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売掛けと罰金と

 歯のホワイトニングや整形外科の費用補助、後は脱毛の補助、なんて項目まであるんだ……。と資料に書かれた項目を読み返していると。今日の先生でもある内勤さんの加藤公康さんから。


 「他に何か気になった事はある?」


 と聞かれたので俺は持っている資料にもう1度目を通して気になったと言うか疑問に思った事を聞いてみる事にした。


 「加藤さん。この【売掛け】って何ですか?後【罰金】ってのもよく分からなくて、前の居酒屋にはどちらも無かったから……。」


 そう疑問を言うと。加藤さんから。


 「なるほどね。確かにこう言うちょっと変わった業界自体が初めてなら、聞き慣れない言葉だよね。それじゃ東堂君の疑問について教えていくね。先ずは売掛けから。」


 そう言われた俺は、自分から投げかけた質問の説明だと言う事もあり、メモ帳を開きペンを手に取り準備した。そして加藤さんは「ちょっと待ってて。」と席を立ちカウンターの中に入ると何やら手に持ち戻ってきた。


 「売掛けだったね。売掛けって言う言葉の意味は東堂君が知ってると思う言葉で言い直すと要は【ツケ】だね。遊びに来ましたお金が足りませんでした。残った分は後日払います。って要はそんな感じの意味の事だよ。詳しく話すとそれだけじゃないけど、もう東堂君には関係も無いしね。」

 

 そう言って分かりやすいように説明はして貰えたが何か言っていない事、言わなくていい事含みを持たせるような言い方だったので、後で誠にでも詳しく聞いてみようと思った。


 「そしてこれがお客さま達の間では【運命の青い糸】とか【ラブレター】なんて呼ばれている通称【青伝】青い色してる伝票だから略して青伝。これは、支払いの時にお金が足らなかった、お客さまに向けて支払いの総額を書いて渡す物。お店と担当のホストとお客さまの3者で、話し合いをして約束した日までに支払って貰う【請求書】だね。もちろん約束を果たして貰えるまでは、1時的にお店への入店はお断りさせて貰ってるね。」


 「売掛けについては何となく理解して貰えたかな?」


 聞かれた俺は腑に落ちない事もあったが多分、今聞いても教えてくれない気がしたので、後で友人に教えて貰う事にして、一応は納得して頷いた。


 「それじゃ次は【罰金】だね。先ずは当たり前の事ばかりが罰金の対象になってるからね。1、遅刻をしたら経過時間によって変動はするけど罰金。これは、ちゃんとした理由があるなら取られないからね。例えば……東堂君なら今は地下鉄でお店にきてるよね?電車の遅延で遅刻。なんかは正当な理由で罰金の対象にはならないから。」


 と遅刻に対して説明をしてもらった。俺は心の中で「まぁ働く上で遅刻しちゃダメなのは当たり前だよな。それに罰金と言うモノが乗っかってるだけか。」と納得する。


 「それじゃ、次の罰金はお店に【来なかったまたは来れなかった】時の罰金だね。その日当日に急に今日はお店をお休みします。と連絡して来て休んだら罰金。これも正当な理由があるなら対象外だからね。身内の方に何かあった。とか、38度の熱が出たとかね。」


 「熱に関しては絶対に無理してお店に来ないでね。もしもインフルエンザやコロナだったりしたら大変な事になるから、必ず病院で検査を受けてきてね。」


 確かに自己判断で「このぐらいの熱ならただの風邪だろう。」とお店に来て、他のホストの人達や内勤さん達や何より姫様達を病気に感染させる事はしては駄目だと自分でも理解出来た。


 「えっと……次は無断欠勤だね。まぁこれは説明とかするよりも字面見たら分かるよね。」


 と加藤さんは、少し口元を緩めて言った。俺も字を読んだだけで、どれだけお店にとって迷惑な行為なのかは瞬時に判断出来た。


 「次は【強卓】と【送り出し】の2つだね。強卓の方は、書いてある通り掃除組は適応外だから、因みに強制卓って言うのは月に1回必ず、自分の担当にお店に来てもらうノルマ。みたいなものと覚えておいて。今は東堂君は、強卓よりもコッチの送り出しに気を付けてて欲しい。これ、担当のお客さまが居ない若手のホストや売り上げの無いまたは少ない掃除組のホストは、罰金を取られる事は無いけど、大事な役割も兼ねてるから。この送り出しって言うのは。」


 そう言うと、加藤さんは先程実際に俺の初日の給料を算出するのに使った紙を裏返して。


 「お店自体の営業時間は、19時から深夜の1時までだよね?」


 と紙に書きながら説明をしている。口頭で伝える。ではなくわざわざ紙に書いて教えてくれるのだから大事な事なのだろうと、俺も加藤さんが書いた物をメモに写す。


 「この時間、まぁ閉店時間だけどこれは【風営法】と言う法律で決まっている物なの。僕達のお店ホストクラブだと【接待飲食等営業(第1号営業)】と言う許可状が必要になるの、これは地元の警察署に【必ず法律は守ります】って【約束】をして貰える物なの。だからお店は必ず法律で決められた通りに午前1時に閉店をしないといけないの。」


 と少し今までよりも熱を帯びた声で細かく説明を受けた。加藤さんはその後も。


 「だから、昨日も時間……を気にする余裕までは無かったと思うけど、ラストソングが閉店の30分前に。そして、担当の姫達を必ず午前0時59分までに【店外】に出す必要があるの。法律をお店は守っていますと言う警察との約束の為にある罰金。分かったかな?ヘルプにもしも着いていて、お客さまも担当のホストも忘れてるような雰囲気だったら、ヘルプに着いてる子から退店を促して欲しいの。」


 と罰金の説明と言うよりかは、最早【お願い】に近い物を感じ取った。

明日19時予約投稿済。

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