死の王の遺産と、閉ざされた「正解」への扉
土下座からようやく立ち上がったリッチは、リナの知力138という数値を見て戦慄しながら語り始めた。
「お嬢さん、神聖魔法は祈りではありません。れっきとした魔法なのです」
リナは『真理魔眼』によって、かつて高位神官として知力の限界に迫ったリッチの特別講義を一滴残らず吸収した。
彼女が習得したのは、通常の聖女では足元にも及ばない超広域回復魔法【天恵の慈雨】だ。
さらに彼女は、周囲を把握する『静謐の聖域』と『真理魔眼』を組み合わせ、一人ひとりの必要回復量を瞬時に計算し、完璧なタイミングで必要な分だけを届ける精密な運用を可能にした。
俺はその横でリッチの魔力回路を『解析』し、光属性のエッセンスを『無名の器』へと貯め込んでいった。
やがてリッチが語ったのは、300年前に隠蔽された世界の真実だった。
かつては「不遇職」であっても、努力と宝珠さえあれば誰でも転職が可能だった。物乞いが賢者になり、泥棒が義賊になる……。しかし、実力で這い上がる者が増え、自分たちの特権が脅かされるのを恐れた貴族たちが、無理やり【転職の禁止】という法規制を押し付けたのだ。
「今の世界は、無能な貴族が既得権益を守るために作った、腐った仕組みそのものですよ」
自嘲気味に笑うリッチに見送られ、俺たちはボス攻略者専用の『帰還の祭壇』に足をかけた。
「あ、ついでにここにある財宝や装備、いくつか貰っていっていいか?」
「私にはすでに無用の長物...ただ、神官時代の法衣と神具だけはご容赦いただければと。今でも過去を思い出すことがあるのです」
「すべて持っていくつもりはないさ。路銀の足しになればと思ってな」
「ありがとうございます...」
「まぁ、またダンジョンは攻略しにくるからな、その時はよろしく」
「...もう戦わないですよ?」
「地上か……。さて、まずは美味いもんでも食うか。ダンジョンで手に入れた魔石や素材も売らなきゃな」
祭壇が眩い光を放ち、俺たちは久しぶりの外の空気へと導かれていった。
パーティーステータス(60階層攻略・地上帰還時)
祭壇の光に包まれ、俺たちは久しぶりの外の空気を吸いながら、最新のステータスを確認した。
【 アラト 】
レベル:15
種族:ハイヒューマン
職業:【無名の器】
基礎ステータス:ちから 92 / 耐久力 101 / 素早さ 97 / 知力 77
装備:
【深淵の黒外套】:隠密性を高め、魔力耐性を付与する。
【死を退ける指輪】:一度だけ即死級ダメージを無効化する。
解析状況:
勇者の加護(光属性防御):85%
腐食:40%
神聖魔法(基礎):5%
硬化、分身、毒牙:習得済み
【 リナ 】
レベル:14
種族:ハイヒューマン
職業:【不変の瞳(慈悲)】
基礎ステータス:ちから 55 / 耐久力 67 / 素早さ 88 / 知力 138
装備:
【叡智の銀首飾り】:魔力消費効率を向上させる。
スキル:
真理魔眼、静謐の聖域、不変の愛、【天恵の慈雨】
【 ウル 】
レベル:14
種族:霊獣種:銀狼族
職業:【静寂の盾(忍耐)】
基礎ステータス:ちから 72 / 耐久力 125 / 素早さ 85 / 知力 61
装備:
【白銀の騎士盾】:魔法反射能力を秘めた伝説級の盾。
スキル:
天命の守護、金剛不壊、銀狼の祝福




