1vs12のタイマンバトル ー 1
勉強だとかゲームだとかコミケだとかで忙しくてまともに書く時間がなかった、のを言い訳にするのは間違ってると思い何も言わずに始める俺氏。(いや、もう言ってるよ)←こんな心の声が聞こえないように頑張ります! 何言ってんだ俺?
次の日。
「これより、大競争杯を開始する!」
「「「「「「……………はっ?」」」」」」
突然言われたことに戸惑う人たち。当然だ。今、この時に初めて言われたのだから。王都にある闘技場に集まれと聞いたときも、初めていく場所で何か特殊なことをするのか? と疑問を作ったままここに来たのだ。疑問ばっかりで理解が追い付いてきていない。ここにいる37人の子供は突然のことで動けないでいた。
「ルールは単純、ここにいる37人を3つに分ける。そのグループでそれぞれ1人を対峙してもらう。ただし、1対1のタイマンだ。グループ内の誰かが勝てばそれでいい」
単純なルール説明だ。もちろんのことだが、殺すことは許されない。
「えっと……………誰とするんですか? もしかして有名人の方とやるんですか?」
クラスの1人がそう尋ねた。答えはノーだ。
「いや、そこまで強くはないはずだ。というか君たちもよく知る人達だよ」
と言って3人を呼ぶ。出てきたのはローブを着た男、鎧をつけた女、そしてだいぶ軽装な男だ。ご存知、ユウ、レイ、そしてアキである。3人の登場にみんなは驚く。
「えっ、悠斗君? そして玲ちゃんと…………翼君?」
「おい、今の間はなんだ」
俺ってそんなにみんなに覚えられてないのか? それなりにクラスでは接してきたはずだぞ。俺のツッコミを無視して話は進んでいく。
「そうだ。みんなも知っているが3人は外でみんなとは異なる経験を1ヶ月間してきた。今回はその実力を見せてもらうのも兼ねてこんなことをさせる」
勿論だが納得できない人もいる。
「どうしてなのですか?」
「どうして、とは? 言った通りだぞ。お前たちは実力をつけるため、こいつらは実力を見せてもらうため。それだけだ」
決定事項だ、と言外に言っているようで何も言えなくなっている。だが、そこで反論できるやつも世の中にはいる。そいつらのことを空気が読めないと言う。
「なら、別の方法でもいいのではないでしょうか?」
「………やっぱり無駄か…。本当の話は、お前たちに上の存在を直で体験してほしいということだ。実力で圧倒されても届かぬ夢だと切り捨てるかもしれない。だが、届く可能性がそれなりにあるものならやる気が出るのでは、というわけだ」
その言葉にみんなは疑問をもつ。
「ジークさんは3人の方が僕たちより実力が上だと思っているのか?」
「見てないからわからないが、俺はそう思ってる」
その言葉を聞いてクラスの不良(っぽいい偽物)が調子に乗る。
「そんな訳ねえだろ。俺らだって訓練で毎日鍛えられてんだぞ? それでこんなひょろっちい野郎になんか負けらんねえよ!」
「「…」」
俺とユウは黙ってしまう。それを見てこの男、不剛は鼻で笑う。嫌、だってなあ…。俺とユウは俯いて顔を向けずに小声で話す。
「なんで標的は俺ら男子だけなんだ? あいつ、朝比奈さんには勝てないって自分から言ってるぞ」
「まあ、剣道で上の方にいってるから下地が出来てる。そんなのは俺らみたいな一般ピーポーとは最初から立ち位置が違うって考えたんだろ」
「確かに、同じ速度で実力を上げていけば一生届かないもんな」
そういうことである。まあ、俺もそれを言えばあいつらとは違うことになるんだけどな。
傍から見たら痛いとこ突かれて、落ち込み黙ってしまった二人。そんな雰囲気を変えようとジークは宥める。
「まあまあ、そう言わずに一度やってみてくれ。きっと楽しいからさ」
そこで今思い出したのか「あっ」と言いながら付け加えをする。
「ちなみに勝利できたグループには報酬があるぞ」
それを聞いてクラスの皆は騒がしくなる。
「ぐ、具体的にはどんなのなんだ!」
「それはお楽しみだな」
それを聞いたみんなはやる気が出たのか腕をまくったり準備運動を始めたりし出した。それを見たジークは少し微笑ましそうに笑う。
「では、グループは好きなように組んでいいから自分たちで選んでくれ。もちろん相手も選んでいいぞ」
みんなはどうすれば勝てるかを考えるため話し合いをするそうだ。バトルフィールドの真ん中で円になって司会を作って話が進んでいる。
「じゃ、俺らは一旦離れるか」
「そだな」
作戦を聞くのは悪いだろうしな。隅っこまで離れる。ここからは距離があるため大声を出さない限りはっきりとは聞こえない。こんなもんでいいだろ。
