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未来で孤独死した俺、美少女になって高校時代の俺を幸せにする  作者: 水鳥 いつき


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7章 ありのままの君でいて

月曜日の昼休み。いつもの教室の隅に今日は静奈ちゃんの代わりにナナミちゃんが座っている。


「響ちゃん、タカシくんと付き合ってたんだね」


ナナミちゃんは可愛く笑った。俺は答えようがなく下を向いてしまった。


「静奈ちゃんとタカシくんが付き合い始めた時、響ちゃんがタカシくんに泣きながら抱きついて「捨てないで~!]って言ってたの見たって話、私絶対嘘だと思ってたの……」


(おい! だいぶ話が盛られて違う話になってるじゃねーか……)


「でも、最近の二人を見ると響ちゃん本当にタカシくんが好きなんだなって……」

「いいな~私も彼氏欲しいなぁ」


「えっ! ナナミちゃん彼氏いないの?」


「うん」


「好きな人はいないの? 気になってる人とか」


「いないこともないけど……」


「私、タカシくんと付き合ってます! でも、学校では内緒にしててね……ほらっ、白状したからナナミちゃんの気になってる人教えて」


「隣のクラスのリョウくんかな……好きってほどでもないけど……」


(あいつか……)


リョウは勉強もスポーツも出き、かつイケメンという学校では有名な強スペックだ。ナナミちゃんが好きになるのも仕方がない。タカシが勝てるところなど一つもないだろう。


昼休み終了のチャイムが鳴った。


「二人が付き合ってることは内緒にしとくね。でも響ちゃんがタカシくんに夢中になるのわかるなぁ~」


「へっ?」


「だってタカシくん可愛いもんね……」


ボーゼンと立ちつくす俺を後にナナミちゃんは先に教室へ戻っていった。何度見てもナナミちゃんは可愛かった、こんな近距離で話せて俺は幸せだった。最後のセリフ……もしかしてタカシよお前ワンチャンあるかも!?



日曜日。今日はタカシと2回目のデートの日だ。

前回の失敗を踏まえて俺は俺自身の理想のデートをタカシに味合わわせるための計画を練った。

鏡に映ったピンクのロリータファッションの俺はメチャクチャ可愛かった。フリフリのスカートのリボンが可愛い。ネコ耳のカチューシャをつけたら完成だ。絶対領域もエロすぎないギリギリを攻めてみた。

場所は沼袋のアニメ館でオタクデートだ。なんせ俺なので俺の趣味はバッチリだ、良かったな俺!お前の理想が目の前にあるぞ!!

沼袋の改札口、やはり可愛い俺は周りのオタクな男たちに見られていた。視線がいろんな方向から刺さる。そんな視線についサービスでスカートをパタパタしたりウインクをしてしまったりした。

やがて、タカシがやって来た。今日はウニクロで買った普通の服を着てきた。髪型も一九分けから七三分けに成長して若者らしくなっていた。だいぶ良くなって来たな。


「タカシ、遅かったニャン! もう待ったニャンよ!」

「今日のデート、楽しみで眠れなかったニャン……」


まず俺達はアニメ館へ行った。前回と違ってタカシは楽しそうだった。俺たちは『押忍!男塾』のお揃いのキーホルダーを買った。そして、昼食はファミレスのジョナサン・ジョースターへ行った。


今回は向かい合わせに座り、二人ともオムライスを注文した。

やがてオムライスが運ばれてきてケチャップがチューブ型で来たので俺はオムライスにハートを描いてから、


「萌え萌えキュン!!」と叫んだ。


「はーい、タカシたんのオムライスなのだ~! 響たんの愛情タップリだニャン!」

「食べさせてあげるニャン! あ~ん!」

「タカシたんが食べてくれて、響、嬉しいニャン! 大好きニャン!」


タカシは恥ずかしそうにオムライスを俺に食べさせられていた。俺の手が滑って、ケチャップがタカシの頬についてしまったので、


「タカシたんのホッペにケチャップがついたニャン!」と俺は言い、指でタカシの頬からケチャップをすくい、そのケチャップを俺は口に入れた。


「美味しいニャン!」


しかし、萌え言葉はなかなかキツくしゃべっていると頭がクラクラしてくる。たまに一瞬我にかえってしまう瞬間がある。


(いかん、タカシの幸福のためにも頑張らなければ……)


「好きニャン! 好きニャン! 好き好きす~ニャン!」


やがてデザートが運ばれて来た。まわりのオタクな男たちはあまりに可愛い俺に顔を赤くしてなんとかワンチャン、カメラで撮れないか機会をうかがっていた。


俺がデザートを食べながら、ふとタカシを見るとタカシは下を向いたまま黙っている……なぜか重い空気が……


「どうしたニャ? タカシ元気ないニャ?」


デザートを食べ終わるとすぐにタカシは「出ましょう」と言った。

タカシは無言で歩いていく、俺はその後ろをついて行った。そのときまさかのナナミちゃんが前からやって来た。ナナミちゃんは俺と目が合うとニコッと笑顔を作って通りすぎた。

タカシはそのまま駅へ向かい俺たちは実家のある町へ帰ってきた。そして駅の近くの公園のベンチに腰をおろした。


「タカシ、具合でも悪いニャンか?」

「響たん心配なりよ? ニャンコは嫌いだったかニャン?」


するとタカシは意を決したように俺を見た、


「響ちゃん、僕のためにそんな格好をしてくれてありがとうございます。でも、無理してるのが僕には分かるんです……」


「タ……タカシたん……」


「響ちゃんに無理をさせてしまってごめんなさい……僕は響ちゃんはありのままでいてほしいんです……」


俺は言葉が出なかった。まさか理想のデートの中で俺の心を気遣っていたとは……


「私、なんだか端田川に行きたくなっちゃった。もしかしたら、今日はUFO観れるかもよ……」


「行きましょう」


俺たちは端田川の川沿いの芝生に座り三時間ほどUFOを呼ぶお祈りをした、結局UFOは来なかった。

そしてお互い夕方6時からの新番組『魔法少女まじかマドカ』が観たかったので家へ帰った。


家に着いた。


「ただいま~」


コッソリ部屋へ戻ろうとしたがママに見つかってしまった。


「ずいぶん、見たことのない服装してるわね~ さては彼氏変わっちゃった?」


「違うよ~」


俺は部屋へ入りベッドに飛び込み天井を眺め今日を振り返る。


よく考えたら、俺の理想のデートをしてもタカシには意味がなかった。俺はタカシに普通の恋愛をさせなければならなかった。普通の恋愛の幸福をタカシに経験させるのが俺の使命だ。俺の理想じゃなく普通の女の子と付き合うためのレッスンをしなければ……次のデートは普通のデートにしよう。

そう決意して立ち上がるとロリータファッションから普通の部屋着に着替えた。





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