477 白金等級の講習会
「良い? 白金等級は中位冒険者の中でも上。中位二階以上の人を指してるの。上位10%になってくるわ。巷じゃあ金等級までは凡人でも行けるけど、白金等級からは才能が必要になってくるとも言われてる。実際そうだと思う。依頼される内容も変わってくるし、危険度が高いのも多くなってくる。その分、報酬は多いんだけどね」
「あのお、ペルシェトさん」
「なんだい?」
「この話、館の中でする必要あります?」
「本来なら冒険者組合の中で講習をしないといけないの! クラディスくんやアンちゃんだけ特別って訳にもいかない!」
腰に手を当ててそういうペルシェト先生。
治癒魔法を教わる時もこんな感じだったよなぁ。
まぁ、場所が場所なんだけどさ。ハートレイさんの館でやることかな、これ。
「──ってことなんだけどさ。して、クラディス君よ」
「はい?」
「最近、無理してばっかりでしょ」
「えっ」
「右手の手袋を外しなさい」
もしかして、アンが何か言ったか……あ、向こう向いた。
右手につけていた手袋を外し、ペルシェトさんに見せた。
「うわわ、すごく悪化してるじゃない。どうしたの?」
「使いました」
「使ったって……」
「この力を使ったんです。そうしないと勝てない相手だったから」
僕がこの魔障を使ったのは今まで三回。
一度目はエヴァーチェ戦。
二度目は黒い魔素を研究する時
三度目は麻央さんとの戦闘時。
たったそれだけだというのに、コレは僕の体を蝕もうとその傷跡を広げている。
「治癒士から言えることは一つだけよ。自分の体をもっと大切になさい」
……なんとも言えない。
そうしたいのは山々なんですけど。
「目の色は」
シュルッと包帯を解いて目を見せた。
黒色の瞳は金色を帯びてきていて、紫色には金粉が舞っているように見える。
その色を見てペルシェトさんは言葉を失っていた。
「日常生活にも支障がでるわ。もう使わないで。後戻りできなくなるわよ」
「でも、ペルシェトさん」
「でもじゃない。今はその力を扱えてるかもしれない。けど、それは魔族の力。隔離されていた力が解放されたら、すぐにクラディス君の体を蝕むわ。そうなればもう……死しかないのよ」
「……」
「心配なの、クラディス君。それ以上は使わないで」
「わかりました。すみません。ありがとうございます」
というと、本当に分かってんのかテメェみたいな目で見られた。
わ、分かってますって。大丈夫です。使わないで済むように頑張って力を付けてるんですから。うん……。
「それで、黒い魔素に関しては使っても良いんですか……?」
「えっ? ダメよ何言ってるの」
「コレに頼らず出せる奴なんですけど」
既に包帯を巻いた手を出してみると、ペルシェトさんは眉間に皺を寄せた。
「……どういうこと?」
「あー……」
そういえば、この話をしたことってなかったんだっけ。あ、アンも知らない?
魔素感知がないと魔素って見えないんだったか。
魔法感知がある人はなんとなくオーラみたいなのが分かるって聞いたことがある。
ただ、魔素の結合数が増えたら見えるようになるっぽいよな。
じゃないとノアの魔素で作られた武器なんてのも見えない訳だもんな。
魔素として出している分には見えないけど、それで何かをしようとしたら見えるようになる……とかそんな感じなのかな。なんて説明しよう。
「ここって王国にあったみたいな結界ってあります?」
「基本、どの街にもあるわよ」
「じゃあ出せないか」
あれも多分、魔族の魔素というよりかは魔族の魔素と人の魔素のデータを大量に用意して、それで見分けてるだけだと思うんだよな。だから、僕が黒い魔素を出したら「魔族の魔素だ!」ってなる可能性がある。
面倒だけど、僕はそこから説明をしていった。
自分が名前をつけた虚霊質という物質の名前を話すと不思議そうな顔をされた。
がなんとなくニュアンスとしては伝わった模様。
「話を聞く限りじゃあ、クラディス君の魔素なのよね?」
「はい」
「じゃあ問題はないと思う。ただ聞いたことがないから慎重によ」
「黒い魔素……ですか」
「あの冬山で鼻血出してた時にこれやってたの」
「ああ! あのときの……」
理解して「あの無茶したやつですね」と睨まれた。
すみませんでした。
「でも、これは面白いことを聞けたかもしれません。ありがとうございます」
「? うん、どういたしまして」
僕の魔素の話が終わると、残っていた内容をちょろっとして講習会が終わった。
資料をまとめているペルシェトさんに僕はトトトと近づいていき。
「そういえば、なんで、中位ダンジョンに行けって言われてるんですか?」
「あれ? 聞いてないの?」
うん。聞いてないです。
「冒険者組合は、クラディス・ヘイ・アルジェントを全面的にプッシュし、新規の冒険者獲得と冒険者育成制度の整備を予定してる──らしいよ?」
「なんですかそれ……」
聞いても意味が分からなかった。