「そういえば、二人はどうやって戦う予定なんだ?」
興味本位で聞いてみたが何とも言えない回答が来た。
「俺は近接でとにかく当てまくる、かな」
「私は魔法で牽制しつつ間合いを狭めていこうと思う」
魔法学校に行ってきたユウが近接を、騎士学校に行ってきた朝比奈さんが近・中距離の両方で攻めるという。朝比奈さんはなんとなくわかるけど、ユウは全くわからない。
「魔導士が近接メイン? おかしいだろ」
「魔法しかあそこでは使えないから鬱憤が溜まってるんだよ」
「ああ、そう言うこと…」
単なる自己中だった。
「でも、聞いた話だと上級の魔法士は近接格闘も必要になってくるらしい」
「魔法唱えてるときは隙が大きいからな。狙おうとしてくる人は多いわな」
「だが、俺は入ったばっかのひよっこ。そんなことさせてくれやしねえ。最初の模擬試験でタイマンをやったんだが、目の前で魔法唱えてたから遠慮なく殴り掛かったら怒られたよ。まだお前には早いって」
「理不尽だ…」
「ほんとだよ」
そんなことを話していたら横から声がかかる。
「先ほどまで私とも話してたのにいきなり空気になったのは驚いたよ。そういや二人は仲がいいな。日本でもそうだったのか?」
あまり接点がない俺と朝比奈さん。勿論、お互いのことは何も知らない。だからお互いのことをよく知ることから始めようとしているようだ。………別に俺は知る必要はないんだよな。
そう思ってたらユウが勝手に返答する。
「まあな。まあこいつ、いつも端っこで静かにしてるから陰キャラだと思われてるのを無視してるからな(笑)」
「おい、それマジか?」
「マジマジ」
どうやら俺のことは陰キャラだとか台所によくいるみんなの敵だと思われてたらしい。俺はクラスのみんなを背にして四つん這いになる。
「おーい、その体勢はやめた方がいいぞ? オーケーサインだぞ? 後ろから掘られるぞ?」
「そんなやつがいてたまるか!」
「? ほらあそこにいるぞ」
そう言ってクラスの方を指差す。俺は体勢そのまま、振り返るように指差した方を見る。そこには身長が150満たない、可愛らしい男の子がいた。クラスの癒し、男の娘の天宮君だ。まあ、本人は否定してるんだけどな。
その子が俺の方を、正確には俺の尻をガン見していた。というか目がめっちゃ血走ってるんだけど! えっ、どゆこと!?
「あいつ、見た目あんなんだけど本当はそっち系だぞ?」
「ちょ、マジ!?」
「一部にしか知られてない秘密だ。俺も偶然知った」
「………嫌な予感がするがどうやってだ?」
「放課後に体育館裏に呼び出されて、行ってみたら背後からいきなりズボンを脱がされた」
「………察した。みなまで言うな」
「超怖かった…」
なんか、知りたくない秘密を知ってしまった気がする…。ユウはその時を思い出したのか体を抱えて震えてる。相当怖かったんだな。
「また空気…」とどこからか声が聞こえたがそれを無視して俺とユウはみんなの準備ができるまでの数分間、ずっと震えていた。本当に見た目は当てになんねえな…。
みんなの準備も終わり、俺は闘技場の真ん中に突っ立っていた。フィールドの広さからして3グループ同時に進行するのは不可能なので一グループずつ行うこととなり、じゃんけんの結果俺が最初となった。
俺の対戦相手のメンバーは、副委員長、サッカー部のエース、文学部幽霊部員etc...と何かと称号のある人ばかりだった。あと、さっきの不良(?)もいる。このチームの特徴と言えば、魔法が比較的上手い人たちって感じだ。
不良(仮)やサッカー部エース君とかはどっちかと言えば剣とかの近接が得意だが、魔法も出来るという有能キャラらしい。脳筋でいてくれよ………。
あと、俺の実力を見せたことが模擬戦以外ないので魔法が使えない人ってイメージが強い。だからだろうか、遠距離からの狙撃で倒そうという考えをしていることが眼に浮かぶ。まあ、知らなかったら俺だってそう考えて作戦を立てるだろう。仕方のないことだ。まあ、俺は魔法なんてここでは使わないけど。
最初の一人目に誰を選ぶのか少しドキドキしながら待っていたら、
「あいつは俺が叩き潰す!」
とか言ってヤンキー(笑)が俺と相対するように前に立つ。私情ダダ漏れだな…。そしてそれを了承するクラスのみんな。もうちょい考えて人選すればいいものを…。さっさと終わらすか。
「では、これよりアキト対ノボル(不良さん)の対決を始める」
司会・判定はジークさんである。他にはここに大人はいない。つまり、俺のやりたい放題。いっちょ派手にやるぜ!
