死を誘いし者
ちょっと遅れちゃった。
まあ、「できれば」だったからこれくらいは許して。
初ダンジョン、二話程度で終わらす予定だったのだけど、これだと三、四話いきそうだね。
4階に到着した。
俺らは二人だったけど、ゲームとかでの知識を共に持っていたので、変なところでミスをしなく、攻略が上手くいっている。まあ、ユウが柔道と剣道をかじってたのも要因の一つだろう。簡単に捌いてくれる。正直、俺のやることがないので楽させてもらっている。これこそチームワークだよな!
途中で何組か見かけたが、特に構う理由がないので放っておいた。内二人くらい怪我をしていたが、あれくらいなら大丈夫だろう。パーティーに一人は回復魔法使える人を入れるように組まれたからね。ん? 俺ら? 両方覚えてないよ。だって攻撃当たんないしね。…頭突きした影響で顔は少し赤いけど。
一部の人は恐怖とかで顔色がよくなかったが、みんないきいきしてた。ゲームの勇者ポジションに自分がなれるんだからな。楽しいんだろう。まあ、強い力を持っていて余裕があるからそう思えるのだろうけど。正直、俺はそんな奴のことが不安でしかない。俺? 俺は当然楽しんでるよ。折角だしゲームの技とか使ってみたいじゃん? 説得力ないって? ですね(笑)
4階を歩いていると違和感を覚えた。
「魔物、いないな」
「………だな」
10分くらい歩いたのだが、一度も戦闘をしていない。それどころか目にも入らない。今までは歩けばいつも見えるレベルでいたし、5分に一度くらいは戦闘になったのだから明らかにおかしい。
「これ、お約束だよな?」
「強敵、きますね」
「…どうする? 待つ? 突っ切る?」
「突っ切ろうぜ。待っててもどうせだし」
「だな」
案の定、5分しないうちに目にすることとなった。先頭で入ったパーティーと戦闘中という状況で。
その魔物だが………骨だった。縦一本に腕の二本と顔がついており、二メートルはしそうな程でかい。マントを着て、そいつよりもでかい鎌を持っていた。そして浮いている。ゲームでは定番の死神スタイルである。そいつが先頭パーティーのタンクに鎌を振り下ろしていた。対するタンク――名は確か力堂 鋼。筋トレ馬鹿。――だが、一瞬は抑えていた。が、少しずつ押され始めてる。まじかよ。あいつ、そこらの大人よりは力断然に強いぞ。あの魔物、相当やばいんじゃね?
「おいおい、リーパーかよ…」
「知ってるのか?」
「………ああ。確か、あの鎌には確率で即死効果がついてたはず。他にも様々なバッドステータスを連発させるとか…」
「おいおい、それってヤバいんじゃ――」
「ヤバいではすまねえって。まあ、即死は30パーセント未満だったはずだ。だが、あいつおかしいぞ。リーパーって鎌を振り下ろしまくる感じで攻めてくるはずなのに、あいつ落ち着いてる………異常種か?」
「……………どうしてそんな情報を?」
「……………………ちょっと調べたんだよ。要注意な魔物に関して」
「ふーん」
リーパー
闇属性吸収
スキルなんかは特になさそうで問題はなかった。ただ――
死界への鎌
ランダム異常
即死属性 レベル5
武器がえぐい。たぶん、これがユウの言っていた異常状態のオンパレードなんだな。………今更ながら武器にも鑑定出来たんだね。今までの戦闘はスライムとゴブリンしか出なかったし、ゴブリンももってるのはせいぜい棍棒だから鑑定する意味なかったんだ。知れてよかったと思った。
そんなことよりリーパーである。流石にこんなやつとやり合ったら死ぬ確率が高い。下手したらワンパンだ。流石に俺らでもまずい。どうすればいい…。
考えていたら、力堂がリーパーの力に負け、吹き飛ばされていた。衝撃で盾を離してしまっている。メンバー(女子3人………うらやましい)は恐怖で動けなくなっていた。戦闘を見てか本能的にか、あるいはその両方か。
リーパーは三人に構わず力堂に迫る。力堂は急いでマジックボックスから両手剣を取り出して構えている。ただ足が竦んでてまともに出来なさそうだ。振り下ろされたのに剣を合わせはしたものの力が入っておらず前を斬られた。床が赤く染まる。
「きゃぁぁぁぁぁあ!」
誰の声かはわからないが悲鳴が木霊する。
力堂は衝撃で転がり、動かなくなった。どうやら麻痺状態になったみたいだ。…………………ったく仕方ねえな!
「ユウ、やるぞ!」
「はいよ!」
俺は片手剣を取り出しリーパーに向かって駆け出す。ユウは槍を取り出している。先陣は任せるってことだ。俺はそれを見てリーパーに突っ込む。リーパーは鎌を振り下ろす。クソッ、間に合わねえ!
