盗み聞き
アツアツの美味そうなラーメンに何時もと同じようにコショウを2度3度パッパッと振りかけた後に、朱色のお箸を使いラーメンの中の麺をとき解すかのように上下に持ち上げて、コショウをラーメン全体に馴染ませた後に。「フーッフーッフーッ」と麺を冷まして箸を使って啜り食べる。どこのお店で食べても何時食べても変わらぬガキの頃に食べた味と同じ味。
ソウルフードと呼ばれるラーメンに舌鼓を打って食べていると、先程の4人組が隣のテーブルとその隣のテーブルの2つのテーブルに2人ずつに分かれて座った。
横目でチラリと一瞥した後は、気にも留めぬ様に心掛けながら自分のラーメンと五目ご飯に集中しようとしていたが、何故だかこの時に限り隣がやけに気になり。チラチラと横目で眺め、何を話しているのか気になり聞き耳を立てた。
「姫神さんお待たせしました。玉子ラーメンと五目ご飯セットでよかったですよね?」
そう言って、一際他の人間よりも綺羅びやかで見るからに高級そうな黒の強い臙脂色のスーツを身に纏った20代中頃の男性に、少しヨレた黒のスーツを着ている年若い男性が声を掛けて、商品の乗っているトレーを差し出していた。
俺はその光景を見て「へぇあのさっき俺に謝って来てくれた人がリーダーか何かかな?着てる服も丸で違ってるし。」と思いながら、ラーメンの麺を啜る。
「今日も楓さんが早乙女さん抑えてラストソングを歌えましたね。僕ら姫神グループとしても鼻が高かったですよ。この調子なら今月も姫神さんが1位確実ですね。」
「ばかだなぁお前、当たり前だろ?姫神さんだぞ?」
そんな様な内容の会話が聞こえてくる。どうやら何かの順位か何かを、誰かと競ってるような会話の内容だった。
そして、先程からチラ見をし過ぎていたのか、隣の席に座るグループのリーダー格。皆から「姫神さん。や、楓さん。」と呼ばれている人物から声を掛けられた。
「うん?何か僕らの事が気になるのかな?」
そう突然声を掛けられて俺は、慌ててチラチラとさっきから見ていた事を素直に謝ると、何故か分からないけども、気になってしまってつい聞き耳を立てていた事を詫びた。
そうすると、姫神と呼ばれている男性から。
「そう君はこんな時間にこの街に居ると言う事は、どこかのお店で飲んできた帰りなのかな?」
そう聞かれると俺は首を横にブンブンと振りながら。近くにある居酒屋の名前を出し、そこでアルバイトをしており今はバイトの終わりに、小腹が空いてラーメンを食べに来ている事を素直に話した。
そして何故かは分からないが俺の事が気になったのか、リーダー格の人が。「席を移ってもいいかな?」と一言声を掛けてきて訳も分からず頷くと、スッと綺麗な所作で隣に座る俺のテーブルの向かい合わせた席に腰を下ろした。
「僕らはこの繁華街にあるホストクラブで働いているホストなんだよ。興味があるなら電話してきてね。」
そう言って姫神と呼ばれている人が1枚の黒地に金色の文字が印刷されている名刺を1枚、スッとテーブルの上を滑らせて俺の方に差し出してきた。俺はその名刺を手に取ると、一言「あっ!ありがとうございます。」そう言って、差し出された名刺に目を落とした。その名刺には。
【CLUB EDEN 主任 姫神楓】
と書かれており、後は名刺の裏に無料通話アプリのIDが書かれていた。
その後は、他の3人も話に混じりながら簡単な世間話と俺の自己紹介等をした後に、地下鉄の終電が近いから。と言う事で奇妙な巡り合わせの一時が終わり。俺は家路に着いた。パーカーのポケットの中に1位の黒い名刺を入れたまま。
明日19時予約投稿済。ブクマしてね〜
作中で分からない業界用語が出た場合。感想を使い作者に聞いてくれたら、答えます。




