周りが見えてこその自分
ちょっとした設定説明回。このあたりは少しこのストーリーでのオリジナル性を出していく感じ。………まあ、どうせあっちでも後付け設定ってことで出すんだろうけどさ。
あれから何日かすぎた。
俺はアラムに毎日模擬戦をやらされている。曰く、負けたままでは気が抑まらないらしい。どうやら本気になったみたいだ。
俺はあれから毎日負けている。まあ、経験の差ってやつだし仕方ない。ただ、負けてもいい練習にはなるのでむしろ楽しくやらせてもらっている。アラムも案外いいやつだったことがわかり、今は普通に話をする仲にまでになった。
俺もいろんなものを試してみた。
まず剣だが、一先ず問題はなさそうだ。某段ボール内で戦うプラモの使う必殺技も多少なら使えた。ただ、超必殺技に関しては使えなかった。ほとんど原理がわからないのでイメージできなかったのがでかい。まあ、イメージで補えばどうにかなるのかもしれない。
小太刀二刀流は、ヒットアンドアウェイ戦法になら使えそうだ。ただ、まだ上手くは使えない。素早い方ではないから仕方ないのかもしれない。
槍は………あまり上手くいかなかった。突きと払いを使い分けるスタイルではなく、槍を回転させて振り回すスタイルでやってみたが、人相手には弱かった。防御主体の戦闘になら問題はなさそうだが、攻撃には使えなさそうだ。
二刀流もやってみたが、これが意外にムズイ。俺は右利きなのだが左手に右手くらいの力が入らず、攻撃には向かなかったのだ。左手の剣は盾、それも相手の攻撃をズラすくらいにしかならなかった。まあ、どういう動きをするかはわかったので時々左手を使う練習をしておく必要がわかったのでよしとしよう。………まずは箸からだな。
という感じで剣に関しては上々の成長をしていた。
魔術に関しては光魔法と精霊魔法は無理だったが、他は今全部出来るようになった。風魔法に関してはレベル3になった。レベル3になるには普通4、5年はかかるらしい。
ルイスは相変わらず俺を天才と持て囃す。………俺の居心地が少し悪いが、純粋に凄いと思っているだけみたいなのでなんとも言えない。
ただ、レベル3が世界的にも平均的らしい。ここからが難しいという。気を引き締めていかないといけない。
ルイスが気がかりにしているのは、俺が光魔法を取得できていないことである。他の勇者はみんなもう取得できているみたいであり、俺だけみたいだった。そして、光魔法はレベルの大小はあるが、人族は必ずと言ってもいいほど取得できるみたいだ。
なので、できない人は人に非ずっていう扱いを受けるらしい。処刑もあるんじゃないかな? 勇者がこれに適応されるのか怪しいが、一人だけ取得できていないこの状況をみるとない訳ではないと思う。………何としても取得しないとな、お互いのために。
ユウから俺に対する周りの評価を聞いたが………………戦闘狂らしい。なんでもアラムとの模擬戦の時、負けても笑顔でいるところがそのように感じさせるらしい。どうして………。こっちは成長していくのが嬉しいだけなのに…。
後、魔法に関しては適正がないと思われているらしく、剣しかできない無能っていう扱いでもあるらしい。
………まあ、始めに何も覚えてないって言ったしね。しかも、練習しているところは今まで見られてないからね。どうなっているかなんてわからないしね。これは仕方ないと思ってる。今は無能じゃないんだよ。
この世界における剣士の戦闘は、如何に魔法で相手の魔法の命中率を下げて剣の間合いまで行くかが重要となるらしい。魔法が百発百中というわけではないが、高確率で命中するとされている。
だから、魔法に対する防御の練習とかはあるが、それだけでは捌ききれないことや他の剣士が間合いに入ればこっちが斬られるので、結局は魔法もいるとのこと。ないと無能らしい。
だが俺は正直、剣士なら魔法はなくてもいいんじゃないかと思う。あった方がいいのは事実だけど、無いからといって使えないわけではないということだ。
