俺はマネージャーが何でその事知ってんだ?加藤さんが言ったのかな?と思っていると。


 「加藤が去年まで何処の店でプレイヤーしてたと思ってんだよ。ちゃんと加藤が自分のテクニックを聖に教えてる事ぐらい簡単に予想付くんだよ。アイツ昨日からずっとお前は育つ。って言ってたしな。」


 と加藤さんは昨日の初日の時から俺の事を気に入ってくれて、尚且つ気にしてくれて、自分が持っている接客テクニックまで教えてくれた事に改めて感謝の気持ちを持ち。後でしっかりと「教えて貰った通りに出来ました。ありがとうございます。」とお礼を必ず言おうと決めた。


 その後は新たに初回サービスを利用している姫様や新規の姫様の席に着く事も無く、姫神さんからの通達で同じ派閥の先輩ホスト達からヘルプ指名を貰える事も無く、待機席で【待つ】と言う事をしていると、内勤の加藤さんがやって来たので目の前を通る時に大きく頭を下げて心の師匠に挨拶すると、加藤さんは俺に軽く手を挙げて返事を返してくれた。


 受け付けのマネージャー相手に同じ内勤さんの加藤さんが何やら話しをした後に俺の方を向いて。


 「東堂君、東堂君。」


 と呼んでいるので、何だろ?と思い近付くとマネージャーから。


 「聖。昨日貰ったお店のBOX席の配置と番号の書かれたラミネート持ってるよな?それで17番の場所を確認して席に行ってこい。早乙女担当のお客さまからお前にヘルプ指名だ。」


 そう告げられた。俺は派閥の長から暫くはヘルプに呼ぶ事も無いから修行をしろ。と言われていた事もあって驚くと、マネージャーから。


 「お前が呼ばれないのは姫神の派閥だけ。早乙女は早乙女をリーダーにした別の派閥の長だから、姫神の通達に従う必要は無いんだよ。ほら、お客さま待ってるからさっさと行ってこい。」


 と若林さんに少々強引に送り出された俺は、カウンター裏にある黄色のおしぼりケースからビニールに包まれたおしぼりの中身を取り出し袋はゴミ箱に捨て、昨日渡されたラミネートを見ながら少し目的のBOX席を探していると早乙女さんの姿を見つけたので「アソコか。」と見当付け、BOX席に近付き。


 「ヘルプ指名ありがとうございます。東堂聖です。」


 名乗った後にヘルプ用の丸い椅子を姫様と横に座る早乙女さんの丁度真ん中辺りに動かした後に。


 「失礼します。」


 と正面に座る姫様とその姫様の担当の2人に声を掛けて椅子に座った。座ってヘルプをするに必要な【現在姫様と担当が何を飲んでいるのか?】を確認する必要があると思った。何故ならテーブルの上には、流石No.2が担当している姫様だけあって、飾りボトルや高価な高級ボトルが所狭しと並べられていたからだ。


 「失礼します。早乙女さん、今は姫様はどちらの飲み物をお飲みになられているでしょうか?」


 そう聞くと早乙女さんから「あ〜このルイ13世だよ。」と教えて貰えたので、2人のグラスの中身が減った時はこのお酒で水割りを作ればいい事を理解した。


 その後は姫様から俺にも何か好きな飲み物を飲んでもいいよ。と言われたので店内を回る内勤さんに手を挙げ合図を送り席に来てくれた内勤さんに向け、ほろよいを1つ頼み、届いたほろよいを氷を入れたグラスに注ぎ。「ご一緒させて貰います。いただきます。」と挨拶とお礼を含めた言葉と共に姫様から順にグラスを軽く合わせた。姫様がテーブルから少し身を乗り出すようにして俺の顔に自分の顔に近付けると。


 「東堂君。歌って欲しい歌があるの、昨日ヘルプに呼んで歌って貰おうとしてたんだけど、和哉から初日で緊張してるから止めとけって言われて、今日来てみたら何か東堂君ヘルプに呼べるって言うから呼んじゃった。」


 そう言われて姫様の顔をよく見ると、昨日俺が最初にヘルプに着いたリエさんの座るVIP席の隣のVIP席に座っていた姫様と同じ人だと思い出した。その後姫様は自分の事は【美幸(みゆき)】と呼んで欲しいと名前も教えて貰った。


「聖の今の状況は知ってるんだけど、どうしても聞きたい歌って欲しいって聞かなくてさ。」


 そう早乙女さんから言われた俺は笑顔を姫様に向けて。


 「歌ですね。もちろん歌わせて貰います。リクエストなんでもして下さいね。」


 と俺をヘルプ指名する為に内勤さんに伝えた時に既に【歌い放題】も一緒に告げていたらしく、テーブルの上にはデンモクが置いてあった。


 そして俺は姫様のリクエストした歌をもちろん手抜き等一切せずに真剣に想いを乗せて、歌い上げた。姫様からは盛大な拍手と共に、賞賛の言葉も贈って貰った。その後も「何でそんなに歌が上手いの?」とか「本当に良い声してるよね。」とか「担当変えられるなら東堂君に変えるのに。」等と色々と話題を振ってきてくれる優しい姫様相手に会話をしながらヘルプ仕事をしていると。店内にマイクを通した声が響いた。


 「東堂聖。カウンターリクエスト。」


 カウンターからの呼び出しを受けて美幸さんからいただいた、ほろよいの入ったグラスを手に取り。


 「美幸さん。少し失礼します。直ぐに戻ってきますからね。」


 そう言ってグラスを再び美幸さんと重ねると、BOX席を立ちカウンターに向かった。


 


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