488 文明を推し進める者
ムロさんと白衣の人物が一言二言交わした辺りから見ていた。
急に叫ぶから注目を浴びるのは当然なんだが……。
(あの人、転生者だ)
雰囲気が違う。
世間に馴染めていない。
ゲームでいうなら、NPCしかいない屋内に急にプレイヤーが入ってきたような異質感があった。
(転生者ですね、称号Ⅰにしっかりと書かれてありました)
(鑑定したんだ。……じゃあレベル差もあるってことか)
年齢的に言えば、第二期転生者だが、若いような気もする。
ケトスのような独特な雰囲気を醸し出しながら、背筋を正して長い脚で大股で歩いていった。
思えば、最初に乗った車からそうだ。異世界なのにタブレットのようなもの、テレビみたいなもの、空調なんてものもあった。
冒険者組合の血盟順位発表会にはスライドショーのようなことを行えるモニターがあると聞く。
電気信号を魔素に置き換えて考え、文明を進化させてるんだ。
(でも、あの人は【天才】という認識だけで留まってる。転生者は悪であるという思い込みが、あの人を枠から除外してるのか……)
シンプルに立ち回りが上手い。
第二期転生者で生き残ってるんだから……只者ではないな。
「あ、そういえば言い忘れてたことがあったんだけどさ~」
奥から袖余りな白衣をぶらつかせて、フィヨルさんは現れた。
「一応、次の依頼もアサルトリアにするつもりなんだが、近々ダンジョンに潜る予定はあるかい?」
「ダンジョン……に潜る予定は」三人は目を合わせる。「ねぇな」
「早めに意見が聞きたいんだがね。他の子達でも良いんだ。君のトコの血盟主は金払いがいいからね」
「聞いてみるが……」というムロさんは僕の方を向いた。「ソイツが潜るぞ」
「ほお?」
僕の方を振り返り、目が合った。
うぉ……思ったより美形。そばかすがあり、自分で切っているのか栗色の髪は長かったり短かったりしている。それでも顔が圧倒的に良い。転生者って顔が良い人多いんだよな。
だけど、不健康そうだな。クマがヒドイ。
「ダンジョンに潜るのかい?」
「中位ダンジョンですが」
「それでも良い。最下層は上位ダンジョンの中層ほどの魔素量になる。いつ頃だい?」
「予定が取れ次第って感じで」
「ふむ。どこかの血盟に所属はしているのかい」
「ティータに。アサルトリアとは同盟を結んでいます」
「ほお、ティータ!」うお、びっくりした。「そこも金払いが良い。なら、君に任せよう」
「そんなにすぐに決めて良いんですか?」
あまりにもトントン拍子に進むものだから聞いてみた。
「信用なんてものは最初は無い。だから、君の周りにいる人物達の様子を見て決めた」
「……そういわれると頑張るしかないですね」
「だろう。そうだろう。組織の一員というのはそういうものだからね」
組織の一員、か。
そういう自覚はなかったけど、僕の肩書はティータの団員でありながら昇華スル者や幾千ノ剣と共に行動をする白金等級の冒険者。
……確かに周りの人達の顔ぶれをみたら、そうなるか。
「作り変えるのに時間がかかる。しばらくはこの街にいるだろう? ゆっくりしていくと良い」
そういうと、彼女は再び奥の部屋に入っていった。