例で表すなら魔法を斬る、というよくあるやつをすればいいわけだしね。それに、実力を魅せるいい機会だと思う。
だが、そうもいかないという。曰く、この世界でも試そうとした人は多くいたが、自爆するだけ、という結果を残しているらしい。一人を除いてできなかったらしく、みんな諦めているとのこと。その人はもう死んでいるが達人と呼ばれており、剣士なら誰もが憧れる存在らしい。まあ、誰も達人に並ぼうとはしないが。
また、アラムにやれるか訊いたが、
「あんなのやれても見せ物にしかならんよ。まあ、できたら相手の心を揺さぶる程度にはなるだろうな」
ということであり、使い方によっては使えるということだった。まあ、カッコいいもんね。
ということでやってみると…………………案外上手くいった。いってしまった。
魔法には核というものがあり、そこを的確に破壊すると爆発はするがダメージが入らないみたいだ。
この爆発、魔法は粒子の塊でそこを破壊する際に摩擦による火花が発生するみたいだ。それにより他の粒子に引火していき、爆発するみたいだ。要は粉塵爆発だ。………粒子って粉か? 細かいことはいいみたいだ。ファンタジーだし。………原理を気にしたら負けだ。
ちなみに本来、粉塵爆発は密集し過ぎると酸素が足りなくて起こらないらしいのだが、発生したのだからそこまで密集しているわけではないようだ。
今は連続で2回までならいけるようになった。アラムに見せてやると、負けじと自分もやろうとしたが……………まあ、当然できなかったよ。あんなのすぐにできてたまるか。
そしてレベルなのだが、みんな4くらい上がったらしい。レベルは基本魔物を倒すことで上がるので仕方のないことだと思う。ユウがみんなの中では一番高いらしくレベルは7だという。そして、火魔法がレベル2になったらしい。…………ズリィぞ! チートや、チーターやんそんなん!
俺も例外ではないのでもちろん上がる速度は遅い。今、レベルは9だよ。…………え、おかしいって? なんのことだか。
話は変わるが、明日はいよいよダンジョンに潜るらしい。ここから一番近い、アルデン迷宮に行くという。全5階層のこのダンジョン、そこまで強いのが出なくて初心者には最適らしい。いきなり高モンスターが出る森とかじゃなくてよかった…。気をつければ負けることはないので大丈夫だろう。
まあ、準備は念には念をだし、あれやっとくか………。
「では、4人組になってくれ」
ジークに言われようやく気づく。俺、誰と組めばいいんだ?
………あれ? みんなは決まっている。よく見るとみんな4人組を作れてる。41人だしね。………………あれ、俺は?
「あれ? おかしいな………確か補充メンバーがくるはずだったんだが…」
……………白々しいわけではなさそうだ。本当に困ってる。41人だし、ちゃんと配慮はされてたようだ。しかしどうしよう。まさか一人で行くのか? ………まあいいけどさ。
「…俺と組むか、二人で」
「………ユウか。頼めるか?」
「まあ、さすがにダンジョンで一人は危ないよな」
となった。………俺、こっちに来てユウ以外と話してない気がする。大丈夫か?
「それでいいならこちらもいいのだが、頼めるか?」
「大丈夫です。これでもクラス1なので」
「そうだな、じゃあ頼む」
…………クラス1は俺なんだよな。まあいいけど。
「では、パーティーごとに進んでいってくれ。5階にアルザが先にいって待っている。そこで集合だ。いいな?」
みんな頷く。俺は不安だ。恐怖で怖気付いたりしないよな?
「では、いけ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
みんなで声をそろえる。…………みんな、そういうの好きだな。まあ、気が締まるからいいのかな。俺はあんま好きじゃないんだよ。なんか、暑苦しい? そんな感じ。
「…じゃ、行くか!」
「そうだな、頼むぜユウ!」
「こっちこそな」
俺も気を引き締めてダンジョンに入っていった。
みんな、安心してください。何かしら起こります!




