↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

526/550

508 死霊術は便利



「おー! 楽だね、コレ」


「そー! 敵を倒して自動で収集できるの」


 死霊術(ネクロマンス)。

 僕の方でも少し調べてみたことがあったけど魔法の詳細は「死体を操る」くらいしか分からなかった。

 まぁ、魔族が使う魔法だって言われてるし、研究者すらいなかったんだろうし……でも、これって本当に死霊なのか?

 森全体に広がって薬草の採集やモンスターを倒しているのはアルマが出している死霊なのだけど……。


「死体っぽくはないのね」


「ですね。もっと肉片やら骨が歩くのかと思っていました」


 せっこらせっこらと動いてくれている彼らは、白いほわほわとした姿で動いてくれているのだ。

 綿菓子みたい。死霊術(ネクロマンス)というより、召喚術みたいだ。


「そういうのも出来るんだけどねー。魔素消費量が多いんです」


「へー」


(佳奈(アルマ)から魔素って言葉が出てきたのにちょっと感動してる)


「実をいうとね。死霊術(ネクロマンス)には──」


 ちょっと長かったので、まとめておこう。

 ゾンビみたいな状態で召喚することは可能だけど、魔素消費が段違い。

 死霊術(ネクロマンス)には【影】【骨】【生前の姿】のような呼び出す段階があり、あの白いほわほわは、一番魔素消費量が少ないのだと。

 しろいほわほわっていうと弱そうだから、白い影って言っておくか。


「──でも、魔素をケチってる訳じゃなくて。武器とか装備とかあるでしょ?」


「うん?……あ、うん。ついてるね」


 白い影には色が着いていたり、少し硬そうな装備が着けられている。

 だからなんとなく僕が戦ったことがある奴もいるなーって分かったのだ。

 ケトスとアンと一緒にイニシアの森の奥で戦った2体のゴブリンキング。

 イブとケトスと戦った時のフォレストウルフとオークとかもいる。

 ちらちらと良い装備を着けてる人影もあるんだよな。

 あの人は剣と盾……大盾か。堅実な装備だ。冒険者とかだったのかな。

 

「装備系に魔素消費を割いてるのだ。骨とか生きてる時の姿なら強かったり硬かったりするんだけど、それこそボルル君とか。でも、それだと私のほうが疲れちゃうからコストカットをしてる。ちなみに! これ、私が思いつきました。ソバ先生にも褒められちゃったの」


 すごく褒めて欲しそうな顔してる。

 

「すごいじゃん。ね、アン」


「ええ……さすがあるじの妹です」


「アンちゃんに褒められるなんて初めてだから照れるなぁ~」


「さすが化け物だなと。魔素量が馬鹿みたいに多い」


「そ、それは……褒めてる?」


「もちろんだ」

 

 要するに全体を固くするんじゃなく、防具や武器だけを強くしている。魔素の適切な分配による魔素の効率化だな。

 でも、確かにアンが言いたいことも分かる。こんな量を同時に使役できるなんてすごい。

 さすが魔族だな。基礎的な部分が只人とは大違いだ。


「ボルル君は今、どんな感じになるの?」


「ん? あそこで今、岩を持ち上げてくれてるのがボルル君だよ?」


「……巨人?」


「そうそう。最初から死霊術(ネクロマンス)できる子たちは全員が巨人なのだ。1号、2号、3号~!」


 アルマの呼びかけによって飛んできたのは見上げるほど大きな巨人の影。

 そりゃあそうか。ボルル君やその前のスパルトイソルジャーは明らかに人の骨の形をしていた。だったら、その骨に肉をつけて~となれば巨人ってなるのは当然だ。


「にしても……大きいねぇ」


「でしょう~。私のステータス依存なんだってさ。だから、私が強くなればみんな強くなるんだ」


「へー……」


「ということは、召喚術の劣化版か」


「劣化とか言わないで!! この子達だって頑張ってるんだから!」


「お前のことを馬鹿にしただけだ。本体が強くないと周りが気苦労しそうだな」


 言わんとすることは分かる。

 アルマのレベルが高くならないと周りのレベルも高くならないということ。


「で、でもさ! 私が弱々だけど、めちゃめちゃ強い子がいるの!」


「はぁーん?」


「信じてないなぁ!? 空穿(アメ)ちゃんって言うんだけど、めっちゃ強いの。ヤバいよ」


「アメちゃん?」 


「そ! ちょっと遠くで遊んでるみたいだけど紹介しよっか」


 振り返って「アメちゃん~」と呼ぶとボルル君よりも大きな影が現れた。


「じゃーん! こちら、アメちゃんです!」


 かぶりをしているような見た目の死靈は、体全体ではなく上半身だけしか地上に出ていない。つまり、上半身だけでボルル君よりも大きいのだ。

 その手には体よりも大きな大剣。柄が細長く、刀身が体よりも太い……これをぶん回すだって……? 


「……やば」


「これは……」


 アメと呼ばれる死靈を前にして、頭にアイツの姿が思い浮かんだ。

 ──またね、クラディス少年っ。

 青色のうねった髪型。貴族令嬢のような冷ややかな顔をしている上位魔族。

 ノア。アイツと同じ匂いがするのだ。


「アルマ、この子って」


「そう! そば先生が言うには魔族らしいのだ」


「魔族……魔族ね……」


 鑑定をして、そこの文字だけを確認。

 思わずため息が出てきた。


「アルマ。この人、魔族でも上位魔族だよ」


「上位魔族は……たしか強い魔族?」


「そう。アルマよりも強い魔族」


 それも……この世界で初めて出会う武冠者(ラターナル)だ。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。