474 昇級試験開始
ユラさんと話が終わると皆の元に戻った。
そこで昇級試験についての話を聞いた。
冒険者組合の昇級試験の方法は前にも聞いた通りだ。
『双剣士の認定試験』
達成条件1:同封依頼の人型モンスターの一部部位を持ち帰る。
達成条件2:同封依頼の達成。
達成条件3:双剣術を監督官同席の元、冒険者と手合わせする。
この条件の1と2に関しては完了をしている。
これからやるのは条件の3で監督官が見てる中で冒険者と手合わせなのだが。
「初めまして、クラディスさん」
「うん。よろしくね。エヴァーチェの団長さん」
グイグイと腕を動かして動作チェック。
アイリス側に慣らそうしてた矢先にこっちで闘うのは変な感じだ。
まぁ、行けるか……。
「……」
って、ユットロールさんが変な顔になってる。
ナグモさんを気にかけてる様子だ。もしかして知らないのか?
「一応、あのナグモさんにもバレてるからふつーにしてくれていいですよ?」
「あ、そうなんですか?」ナグモさんを確認。「良かったぁ……」
「先に言ってなくてすみません」
ふにゃふにゃとなるユットロールさん。オンオフの顔の変わりようがすごい。
冬山で戦った時は豪鬼とでも戦ってるのかと思ってたけど、普通の時は普通の成人男性だ。
というか、髭が無いとめちゃめちゃスッキリして見えるな。
上位ダンジョンが終わった後は無精髭が生え散らかってたからかなり年上に見えたけど。
(で、僕らが戦う間、アンとムロさんは別のところで戦うことになってる)
正気、めちゃめちゃ見たい。
「アンさん達の方はペルシェトがいるので心配は要りませんよ」
「あ、いや、心配とかではなく。闘技場以来だと思うので見たいなーと」
「そうでしたか。ムロさんとアンさんはあの時に……」
「姉さんとムロか……どっちが勝つか想像がつかないな」
「闘技場ではアンが勝ってたよ」
「……さすがだ」
ユットロールさんも冬山の最後の方はずっと戦ってたもんなー。アンの強さも知ってるし、上位血盟のムロさんのことも知ってるだろうし。
お、そわそわし始めた。気になってきたか。
「向こうよりも今は自分たちのことに集中してくださいね」
ナグモさんの声掛けにより、僕とユットロールさんは向き合った。
体格差がやっぱりある。ムロさんほど大きいと思っていたが、ムロさんの骨格よりもスマートな感じだ。
「お聞きしますが、ユットロールさんはロベル王国での昇級試験の経験は?」
「ある。全力で戦えと教わった」
「この王国でもそうです。昇級ができると浮かれている冒険者を叩き直すんです」
「えぇ……。普通は手ほどきみたいなもんなんじゃないんですか……」
「ここでボコボコにされておいた方が冒険者にとっても得ですよ」
はたして、損得の話なのか。
「まあ、いいや。僕もユットロールさんと戦ってみたかったし……手加減はしないでくださいね」
「安心してくれ、俺は手を抜いたことなんてないぞ」
「なら良いや」
──ずっと上に浮かんでいるボードは無視していいんだな。
【ユットロールが主人であるアナタに敵意を見せています】
(なんだか、最近この手のボードが出てくるな)
その横にある文言は物騒すぎるし。
【敵意を見せる従者を殺しますか? YES/NO】
(NOで。二度と出てくるなバカ)
「では、始めましょうか」
「ああ」
「そうですね」
ボードを消して、武器を構える。
主従契約ってそんな感じなのか? 想像の倍は物騒な提案をしてくる。
アンの時もそうだ。もしかして、亜人って結構やばい種族なのでは?
……だとしたら嫌だなあ。
「では、昇級試験、はじめ──」
開始の号令が始まると先手を取らせないために先に動いた。
双剣の試験なので、双剣で応対をしないとダメで、それ以外は使っちゃダメで。
──なんて常識を持ったまま闘うのなんて、アホらしいか。
「行こうか」
僕は握っていた短剣に魔素をまとわせた。




