10章 イケメンにはかなわない
日曜日、結局気が変わった俺はリョウとデートする事にした。
おばあちゃんは通りすがりのインド人の僧侶が生き返らせてくれたことにした。
服装だが、もったいないのでゴスロリファッションをもう一度着てみた。今回の絶対領域は前回と逆でギリギリまで攻めてみた。ハッキリいって立っていてもパンツが見えてるがまぁいいだろう。リョウが相手なので萌え言葉は使わないでいいのが楽だ。ネコ耳はやりすぎなのでメイド風の帽子をかぶってみた。
鏡に映った俺にヨダレがでそうだ。今日は映画だ、退屈そうな恋愛映画『世界の中心で恋と叫ぶ」を観るらしい、まぁいいだろう。
映画館から少しはなれたコンビニの前で待ち合わせをした。
相変わらず、道行く人達は俺を必ずチラ見していく。そばに双子らしいデッカイいかにもオタク風の男二人が俺を見ている。俺はついニャンとウインクを飛ばしてしまった。
するとオタク兄弟がヨダレを垂らしながら俺の方へやって来た。
そして、突然二人のマッチョオタクは俺を抱えると持ち上げ、抱えたまま強引に路地裏へ走って行った。
(えっ! 助けて……でも怖くて声が出ない……)
元陰キャで気が弱く喧嘩もしたことがない俺は恐怖で何もできず二人のオタクに拐われて行った。
そして、人けのない空き地の隅に俺は連れて行かれた。
「兄ちゃん、この子世界一可愛いよ。俺持って帰りたいよ……」
「本当に良いの見つけたな! 俺たちのペットにしよう!」
「可愛いね~、どれどれ味見しちゃおうかな!」
二人は襲いかかってきた、俺は逃げようとしたが足がもつれて転んでしまった。恐怖で目から涙を流し、足はガクガク震えて何も出来ない。
(誰か助けて……)
弟が俺に抱きついてきて洋服を脱がそうとする。頭が真っ白になる。
その時だった。
「おい!お前ら!」
リョウの声が響いた。マッチョオタク兄弟はリョウをみて「なんだ、こら~!」と凄んだ。
体格差がありすぎてとてもリョウが勝てるとは思わなかった。
しかし、リョウは強かった。一瞬で二人をノックアウトし気絶させた。さすがスポーツ万能だ。
二人を倒し、振り向いたリョウの後に太陽が重なった。白い歯が光る!
(かっこいい……これがイケメン……モテ男か……)
リョウは震える俺に「大丈夫」と声をかけた。俺はまだ涙が止まらない。
「ごめんね、俺が遅かったばっかりに。足、擦りむいてるよ、痛くない」
特に捻挫とかなく、なんとか歩けそうだ。ただ体の震えが止まらない。
「怖かったよね」リョウが俺を抱きしめた。
「ごめん、守ってあげられなくて……」
俺は首を横にふった。リョウは俺をお姫様だっこした。
「こんなときになんだけど、俺、響ちゃんを守るよ! 守りたいずっと、だから俺と付き合ってください」
少女漫画の定番シーンみたいだが、いざ自分が体験してみると、リョウのイケメン具合は強力だった。これに抗える女の子がいるとは到底思えない。
俺はリョウに抱えられながら「はい」とだけ言った。
デートは中止になった。俺は大丈夫だと言ったがリョウが心配して俺を家まで送ってくれた。
帰りの道中、リョウは優しかった。貶めようとしていた非モテの俺とイケメンの違いに驚愕すると共になんだか恥ずかしくなってしまった。
「リョウくん、イイ奴だね……」
家に付いてベッドに寝転ぶとだんだん冷静になって来た。よく考えたら俺が男と付き合えるわけはないが、リョウを見る目が変わって来てしまった、本当にアイツいいやつだ、尊敬の念が浮かんできている。
感謝を込めてお礼をしてやるか、しばらくはリョウの彼女になって喜ばせてやろう。リョウなら彼女のふりも出来そうだ。
結局、男も女も強い人には弱いのね……




