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X短編  作者: 大塚斎
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84/85

ep.84 清涼な侵略者

 どうしてこうなってしまったのか、皆目見当もつかない。ただ、慣れない匂いで目を覚ましたらこうなっていたとしか、言いようがない。


 本来、安寧であるはずの我が家は何者かに占領されていた。

 スーとした刺激臭がツンと鼻につく。茶色であるはずの絨毯はその何者かによって鮮やかなグリーンで覆われている。


「お母さん! これは一体?」


 いつもそばにいてくれる母に問いかけても返事はない。


「☆○◆△■○●★☆!」


 緑の物体に話しかけられるが、何を言っているのかわからない。恐怖で身体が震える。


 茶色の地面が動いた。


「坊主! 生きてたのか!」


 話しかけてきたのはダンゴムシのダンさんだ。自由の利かない僕の代わりに、いつも面白い話を持ってきてくれる。


「ダンさん! この緑の生き物はなに?」

「ペパーミントというらしい。あるじが昨日植えていた。お前らの仲間だ」

「仲間? でも僕たち侵略されていて」

「ペパーミントは繁殖力が強いらしいからな……。悪いが、俺にとってこの匂いは毒だ。最後にお前に挨拶できてよかったよ」


 ダンさんが鎧のような背中を向け、去っていく。


「ダンさん! 待ってよ、ダンさん!!!」


 僕の声はもうダンさんには届かない。

Q. お題:6/20は何の日?

A. 健康住宅の日、ペパーミントの日、世界難民の日

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