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底辺職の下剋上 〜見捨てられた4人でパーティーを組んだら、理不尽な世界が崩壊し始めた〜  作者: yamayo8


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鉄壁の信頼と、銀狼の甘え

20階層を越えたあたりから、ダンジョンの空気は一段と重くなった。現れる魔物たちの攻撃も、もはや「暴力」と呼ぶにふさわしい荒々しさを見せ始めている。だが、今の俺たちに焦りはない。


「ウル、右だ! 挑発で引き付けてくれ!」


「はい、アラト様!」


銀色の耳をぴんと立てたウルが、重厚な革鎧を響かせて地を蹴る。彼女が放つ【挑発】の波動に、魔物たちが吸い寄せられるようにその矛先を変えた。それはすでに、無駄のない熟練のタンクのような、流れるような連動だった。


これまでのウルにとって、盾とは「ただ耐え忍ぶための壁」でしかなかった。だが俺は教えた。盾とは、敵の攻撃を誘導し、仲間に最高のチャンスを届けるための「道標」なのだと。


ウルが紙一重で牙をかわし、敵の体勢が崩れる。そこへ、待機していたリナから「最適化」された一撃が放たれた。


「お掃除の時間よ……『水圧刃ウォーター・カッター』!」


音もなく放たれた高圧の水の糸が、魔物の硬い皮膚をバターのように切り裂く。トドメは俺の『不浄の短剣』だ。


「よくやった、ウル。完璧な誘導だったぞ」


戦闘終了後、俺が彼女の銀色の頭を優しく撫でると、ウルの表情が一気に溶けた。


「……えへへ。私、お役に立ててますか?」


パタパタと小刻みに揺れる尻尾の音が、静かな通路に響く。彼女にとって、この時間は何よりも代えがたい報酬のようだった。


「ちょっと! 私の魔法もすごかったでしょ! 私の頭も空いてるんだからね!」


リナが頬を膨らませて割り込んでくる。この二人の「褒めてアピール」の応酬が、いつの間にか俺たちの休憩時間の恒例行事になっていた。


そんな平穏な空気を切り裂くように、30階層の主が姿を現した。


【腐食の剛腕・ギガース】。


巨体から防具を溶かす腐食毒を撒き散らす岩の巨人だ。ウルの盾が、巨人の一撃を受けるたびに不気味な音を立てて蝕まれていく。


「ウル! 無理はするな!」


「……っ、私は、アラト様の盾だから……死んでも、通しません!」


その瞬間、ウルの職業習得度が100%に達した。彼女の身体が銀色の光に包まれ、新スキル【死に損ない】が発動する。巨人の放つ致命的な一撃を、彼女はHPわずか「1」で踏みとどまり、その場に釘付けにした。


「リナ、最大火力で撃て!」


「言われなくても!……消えなさい!」


リナの放った『青炎球』が巨人の胸核を貫き、爆発させた。崩れ落ちる巨人の残骸から、俺は不浄の短剣を突き立て、その能力を貪欲に奪い取る。


【スキル:腐食 を『無名の器』へ吸収。解析を開始します】


その後、俺たちは35階層の「モンスターハウス」へと足を踏み込んだ。



パーティーステータス

【 アラト 】


レベル:10


職業:【無名の器】 / 特殊:【不浄なる循環】


基礎ステータス:ちから 75 / 耐久力 82 / 素早さ 78 / 知力 55


解析度:勇者の加護 62%、硬化 100%、腐食 15%


【 リナ 】


レベル:10


職業:【薬草摘み】


基礎ステータス:知力 99(限界目前) / 素早さ 68


【 ウル 】


レベル:10


種族:銀狼族(獣人)


職業:【デコイ】習得度 100%


基礎ステータス:ちから 55 / 耐久力 98(限界目前) / 素早さ 62 / 知力 45


スキル:死に損ない

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