248 やっと言えました
「ざむっ……ぃ……かっこつけて、でてくるんじゃなかった。もっと雪の勢いが落ち着いてからぁ……」
雪が絶えず降り、視界も少し不明瞭な程勢いがあることから、獣人であるペルシェトの体には耐え難く、厳しい環境だ。
本来、冬季という時期は獣人のほとんどの動きが遅くなってしまい、冒険者稼業を中止してしまう冒険者も多い程だ。
そんな中、鼻歌を歌って気を紛らわせてギルドへと帰っていると、向かい側から傘をさしている一人の男性の姿が見えた。
「あら、イケメンが居るかと思ったら、こんな雪が降る中にナグモさんがいるとは」
「ペルシェト……クラディス様が倒れたって話を聞いたんですが」
「疲労ですよ疲労〜。心配しなくてもちゃーんと二人には言い聞かせたので。それより――」
ナグモにわざわざ屈んでもらい、コソッと耳で囁いた。
「転生者を知ってるってやっと言えましたよっ」
「お、ホントですか」
「そーそー。タイミングがなかったから、やっと言えて安心しましたよ〜」
「あはは、中々難しいところですもんね。繊細というかなんというか」
笑いながら隣まで来たペルシェトの進行方向に体を返すと、歩くペースを揃えて帰り始めた。
「っていうか、私と二人しかいないんですからその改まった言葉遣いやめてくださいよ。大先輩なんですから」
「姿を偽るなら、まず味方から偽らないといけませんからね〜」
「なにそれっぽいこと言ってるんですか。二人っきりの時はあんなにフラットな感じなイタタタタタタタタ!! っもう! 寒い時に耳はダメですよ!!」
歩きながら猫獣人の耳を抓ると涙目になりながらポコポコと殴ってくるのを手で受け止めた。




