↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

496/550

478 冒険者組合がスポンサー



「クラディス君って転生者じゃん?」


 そんな、ノリで確認を取られるようなことではないけど。


「クラディス君は冒険者組合の訓練で強くなったっていう理由付けが出来るし、冒険者組合(こっち)としても今の死亡者数は考えもので、何か対策を練ろうとしてたんだ。ほら、色々やってたでしょ? ほとんど失敗に終わったけどさ」


 大規模クエストとかやってましたもんね。血盟お試しもそれだっけ。

 とりあえず、頷いておいた。 


「だから、今度はクラディス君を広告塔として使って若い子を集めて、一定の水準まで基礎値を引き上げるのさ。イニシアの森の浅瀬で遊べるくらいにはね!」


「リスクがデカくないですか? 僕が死んだ時にバッシングを喰らいますよ」


「その時は知らなかったの一点張りで通すよ」


 悪い顔をされて、苦笑いすらできなかった。


「まぁ、丸リーダーが乗り気だからさ。なんてたって情報部の丸リーダーになっちゃったんだから」


「ああー……そうでした」


 情報部って、広報とかそっちも頑張るってことなのかな。

 広告塔……専属モデルみたいな話……? 


「ちょっと嫌なんですけど……」


「丸さんに言ってあげて。ただ、もうかなり進めちゃってるから……」


 せめて僕に一言許可を取ってから進めてくれませんかね。


「……じゃあ、その一環で中位ダンジョンに?」


「そう。ごめんね? 目立ちたくはないと思うんだけど止めても聞かなくてさ~」


「いや、そういう訳なら……仕方ないですけど」


 丸さんの暴走か。そんな人には思えなかったんだけどなぁ。 

 リリーさんもそれを知ってて言わなかったのか……悪い人め。


(仲間を獲得……か)


 そのために、クラディスとして活躍する必要があって。

 中位ダンジョンを攻略するのはそのための宣伝材料、広告料か。

 何が正解かわからないけど、冒険者組合でのサポートは厚い。丸さんには色々とお話をしに行かないとな。

 ……次、いつ行く機会があるかわからないけど。


「じゃあ、とりあえずは僕らは白金等級になれたってことで」


「うん。中位ダンジョンに挑戦できるようになった」


「ありがとうございます。まぁ、そのうち」


「ナグモさんは予約してるみたいだからさ」


「勝手に……」


「翻弄されてますね」


「ほんと、思い通りにいかないなぁ……」

 

 こっちが慎重にしようと思っても強引に引っ張り出される感じ。

 頼もしい面もあるけどさ。

 講習が終わって、外に出ると何やら訓練場の方が騒がしいことに気づいた。


「こんな時間に訓練……?」


「行ってみます?」


 灯りに照らされる通路を歩いて見に行くと、広い場所で2人が武器の打ち合いをしていた。

 ムロさんとユットロールさんだ。

 押して、押されて。ほとんど同じ体格の2人による攻防の音は凄まじく、館中に広がっている。近所迷惑も迷惑なのか、見物客が多い気がした。


 覇軍の何人かもそれを眺め、参加したそうにうずうずとしている。

 ムロさんが押し気味か。ユットロールさんが挑戦者のような雰囲気が出ている。

 が、あの人は戦士でありながらも魔導士。

 魔法剣士という枠で魔導士協会に行くことが決まっているらしいユットロールさんの戦い方はもっと多彩なはずだ。


「魔法を使えよ! ロール! 協会に入んだろ!?」


「あぁクソ! 使ってやるよ!」


 煽られ、魔法を発動するために白い魔素が空間に広がっていった。

 後方に放った衝撃により加速をして突進。避けた先に降り注ぐ雷。

 魔法と物理攻撃での波状攻撃が魔法剣士の戦い方だ。


 ──なんだ、やっぱり手加減してたんじゃないか。

 

 地面を凍らして足場を悪くし、無属性魔法の【衝撃】を器用に使い、ロボットが浮遊をするように逆噴射で調整をする。

 一度浮いた体は逆噴射で浮かび続け、爆発的な加速と体勢の整っていないムロさん相手に攻撃を打ち込む。

 が──ムロさんは脚を踏み込んで、氷の大地をぶっ壊した。


「しょっぱいな、こんなもんか」


 突っ込んできたユットロールさんの体は飛び散る氷の破片により傷つき、急停止。

 その浮遊する大地の中にムロさんの剣が線を結んだ。

 皮一枚で避けるも姿勢が整わずに追撃を許してしまい、結果としてムロさんの剣が喉に届く。

 

「はあっ……はぁっ……」


「何してくるかわかってりゃあ恐くないわな」


 大人達の戦いを見て、アンも興味深そうに腕を組んでいる。


「アイツ、対処が上手いんですよね。何をしても対応をしてくる。……踏んだ場数が多いんだと思います」


「ナグモさんのこと怖がってたから、あの人に連れ回されたんじゃないかなって思う。僕らの未来の姿かもねー」


「赤茶髪になって髭が生えて」


「いやそういうことじゃなくてさ」


「わかってますわかってます。ジョークです」


 え、可愛い。あ、だめだ。このクソガキ。すぐに意識が持っていかれる。

 指でグリグリと眉間を揉んだ。はやく思春期終われ……本当に。


「あ、クラディスー! いいとこに来た!」


「なんですかー!」


「用事はすんだろ! 明日暇だろ! 暇だよな!」


「分かんないですけどー」


「アサルトリアの祝勝会があんだよ! 参加な! ティータの団長も来るからオマエも来い! 姉妹血盟だしな!」


「え、やですー! 絶対いやですー!」


 アサルトリアの祝勝会なんてまたろくなことにならないですよ。

 もうあんな経験は懲り懲りなんですけども。


「強制な!」強制かぁ……。「あと、オマエも来い!」


「ええっ!? 俺は関係ないだろ!」


「いいだろ別に。そっちも準上位血盟なんだろ? いいじゃねぇーか!」


 ムロさんに肩をバシバシと叩かれて参加を命じられてるユットロールさん。

 お気の毒に。そんな目で見つめられても、僕もどうすることもできません。

 僕だってアサルトリアの飲み会は苦手なんですよ。ほんと……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。