「前に飛び込めー!」
力堂は反射的に無理やり前に飛び込んだ。リーパーの鎌が力堂の頭上を通り過ぎる。リーパーはすぐに構え振り下ろしたが、今なら間に合う!
「氷壁よ、我が先の道を開く! [アイシングロード]!」
リーパーと力堂のいる地面の間に氷の筋が入り、開けるように氷の波ができ、両者を吹き飛ばした。リーパーを軽く後ろに下げることに成功する。力堂は力が入っていなかったので盛大に吹き飛ばされ受け身も出来ず、衝撃で気を失っているようだ。……許して。
「ウ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!」
リーパーが吠える。狙いを俺に定めたようだ。………叫び声おかしくない? リーパーに声帯とかあるの? 鎌を体の前にもっていった。ただ、その後何もしてこない。俺は攻撃に備える。だがまばたきをした瞬間、リーパーは目の前にいた。そのまま突っ込んでくる。
「ちょ、マジ!?」
すぐに剣を鎌に当てる。そしてなんとか軌道を逸らすことに成功する。
(速すぎてほとんど見えねえ! マジでどうなってんだよ!)
驚いていたが、敵は待ってくれない。すぐに振り下ろされる。俺は後ろに下がりながら何度も逸らしまくる。このリーパー、力が強いだけでなくて速い! 反則だろ!? 反撃の機会をくれねえ!
防戦一方になる。女性三人はお互いを抱きしめ合って、ガクガク震えている。ただ、目は俺の方を向いている。いつもなら、「これは、カッコつけるチャンス!」なんて考えたりもするんだろうが、そんなことを気にしている余裕なんて全くなかった。
(どうすりゃいいんだよ! 何も糸口が見つかんねえぞ! ただこのままずっと守りに徹してもいつかはやられる。なら、ここで攻めるしか!)
焦った俺は無理やり攻撃に出た。左にいなす瞬間に一回転しながら力を後ろにそらす。そして、すぐに振り下ろす。これならいける! と思ってリーパーを見たが―――――笑ったように見えた。
(!!)
振り下ろした剣に槍の柄を合わされる。そして、綺麗にいなされた。重心が前のめりになる。無防備になる。
(誘われた!?)
俺は軽くパニックになる。どうやらリーパーは、いつ攻撃に転じてくるかタイミングを狙われていたようだ。そして、俺はその誘いにまんまとはまったらしい。
その隙を鎌が襲う。ここで堪えても危ないだけだ。俺はそのまま倒れることにした。地面に着く直前に剣を振り、リーパーの身体の先端を辺りをぶっ叩く。リーパーが軽く飛ばされたが鎌を振り切った。左ひざに少し掠った。俺は仰向けに倒れる。俺は起き上がろうとしたが、麻痺と毒のダブル異常を受け、立てなかった。運、悪すぎだろ! 幸運値最大にしてもこれだ。相手の幸運値が俺よりはるかに高いのだろう。
(…そういや、リーパーに幸運値ダウンかけてなかったな)
今更ながら失態を愚痴る。
リーパーは立て直し、俺に攻撃してきた。俺は倒れている。そして、麻痺も受けて動けない。当たると確信してかヘイトが完全に俺に向いている。
鎌を振り下ろされる。リーパーが、「絶好のチャンスだ、逃しはしない!」て言ってる気がした。だが、それは俺も同じだ!
「スイッチ!」
「言われなくてもわかってるよ!」
リーパーの背後からユウが槍を構えて迫る。リーパーはびっくりして鎌を下すのをやめ防御に入ろうとするが間に合っていない。ユウの一撃が敵を穿つ!
「光の加護が闇を貫く! 〈貫輝〉!」
槍の先に光の渦ができ、それをリーパーに突き刺す。
「ウ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛……!」
リーパーは最後の咆哮をしたのち、光の粒子となって消えていった。
ちなみにですが、スイッチは元々ゲームで、タゲ交代とかを繰り返して一人にダメージが集中しないように交代するものです。S〇O見てた人ならわかるだろうけど、普通は相手が無防備とかになるように攻撃を防いだ瞬間や、のけ反らした時に交代します。そうすることで安全に初撃を当てることが出来ます。ゲームでは初撃が一番ムズイですからね。
この話でのスイッチは、敵を一体に引き付けて攻撃をするタンクみたいな役割をアキがしているので、実際のスイッチとは若干異なりますが、交代したときの初撃で決めたってことにすればぎりぎりOKなのかな?
正直、ただ「スイッチ!」、て書きたかっただけです、はい。なので、あまり気にしないでくれると助かります。