「では―――始め!」
ジークさんが宣言するとノボルはすぐさま後ろへ下がる。それを確認した俺は待つことにした。魔法を打つ際、相手と距離があった方が詰められにくいため、魔法士にとって有利になりやすい。だからノボルは下がったのだ。誰でも習う定番の動きである。
「くらえ! [アイスバレット]!」
詠唱を終え氷魔法を放たれる。氷魔法は水を凍らせて放つ魔法で、特徴としては魔法の弾速が比較的早いことだ。初手としてはいい選択である。ただ、
「斬!」
俺は刀で魔法を斬る。目に見えるのだから斬れないことはない。むしろ氷は尖ってるからそこに添えるように振るだけで簡単に斬れる。
ここで俺が魔法を斬れるのを思い出したノボルは魔法を別のに切り替える。
「風よ来たれ、大気を統べる精霊よ。今こそ我に示したまえ」
風魔法か? いや、聞いたことのない詠唱だ。精霊魔法は、使用できなかったし適合者がとても少ないし詳しく調べてないし とかで詠唱をほとんど知らない。詠唱から察するに風の精霊を呼んでいるのか? ……威力が気になるし待ってみるか。しばらく待つと50センチくらいの小さな子供の形をした、風で出来た何かが現れた。
「いけ、ウィンディ!」
何かが頷くと手のひらを俺の方へ向けてきた。防御しよう、と思ったのだが本能が「躱せ」と言ったのを感じ、横に飛んだ瞬間にその場を風の渦が襲った。なんとか躱したが少し遅れて袖が切れる。
「威力的には中級レベルか。魔力消費も少なそうだな」
中々に精霊魔法は便利そうだ。先天的なものらしいので俺が使えるようになるのは無理みたいだけど。俺が躱したのを見て効くと判断したのか、ノボルは渦を何度も作る。いい加減うっとおしくなってきたのでそろそろ終わらせよう。
「[バインド]!」
ノボルをその場に拘束する。精霊のほとんどは術者の制御が効かなくなると消えると聞いたことがあった。精霊も一種の魔法なので同じ原理が働いているのかもしれない。拘束されたノボルが焦って制御を乱したため精霊が消滅する。本当ならこれで終わりなんだが………折角だし使ってみるか。
俺は5本の短剣を手の持ち、そして上に向かって投げる。
「ソードビット、展開!」
その言葉の後に5本の短剣はノボルを囲うように移動する。配置完了を確認し俺は、少し下がってから放つ。宣言も忘れない。
「放て!」
5本から放たれるビームがノボルに向かって一直線に飛ぶ。ノボルは逃げようとジタバタしているがバインドの前では意味がない。ビームはノボルへと着弾した。
ドオオオオオオオオオン!
「…………………へっ」
着弾と同時に爆炎ととてつもない爆音が鳴り響く。俺はあまりの威力に困惑した。いや、だってあんな威力が出ると思ってないじゃん? あれは実は見た目と音だけでした(笑) みたいなノリもそれはそれで困るが、そんなことはないはず。…………死んでないよな?
不安のなか煙が少しずつ晴れていく。なんとかノボルの姿を確認できた。どうやらと咄嗟にバリアを張って守ったみたいだ。気絶だけで済んだ。ただ、
「…………やっぱりやりすぎたな~…」
ノボルのいたところは、床が50センチほど熱で溶けていた。あきらかなオーバーキルだった。




