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411 あれからどう?




 冒険者組合に到着後、すぐに二次転職の依頼を達成したと報告──しにいったのだが、閉まってた。


(忘れてた……)


 そうか、ナクソンの息がかかった人がいないかを洗いざらい探し出すって言ってたもんな。

 丸さんがいなくなったから職員長が誰になるのかっていう話もあるだろうし、色々とバタバタしてるんだった。


「えー、空いてないじゃーん!」「どうなってんだよー。組合がやってねぇと明日の飯代もないっての」


 少年少女の声が聞こえる。まさに同じ気持ちだ。飯代はあるが、好き勝手買うほどの金はない。

 二次転職の依頼と山賊の換金をしたかったんだけど……開いてなかったなら、違うことをするか。

 開いてなかったから……えーと、次はアサルトリアの拠点にでも行くかな。


「──あ、クラディス……さん」


「?」


 声が聞こえて振り返ると、冒険者組合の前で足踏みをしている人混みの中にその子達はいた。

 

「あ」


「わっ……ほんとだ! あの時の兄ちゃんだ!!」


 ダダダと駆け寄ってくる子どもたちにもみくちゃにされた。

 パーソナルスペースなんてこの世界にはないらしい。会ってすぐに突撃してくるのはこの世界ならではか。

 

「君たちは……あの時の」


 この子たちは大規模クエストの時の最深部に向かう時に、簡易的なパーティーを結成させた6人の子どもたち。

 銀等級の子ののっぽくんを筆頭に防具もろくに付けていない駆け出しの冒険者達。


「それと……あの村の」


 そして、その6人の冒険者の卵達の中にはあの子達も含まれる。

 二次転職の村の子どもたち。寝泊まりする冒険者を襲って生計を立てていた親の子どもだ。


「……」


 後から聞いた話ではあるが、あの村に個人依頼をするような金を持っていた理由は略奪の他に、フーシェン側がお金を渡して「依頼をこのガキ(ぼく)にしろ」と言ったという証言を村長がしたらしい。

 それを聞いたところで別に同情の気持ちなんて湧いてこないが……大金を渡されて、依頼するのは子ども。その子どもが換金できそうな物を沢山持ち帰ってきた。ソイツを殺せばフーシェンからの金や金品を全て自分たちの物にできる……となると、魔が差すのもわからんでもない。

 貧困問題やら何やらまでは把握していないから何とも言えないが、あの時のぼくは歩く金塊のように思えたのだろう。

 

「あれからどう?」


 気まずそうにしていた少年少女に問う。

 親がいなくなり、あの村にいられなくなったのはなんとなく分かる。


「……みんなで、牛舎に泊まって、なんとか頑張ってるよ」


「うん……」


「そっか」


 冒険者らしい暮らしをしているみたいだ。

 6人パーティーはかなり大きめのパーティーになる。まとめ上げるのも大変だろうが、皆でお金を出し合えばなんとかお金は回る。

 エリルの言っていたように、そこまで心配はしなくてもよかったってことか。


「前々から声はかけてたんですけど。でも、最近、やっと来てくれて」


 と銀等級ののっぽくんは話をしてくれた。

 なんだかんだリーダーのような立ち回りをしているみたいだ。目立つからリーダーに任命したけど、才能があったらしい。

 

「……頑張ってね。応援することしかできないけど」


 ふわ、と俯いていた少年と少女の頭に触れて、ぼくは組合を後にした。


 少し救われたような気分になったのは言うまでもない。

 ただ、村で長らく暮らしてた子たちだ。生活水準を下げるのには抵抗感があるだろうなぁ。

 

 でも──


 楽しそうに話す6人の冒険者の卵を見た。


 なんとか、上手くやっていけそうだ。


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